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魔王少女  作者: mizuyuri
第二部
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第三話 美咲の裏切り

 私の通うこの学校はひょっとしたら呪われてるのではないだろうか?


「この近辺で最近危険人物を見ませんでしたか?」


 見た目中学生くらいな少女が、登校してくる生徒に声をかけて回っている。

 誰か「鏡見ろ!」って言ってやれよ。

 と、いうのも少女が着ている服は、完全なアニメコスプレ衣装みたいな服なのだ。


 この前ポチが襲撃してきた時といい、この学校は厄介事を引き寄せる習性でもあるのか?


「あの子……けっこうな魔力持ってますね」


 サーチ魔法でも使ったのか、幸が話しかけてくる。


「だろうな……そうじゃなかったら、ただの痛い子だ」


「ひょっとして、昨日ヴィグルさんが言っていた新しい魔法少女ってあの子なんじゃないですか?」


 可能性は高いな。

 ただ、変身した姿でフラフラしてるのは気になるな。


 そりゃあ常に変身していた方が緊急時は咄嗟に対応できるから、そっちの方がいいんだろうが、普段魔力を持たない身体に魔力核を強引に作るわけだから、身体の消耗が激しすぎて、ずっと変身状態ってのは効率が悪いハズなんだけどな。


「あれ?アレって美咲さんじゃないですか?あの子に話しかけてるみたいですけど……」


 美咲の通学ルートは毎回適当である。

 私の通学ルートに合わせてくる時もあれば、寄り道用や時間優先用などの通学ルートを使う時もある。

 おそらく今日は、そういった適当なルートで来たのだろう。


 にしても……

 お節介な美咲が、困ってそうな奴に声かけるのは、まぁわかるんだけど……

 何か嫌な予感がする。


「あの……美咲さんが、すごいニヤニヤしながらコッチ指差してるんですけど……」


「……見ればわかる」


 少女の視線は、隠れて様子を見ていた私達の方を向く。


「あの子……私の事すごくにらんでませんか?」


「まぁアレが新しい魔法少女だった場合、見た目が異形な奴は敵認識するだろうしな」


 それにしても、嫌な予感は的中したな。


 その時私のスマホがメッセージを受信する。


『不審人物探してたみたいだから紹介しといたぞ。アタシは陰から見ててやるからがんばれ(笑』


 私等を売りやがったなあのクソビッチ!!

 物陰に隠れて笑ってるのは私のポジションだぞ!


