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魔王少女  作者: mizuyuri
第二部
35/252

プロローグ

私は魔王を許さない。


この世界は平和だった。

正確には、平和だったらしい。


私は平和だった世界を知らない。

生まれた時には、魔王によってめちゃくちゃにされた世界だったからだ。


力こそが全ての世界。


ある者は、異を唱え魔王に挑み敗れ。

ある者は、威を借り魔王に与した。


私の生まれた国は、魔王に抵抗する国の一つだった。


突然変異かのように高い魔力を持って生まれた私は、両親の顔すら知らないまま、国の特別訓練組織に加えられ、自由のない、国のためだけに魔王と戦うためだけの兵器として育った。


私が15歳になった時、魔王に挑もうとする強者はいなくなっていた。

「まだ早い。調整が不十分だ」と主張する組織高官の意見は却下され、国からの命令で、ついに私が魔王討伐を命じられた。


私は言われた通り、人間を裏切り魔王に与していた連中を難なく倒し、魔王の根城へとたどり着く。


しかし……

そこで見たものは空の玉座だった。


魔王は何処かに消えていた。


魔王を倒すためだけに捧げられた私の15年は一体なんだったのだろう?

まっさきに浮かんだのは、そんな想いだった。


ただ、これで自由になれる喜びも大きかった。


しかし、そんな希望は一瞬で砕け散った。


魔王を倒すために作られた私が、第二の魔王になるのを恐れた国により、私は軟禁された。


常に監視の目が付き、同年代の子と遊ぶことはもちろん、学校に行く事も許されなった。


魔王さえ消えていなければ……

戦って負けるならそれでもよかった。

そこで私に繋がれた鎖はなくなっただろう。


もしくは勝てた場合……

そう、せめて戦って勝って凱旋できれば、今とは違った扱いだったかもしれない。


魔王が憎い。


私の普通の生活を奪った魔王が憎い。

戦う事すら拒否して消えた魔王が憎い。


私は、机の引き出しから、ある装置を取り出す。

それは、魔王の玉座に置いてあった装置。

数日たってはいるが、装置に残った魔力は消えていなかった。


監視の目をくぐり抜け、こっそり調べた。

それは異世界へと渡る事ができる装置だった。


消えた魔王は恐らく異世界へと行ったのだ。

つまり、この装置に残った魔力を辿る事で、魔王が転移した世界へと行けるのだ。


今のこの世界に未練は何もなかった。


私の未練は魔王と戦えなかった事のみ。


私はそっと装置を起動させる……



私は……魔王を絶対に許さない。

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