表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少女  作者: mizuyuri
第二部
37/252

第二話 魔王軍新体制

「失礼します裕美様。追い出されてすぐ戻ってきて申し訳ないのですが、先程新たな魔法少女が現れたと報告がありました」


 「まだ腕が痛い」とベソかいている幸をあやしていると、ヴィグルが部屋に入ってきた。


「今回はやけに早ぇな。まだ幸が終わってから3日くらいじゃね?」


 いつもは、次の魔法少女が現れるまで、基本1~2週間ほど空白期間がある。

 まぁ浮遊狐も、そうそうに人材確保は難しいのだろう。

 しかし今回は1週間すらたっていない。


「キューちゃん……私がキューちゃんを裏切るような事をしてしまったから……」


 幸が何やら神妙な顔になる。


「心配いりませんよ幸さん。アナタが裏切ったというのなら、裕美様なんてどのように形容すればよいかわからなくなってしまいますよ」


 幸励ますためだけに、私をディスるのやめろや……


「それで?誰がどこでやられたんだ?蘇生必要?」


 毎度の事なので、とりあえず必要事項を確認する。


「場所まではまだ確認がとれてませんが、やられたのは四天王のブルームです。瀕死ではありますが命に別状はありませんので蘇生は必要ありません」


 は?『四天王』?


「おい!?幹部じゃん!初戦で四天王が瀕死にされたのか!?」

「すげぇ!アタシはいきなり幹部は無理って言われたのに!」

「いきなり四天王撃破……そうですか……やっぱり私は才能が……」


 私が叫び、美咲のテンションが上がり、幸が再び落ち込む。


「たしか我も四天王をやぶっていたな。幹部人事を考え直した方がいいのではないか?」


 言われてみればそうだな。

 たぶん、今の幸やポチの方が現四天王より強いだろうしな。


「あ!じゃあ、いつもの賭けはどうなるん?」


 美咲が思い出したかのように声を上げる。


「賭け?……って何がです?」


 何も知らない幸が疑問を口にする。


「えっとね、新しい魔法少女が出てきたら、アタシ等で、どこで心折れるか賭けしてたのよ」


1・四天王にやられて挫折

2・四天王1人撃破したものの、同程度の実力者を後3人倒さなくちゃいけない事に心折れる

3・四天王全員撃破するがヴィグルにやられて心折れる。

4・ヴィグル撃破するも魔王と対峙して戦う前に泣く

5・魔王にボコボコにされてトラウマ作る


 大抵はこんな括りで賭けて、負けた奴が勝った奴に飯一回おごり。

 また、同じ番号には賭けてはダメとか、誰も正解しなかったら何も無しとか、ちょこちょこと細かいルールもある。

 っていっても、やってるのは私と美咲とヴィグルの3人だけなんだけど……


「え……?あの?じゃあ私も賭けの対象になってたんですか?」


 まぁ当然の疑問だわな。でも……


「いや、さっちゃんはやってないよ。基本、魔王軍の誰かがやられてからアタシのとこに話が伝わってくるから、誰も倒してないさっちゃんは賭けの入り口にも到達してなかったんだよ」


 うん、たしかにそれは事実なんだけど……事実なんだけど、もうちょっとオブラートに包んであげないと……

 あ、やっぱり幸泣き出した。

 ……無言で。


「そうですね……もう1番2番は無いでしょうし、私自身四天王より少し実力が上というだけなので、勝てる自信はあまりないので3番も無いでしょうね」


 と、なると。


「残りの選択肢が2つしかないのでは、3人での賭けが成立しないですね」


 でもなぁ……二回も連続で賭けできないのはつまらないな……


「じゃあいっそ6番に『魔王を撃破する』を追加して賭けるか?」


「誰がそれに賭けるんですか?」


「裕美、馬鹿じゃね?」


 いや『馬鹿』とか美咲にだけは言われたくねぇよ!?


「では先程も言ったが、幹部の人事編成をしてはどうだ?我を加えてもらえるのなら、裕美殿のために、その魔法少女とやらを撃破しても構わんが」


 ありかもな……


「じゃあ四天王フル入替でいこう。ポチと幸を四天王昇進!」


「承知した」


「え!?私もですか!?」


 そりゃあいちおう幸は私の眷属だしな。

 もう見た目も立派な魔王軍の一員だろ。

 後二人は……


「ついでに美咲も加えといてやろう」


「は!?何でだよ!?」


 私やヴィグルと一緒になって、魔法少女で賭けしてる時点で、もう魔王軍の一員みたいなもんなので、美咲のクレームは無視する。


「さて……あと一人はどうするか?」


「なっちゃんでいんじゃない?」


 なっちゃん?

 ああ、美咲のバイト先での後輩の夏美ちゃんか。

 そういや、いちおう四天王撃破はしてたわけだから、現四天王よりかは強いのか。


「じゃあそれでいくか。美咲、後で夏美ちゃんに伝えとけよ。あとヴィグル、現四天王に『四天王予備軍』に降格って伝えとけよ」


 私は新生魔王軍の編成にウキウキになって指示を出す。


「あの、一つ質問してもよろしいでしょうか?」


 そんなウキウキ気分をヴィグルに邪魔される。


「その編成だと、おそらく四天王の後に控えてる私の方が弱いと思うのですが、その辺の事考えてますか?」


 言われてみればたしかにそうだな……

 とはいえヴィグルを解任すると実務が面倒臭い事になるしな。


「ではヴィグル殿は、その魔法少女と裕美殿を繋ぐ案内役をすればよいのではないか?そうすればヴィグル殿も実務に集中できると思うが?」


 ナイスアイディア!


「それ採用で!」


 とりあえず魔王軍の戦力強化、というよりも四天王の戦力強化に成功したことで、賭けの選択肢で1番・2番が復活。

 これで、幸の時はできなかった賭けが……


「では我は1番に賭けよう。魔法少女などすぐに蹴散らしてやろう」


「じゃあ私は2番に賭けておきます」


……お前等まで参加したら、また枠が足りなくなるじゃん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