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魔王少女  作者: mizuyuri
第七部
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第十六話 フラグ回収

「ねぇ……あそこにいるのって、この前の魔法少女じゃないの?」


 ああ、そうだな。クソガキ先輩の言う通りだよ……

 大学の出入口付近で仁王立ちしてるのは、どっから見ても、あのアタオカ魔法少女だ。


 何で本当にいるんだよ……胡桃が黒に限りなく近くなったじゃねぇかよ。


「へぇ~アレが今話題の魔法少女かぁ~……何であんな所に立ってるんだろう?魔王が来るって情報をどこかから仕入れて、待ち伏せでもしてるのかな?」


 ああ、そうだな。

 そんなガセ情報を知ってるのなんて、遠目からアタオカ魔法少女を眺めてる私達3人と、私の放ったガセ情報を聞いてた胡桃しかいないんだけどな。


 ホントどうすっかな?このまま放置でもいいかな?

 面白半分でやって来てる野次馬も、遠巻きにチラホラいるし、私は私で近くにルリちゃんがいるから変身もできないし……


「ねぇねぇ!魔王っていつ来るかな?結構、目撃情報とかあったりするけど、私、生で魔王見た事ないんだよね……楽しみだなぁ本物が見れるんだぁ」


 やっべぇ~……ルリちゃんがスゲェ期待に胸を膨らませてるよ。

 これで魔王来なかったら、ルリちゃんガッカリするんだろうなぁ……ついでに、ガセ情報持ってきた私の信頼もガタ落ちしそうだな。


「ねぇ裕美……あの魔法少女の隣で浮いてるのって……もしかして……」


 何かに気付いたクソガキ先輩がつぶやく。


「え!?あそこで浮いてるのって、もしかしてマスコットキャラクター的なヤツ!?嘘!じゃあアレって本物の魔法少女ってやつなの!?……まぁ『魔王』や『魔物』が現実世界にいるんだから、有りえなくもないのかぁ」


 クソガキ先輩の一言に反応して、驚きの声を上げるルリちゃん。


 まぁそうだよな。その辺の街中を魔物が練り歩いてたりするもんな。今更UMAの1匹や2匹いても、そこまで事件にはならんよな。


 とにかく何だ……魔法少女の周りを飛ぶのは一般的にセーフ扱いしたのかどうかは知らんけど、浮遊狐は堂々と浮かんでいた。


 っていうか、この位置からだとよくわからんけど、何か喋ってる?

 ちょっと魔法で盗み聞きでもしてみるか?


「クルミ!目立ち過ぎだ。いったん帰ろう。こんな所にいても魔王は来ない。ユミの言う事をいちいち真に受けてはダメだ」


 うわぁ~……聞かなきゃよかった。

 もう、ガッツリと『クルミ』とか言っちゃってるし。

 やっぱ、あのアタオカ魔法少女の正体は胡桃なのか……


 っていうか何だよ。私の言う事を真に受けるな、って。

 それじゃあ私が毎回嘘ばっかついてるみてぇに思われるじゃねぇかよ。


 何か逆にやる気が出て来たな。

 意地でも魔王としてそっち行ってやるから覚悟しろよ浮遊狐。


「ねぇ……そもそも大間さんって何者なの?昨日も別の魔法少女と一緒にいたし、変身もしてないのに魔法使ってたし」


 あ、やっぱ胡桃のヤツ、それ気になってたんだ……それ気になるんだったら、私に直接聞きゃあいいのに、何で浮遊狐に聞いてんだよ。


 にしても、意識して聞いてみると、確かに声は胡桃だな。「コイツは胡桃だ」ってわかった上で聞かないと気付かないレベルかもしれんけど。

 何でそこまで性格が普段と違うんだよ?


「ユミは……彼女は特殊なんだ……詳しくは言えないけれど、一部界隈ではあるかもしれないけれど世界中から危険視されているんだ。あまり関わらない方がいい……このまま関わり続けると、いずれ死んでしまうかもしれないよ」


 うん、そうだな。嘘は言ってないな。

 私の正体は魔王だもんな、そりゃ特殊だ。

 災害認定とかされてるから、世界中から危険視もされてるな、主にオマエんとこの世界からな。

 関わり続ければ、いずれ魔王としての私と対峙するわけだから、そんときゃたぶん死ぬな……蘇生させっけど。


 間違った事は言ってないんだろうけど、言い方ってもんがあるだろ?何でそんな意味深な言い方で、私をディスる?

 私の交友関係を壊そうとするのやめてもらえないか?



 さて、いつまでも奴等の話聞いてても仕方ない。

 私の信頼度が下がりきらないうちに、さっさと行動に移るか……


「にしても、魔王はいつ来んだよ?……噂話してた連中に詳しい時間まで聞いときゃよかったな。私待つのって苦手なんだよな……やっぱ帰っかな」


 クソガキ先輩から「お前がここにいる限り魔王来るわけねぇだろ?」的な視線を向けられるが無視する。

 ルリちゃんにバレないように変身するための演技だっての!気付けよクソガキ先輩。そういうとこだぞ!


「え~!裕美ちゃん帰っちゃうの?一緒に魔王見学しようよ~」


 魔王見学のどこに楽しさを見出したらいいのかまったくわからんけど、私がここに留まってたら、絶対に魔王は現れないんだよルリちゃん。


「じゃあ魔王が現れたら、電話かメール頂戴。そしたら戻ってくるわ……何だったらクソガキ先輩は残しておくからそれで我慢してくれ」


「は?」


 私の発言を聞いて、クソガキ先輩から若干ドスの効いた声があがる。

 その、心底嫌そうな顔すんのやめろよ。少しは空気読んでくれよクソガキ先輩。


 とりあえず、クソガキ先輩は無視して、2人に背を向けて歩き出す。


 そして私はどこに帰ろうとしてるんだ?

 帰ったフリとはいえ、家に帰るには大学構内の出入口に向かわないとならないんだけど、そこは例のアタオカ魔法少女こと胡桃が陣取ってるんで、真反対の方へと歩きだしてしまったわけだが?


 まぁ人気のない場所で変身して転移魔法使うだけだから、向かう方向はどこでもいいわけなんだけど、嘘がバレないか心配だ。

 ……ツッコまれたら「部室に戻った」とか言っときゃいいかな?


 そんなわけで、胡桃のヤツには、ちょっとだけお灸を据えてやるか。


 正直、魔王軍関係者(わたしたち)に絡んでこなきゃ、どこで魔法少女ごっこしてても構わないんで、今回はそのあたりを注意しとく感じでいこうかな?


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