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魔王少女  作者: mizuyuri
第七部
241/252

第二十一話 正体を知る者・知らぬ者

『裕美様。確かに私「魔王としての印象を良くしたい」みたいな事言いましたよ。でも、こういうマッチポンプは逆効果ですよ……軽く炎上しちゃってるじゃないですか』


 幸からさっそく電話がかかってくる。

 どんだけチェック早ぇんだよ?ルリちゃんが投稿した動画がバズりだしたのって、ついさっきだろ?魔王軍内での仕事そんなに暇なのか?それとも、ネット班みたいな事を仕事にしてんのか?


「いや、コレ私のせいじゃねぇだろ?動画撮られてるなんて知らなかったし」


 ルリちゃんが投稿した動画は2つに分かれていた。


 1つ目は、私と胡桃が対峙して喋っているシーン。まぁ距離があったせいで会話内容は全然聞き取れないわけだが……そして、胡桃が叫び声を上げて倒れるところまでが映されていた。

 ルリちゃんが、胡桃の名前を呼びながら駆け寄って来た場面は、プライバシーの保護を優先したのか、入ってはいなかった。


 そして2つ目は場面が飛んで、気絶した胡桃を抱えた私が「人があまりいなくて、落ち着いてコイツを寝かせる場所ないか?」とか聞いてる場面。

 ただ、この私との会話シーンでは、映像はめちゃくちゃだった。

 たぶん、カメラだけは起動した状態で、録画しているスマホは別の場所にあるような感じなんだろう。

 んで、私が背を向けているような時だけ、しっかりと私の姿が映されていた。


 簡単に言えば、完全な盗撮だ。

 そりゃ私も撮られてるなんて気付かないわな……魔力感知は得意だけど、こういうのには鈍感なんだな私。盗撮・盗聴も魔法で対処とかできるかな?


 ちなみに、動画と一緒に『魔王さんと会話しちゃった~ヾ(*ΦωΦ)ノヤッタ~♪』っていう一文も入ってて、滅茶苦茶煽られてる気分にさせられた。


 そして、当の本人であるルリちゃんの現状は?というと……


「うわあぁぁぁーー!私死ぬーー!殺されちゃうよぉーーー!!やだーー!魔王さんごめんなさいぃーーー!!」


 絶賛大泣き中である。


 何というか……ルリちゃんが投稿した動画についたコメントの一部を紹介すると……


『魔王様、自分でやっといて自分で介抱するとか、結局何がしたいの?』

『投稿する前に、ちゃんと魔王に許可取ったのかコレ?』

『この動画、どっから見ても盗撮なんだが?』

『これ無許可だったら、魔王にバレた時点で粛正されるパターンじゃね?』

『無茶しやがって(AA略)』

『魔王様まで届くように拡散協力します』

『自殺願望でもあんの?じゃなきゃただの馬鹿だろ?』


 と、こんな感じである。

 まぁ魔王(わたし)1割、ルリちゃん9割くらいな比率で炎上していたりする。


「とりあえず火消しした方がいいんじゃないコレ?っていうか、まず投稿した動画削除すればいいんじゃない?」


「いえ、ここまで広がったら絶対魚拓取られてます。消したら、むしろ増えます。こういうのは、沈静化するまで、一切何も反応しない方がいいです」


「うわぁぁ!沈静化するの待ってる間に、絶対魔王さんの目についちゃうよぉー!殺されちゃう……私絶対に殺されちゃうよぉーーー!!」


「大丈夫だよルリ!殺されるっていうなら、今の時点で既に殺されてる。まずは一旦落ち着こう」


 JKコスプレをしているクソガキ先輩、アタオカ魔法少女化したままの胡桃、一般JDのルリちゃん、そして魔法少女のマスコットキャラである浮遊狐……一見すると異様な集団の議論が白熱しており、私の正体が魔王だとバレかねない電話をしているのに、誰も気付いていない。


 っていうか、何をシレっと会話に混じってんだよ浮遊狐?オマエただのUMAだって自覚あんのか?あと、これ以上余計な発言したら、私の拘束魔法で、呼吸もろともお喋り止めるからな?


