表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少女  作者: mizuyuri
第七部
225/252

第九話 誰の仕業?

「おうコラ!クソ狐!あのアタオカ魔法少女は何者だ?今度はいったい何を企んでんだコラ!」


「そうだぞ~!ホント、そういうとこだぞ~浮遊狐くん!」


 現在寝泊まりしているアパートへ帰るなり、飼っているUMAに問い詰める。

 そして事情をまったくしらないハズのユリも、ノリと勢いだけで私に便乗してくる……さすがはもう一人の私だ。


「企んでるも何も、言っている意味がよくわからないのだけれど……きちんと説明してくれないかユミ?」


「そうだぞ~!会話の基本は5W1Hだよ。そんな事もわからないの?お母さん?」


 生意気にも口ごたえしてくる浮遊狐。

 そしてユリがウゼェ……さすがは私のクローンだ。


「とぼけたって無駄なんだよ!どうせまたレイに命令でもされて……ん?」


 とりあえずは「全部わかってんだよ!」的な事を言おうとした、そのタイミングで、私の携帯が鳴る。


 誰だよ!?すげぇ肩透かしくらった感じなんだが!?空気読めよ!!

 スマホを手に取ると、そこには幸の名前が表示されていた。


 ……うん、幸なら納得だ。アイツ空気読めねぇもんな。


「すまん、ちょっと待ってろ」


 一言、会話を中断する旨を浮遊狐に伝えて電話に出る。

 これでどうでもいい内容だったら、後でぶっ飛ばすからな幸。


「もしもし……」

『裕美様!大変です!!大変なんです!!』


 電話に出るなり、いきなりテンパった声を出す幸。


「いったん落ち着け幸。何が大変なのかを順を追って説明しろ」

『わかりました!すぅ~……はぁ~……落ち着きました。では順を追って説明しますね裕美様!とりあえず大変なんです!』


 うん。とりあえず全然落ち着いてない事はわかったわ……何のために深呼吸したんだ今?


『私の……私の変身アイテムを無くしてしまいました!』


 ん?変身アイテムを……無くした?


「変身アイテムって、私達魔法少女が使ってる、あの石の事だよな?」

『そうです!ソレです!!』


 まぁ変身アイテムって言ったら、アレしかないよな。

 っていうか幸の場合、変身したら弱くなるんだから不必要じゃね?無くしたって別に困らないだろ?


『私、あの石を御守り代わりにして、いつも通勤用のカバンに入れて持ち歩いてたんです!それが、今見たら無くなってて……普段はあまり物を出し入れしない部分に入れてたんで、最近は全然見てなくて……だから、いつどこで無くしたかのか全然わからなくて……』


 あ~……あるよな、そういうの。気が付いたら無くなってた系のやつ。


「つうか、何であんなモンを御守りにしてんだよ?」


『え?だって、アレがあったおかげで裕美様とも知り合えたわけですし、そういう縁とかって大事だと思って私なりに……』


「魔法使えるやつが、そういうどうでもいいゲン担ぎすんなよ……」


『ど……どうでもいい……ですか……』


 何で悲しそうな声出してんだよコイツ?


「とりあえず安心しろ幸。幸が持ってた石の魔力反応は覚えてるから、後で探しといてやるよ。どうせ誰かに拾われたところで素質がなきゃ悪用されたり……しな……い?」


 待て!ちょっと待て私!

 自分で言ってて気付いたんだが……もし、素質持ってるヤツが拾ったらどうなるんだ?

 しかも、魔法少女に憧れてる系の痛い子が拾ってたりしたら……


「幸……ちょっと待ってろ」


『え?あ、はい』


 いったん幸との会話を保留して、浮遊狐へと視線を向ける。


「なぁUMA……お前、ノゾミちゃんの時あたりで、たしか『性格に難があるヤツは魔法少女にするのは避けてた』みたいな事言ってたよな?」


「キミという前例があるからね。少しでも変だと思ったら避けるようにはしていたよ。才能があるのにスカウトできないのは非常に残念だったよ。この町だけでも十数人そういった子達をあきらめた……」

「あ~わかったわかった!そこまで詳しく説明しなくていい」


 話が長くなりそうだったので、途中で話を打ち切る。


 なるほど、この町だけでも十数人か……それでも確率的には凄ぇ確率なんじゃね?『ただ0%じゃない』ってだけで?


「あと1つ聞いていいか?今レイから何か命令は出されてるか?」


「いちおうユミの監視という任務中ではあるけれど……それ以外は何も言われてはいないよ」


「OK……把握した」


 この浮遊狐の性質上、嘘はつかない。

 嘘をつこうとすると、セリフ棒読みな鼻糞以下の演技をする事は確認済みだしな。

 まぁ大事な情報でも、聞かれなければ一切言わない、ってな性質はあるけど……


 仮にレイの野郎から「絶対に他言無用だ!」って命令を受けていたとしても、さっきの私の質問には「答えられない」という返答をしてくるだろう。たぶん。


 いくら喋れるといっても、所詮は見た目も知能も畜生だ。

 その辺の反応はわかりやすかったりする。


「……待たせたな幸」


『あ、いえ大丈夫です』


 再び幸との電話に戻る。


「なぁ幸……今日、お前の事を襲って来た魔法少女いたよな?」


『はい!いました!!あの子いったい何なんですか!?』


 何か思い出したかのように怒り出してるけど、幸自身が無くしたであろう変身アイテムを、そいつが手に入れたせいでそうなったかもしれないって思考には至らないのだろうか?


「自業自得って言葉知ってるか幸?」


 言っといて何だが、幸には少し難しすぎる言葉だったかもしれないな。


「え?はい。知ってますけど……」


 マジか!?知ってたのか!?

 だったら少しは、自分が無くした変身アイテムのせいでこうなったかもしれない。って可能性を考慮してみろよ!

 アホか?やっぱり中身はアホなのか幸?


 浮遊狐の言う『性格に難が無い人間』の基準って何なんだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
二重の意味でスゲェ。裕美冴えてる、幸マジポンコツ。 感覚派だけどなんだかんだ地頭は悪くないのね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