 私は周りを見渡し、少女以外コチラに視線が無い事を確認し、念のため認識阻害魔法を使う。


「幸、羽も利用して私を周りの視線から隠せ」


「え?あ、はい!」


 幸は私の命令に従い、私に抱き着くような形をとり、さらに羽で包む。


 私は幸に包まれたまま変身する。


「いいか幸、私が三つ数えたら、この状態を解除しろ。私があのガキに突進したらお前は美咲を拘束しとけ。変身さえされなければ美咲はただの雑魚だ」


 素早く幸に指示を伝える。


「いくぞ……1、2……3っ!!」


 幸が私から離れて、美咲の方へと飛んでいく。


 私はそれよりも早い速度でコチラに向かって歩み寄ってきていた少女に向かって飛び込んでいく。


「なっ!!?」


 何が起こったのかわからない表情をしている少女の顔面を、魔力を込めたコブシでぶん殴った。

 咄嗟に防壁魔法を張ったみたいだが、私に対しては無意味だ。


 あっさりと防壁を砕き、威力が削がれる事なくコブシを振り下ろす。


 少女の体は地面に叩きつけられ、アスファルトを砕き、そのまま反動で自分の身長くらいの高さまで浮き上がってくる。

 見た感じ、首の骨は完全にイってるなこれ。

 まぁそんな事は気にせず、ちょうど掴みやすい位置に浮き上がってきた少女の顔を掴む。


「幸!!」

「完了してます!」


 幸の方を振り向くと、拘束魔法で動けなくなっている美咲を抱えて待機していた。


「よし!そのまま美咲抱えてこっち来い!!」


 私は幸に向かって手を伸ばす。

 幸は言われた通り、美咲抱えたままコチラにやってきて、差し出した手にふれる。


 その瞬間、私は転移魔法を使い、幸の部屋へ転移する。


 さようなら私の皆勤賞……


「ええ!?ちょっ……何で私のアパート来てるんですか!?」


「ん?誰にも邪魔されたくなかったし、一番片付けできてそうな部屋だったから」


 少女に蘇生魔法をかけながら、幸の疑問に答える。


「さて……と、覚悟できてんだろうな美咲ぃ」


 動けない美咲の頬を、手の甲でペチペチ叩きながら話しかける。


「ひ……人違いじゃないですか?アタシは美咲お姉ちゃんの妹のイサキだよ」


「ええ!?ソックリなんですね!美咲さんに妹さんがいるなんて初めて聞きました!」


 そりゃそうだろ。美咲に妹なんていねぇもん。

 すぐバレる嘘をつく馬鹿と、それを真に受ける馬鹿……

 私の周りにはもうちょっとまともな奴いないのか?


「信じるなよ幸……ところで幸、お前身体は柔らかい方か?」


 いきなりの質問に目をキョトンとさせる幸。


「固くはないとは思いますけど……普通程度だと思いますよ。それが何か?」


「ん?美咲はな……死ぬほど身体が固いんだ」


 私のその一言を聞いて、動けない美咲が体をピクピクさせて必死に動こうとしはじめる。


「幸、美咲の手を持って、そのまま股割りしてやれ」


「わ、わかりました。では美咲さん失礼しますね」


 幸は私の言いつけ通り行動する。

 いやぁ~今日は本気で眷属の便利さを実感したかも。


「あで……いででで……ぐえええぇ!!」


 おいおいマジかよ。

 まだ90°くらいしか開いてないのに、そんな女子高生捨てたような声出してんのかよ。


「美咲さん、さすがにコレはまずいですから、せめてもうちょっと開くようにしましょう!」


 幸も美咲のヤバさに気付き、拷問に力が入っている。


「いでぇ!いや、これマジでヤバイって!ぐげぇぇ!……いやホント、足もげるって!」


「大丈夫だって!もげたらくっつけてやるから。よかったなぁ回復魔法使えるの二人もいて」


 声のトーンがだんだんマジになってきている。


「この人でなし共!何もしてない少女をぶん殴った挙句、見ていただけのカヨワイ女子高生を拉致して拷問するとか……この悪魔め!!罪悪感のかけらも無いのか!」


 何だソレ?なりふり構わずに情に訴えようとでもしてるのか?

 いや、でもなぁ……


「あの……私、容姿的には悪魔ですし、裕美様に至っては魔王なんで、その発言ですと『うん、そうです』としか言いようが……」


「あ……言われてみればそうだ……」


 気付かずに言ってたのか美咲……


「何だ?つまりは、幸だけにやられるんじゃなくて、私にも何かやって欲しかったって事か?しょうがねぇな」


 自爆したな美咲。

 目先の面白さを優先して、私達を売った罰を存分に味わえ。


「そうだなぁ……それじゃあ私は、美咲の小さな胸を大きくしてあげるために、後ろからオッパイ揉んでやろう」


「うるせぇ!余計なお世話だよ!裕美だって胸サイズあんま変わんねぇだろ!……あいてててて!」


 自己分析ができてない奴はかわいそうだな……私とお前の胸囲の差は天と地ほどもあるというのに……


「安心しろ美咲。お前の黒くてデカ乳首も一緒に揉んでさらにデカくしといてやるからな」


「黒くねぇしデカくもねぇよ!!名誉棄損で訴えるぞ!」


「そうだな……そう思っていればいつかは願いも叶うさ……諦めるなよ美咲!」


「何だよその可哀そうな子を見る目は……やめろよ……アタシの乳首が本気で黒くてデカいみたいな流れにするの……」


 だんだん面白くなってきたので、止まる事なく美咲の服をたくし上げる。


「うわ!マジでやんのかよ!?やめろよコノあく……じゃねぇや魔王!!」

「……ま、魔王?」


 美咲の叫びに反応するかのように、蘇生魔法をかけておいた謎の少女が目を覚ました。


「………………え?」


 そして絶句する。


 そりゃあそうだ……

 泣きわめく女子高生を股割りしている名誉魔族。

 そして、股割りされてる女子高生のブラのホックを後ろから外そうとしている魔王。


 そんな光景が、目が覚めた瞬間に、目の前に広がっているわけだ。


 さて……この後どう説明しようかな?


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