「とりあえず、コッチも色々と立て込んでるから、電話切るぞ」


 面倒臭いので、幸の電話は強制的に切断する。

 どうせ永遠と幸の、説教のような愚痴を聞かされるだけの通話なので、マジメに聞くだけ無駄なやつだ。


「まぁ何だ……やっちまったモンはしゃあないだろ。盗撮程度でわざわざ殺しに来るほど魔王も暇じゃないだろ」


 電話を切り、私も異様集団の会話に参加してみる。

 最初は若干イラっとしたが、よくよく考えたら、盗撮動画無許可ネット掲載とか、幸やミキちゃんで慣れていたので、今更気にする事じゃない。


「だってよ。裕美が言うなら大丈夫なんじゃない?」


「かいちょ~~……他人事だからって適当すぎるよ~~私、生死がかかってるんだよ~」


 だよね……

 私が魔王だって知ってるクソガキ先輩からしたら、そう言いたいだろうし、私が魔王だって知らないルリちゃんからしたら、そう言いたくもなるわな。


「いや……だって裕美、アレだし……ねぇ?」


 ルリちゃんを納得させるためには色々と白状したいんだろうけど、言ったらそれこそ生死に関わるから言えずに、クソガキ先輩の声は凄い小さくなっていく。


 でも覚悟して喋れよクソガキ先輩。

 直接口に出さなくても、それとわかるような発言でも、再度の号泣謝罪程度じゃ済まなくなるかなら?


「とりあえずルリちゃんのやらかしは一旦置いといて……胡桃。まだ魔王軍との敵対を続けるのか?だいぶ魔王に酷い目にあわされたみたいだけど?」


 微妙に鬱陶しいルリちゃんは無視して、胡桃に直接本題をぶつける。

 まぁ酷い目に合わせた覚えは無く、胡桃が勝手に気絶しただけなんだけど、一応は現場にいなかった事になってる私が、他の人から聞いた~みたいな感じで話してみる。


「え?当たり前でしょ?魔法少女ってそういうものだし」


 ガチオタうぜぇ……


「それに久保先輩っていう、追加の仲間キャラが見つかったんだし、ここからさらに盛り上がるところじゃない!」

「ちょ……!?え……!?私!!?何で!?」


 確かにアニメとかだとそうかもしれんけど……変身した胡桃マジで面倒臭いな。


 そしてクソガキ先輩、本日3回目の貰い事故。呪われてんじゃね?


「一緒に頑張りましょう久保先輩!……最終決戦あたりは5人編成くらいになってますかね?」


 私にトラウマ持ってる魔法少女ばっかだから、5人集まるといいな胡桃……


「僕が持ってた石で魔法少女になった子はキミで18人目だから、頑張ればもっと集まるんじゃないかな?」

「「多っ!!?」」


 事情に詳しくないルリちゃんと胡桃が同時に驚きの声を上げる。

 まぁ一般的な魔法少女アニメとかを想像してて現実を知ると、そういう反応になるわな……


「いや……でも1人目が魔王で、クルミが持っている石の元の持ち主が、もう変身できないって事を考慮すると16人になるかな?」


「それでも十分に多いわよ……その全員が私と同じ様な目に合ってるって思うと、もう言葉が出ないわね……」


 何やら悟ったような表情で、クソガキ先輩がひとり言を言っているのが聞こえたが、あえてスルーする。


「それと、いざ魔王と戦う事になった場合、今のところ5・6人くらいは魔王側に付く可能性があるから、気を付けた方がいい」


 何で私と戦う流れで話を進めてんだよ浮遊狐……


「「そっち系ジャンルの魔法少女モノかぁ~~!!」」


 浮遊狐の発言でルリちゃんと胡桃が同時に声を上げる。


 何でシンクロしてんだよ?実は仲良いだろオマエ等?

 っていうか、ソッチ系ってどっちだよ?


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