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魔王少女  作者: mizuyuri
第六部
197/252

第十六話 親子対面?

「裕美さん……つい、勢いに押されて付いてきちゃったんスけど……私、いる意味あるんスか?」


「すまんノゾミちゃん。まったく無いな……勢いだけで行動に移して悪かった」


 違うんだよ!さっきまでは、レイの野郎が異世界に帰る前に早く見つけないと、って焦ってたんだよ!

 だからこそ、全世界を網羅できる私のサーチ魔法の事とか、一度認識した魔力の持ち主は簡単にサーチ魔法で識別可能な事とか、感知できれば転移が可能な事とか全部失念してたんだよ!

 人探しには人手が必要だ!って考えが先行しただけなんだよ!!


「あの……魔王さん?何で私までつれてこられちゃってるんですか?」


「すまんカエデちゃん。急ぎの案件だったから、つい巻き込んだ……」


 だから焦ってたんだよ!

 口では「レイを探すの手伝え!」みたいな事を言っといて、私一人で事足りる行為を行ってたんだよ!頭より先に体を動かしてた、みたいな感じなんだよ!

 すぐにレイの魔力反応を感知したせいで、咄嗟にその場にいた全員に触れて転移魔法発動しちゃったってだけなんだよ!


 そりゃあ焦りすぎてた私が全面的に悪いよ。

 でもさ、これってよくありがちな失敗だよね?仕方が無かったってやつだよね?つまり私に罪は無いよね!?


「大所帯でいきなり押しかけるなど非常識だとは思わないのか人間災害?それとも、それだけの人数で介護されなてないと、まともに生活できないのか?もしそうだったなら非礼は詫びてやるが?どうなんだ?」


 このクソ自国民族中心主義者(エスノセントリズム)が……相変わらず自分の世界の人間以外は見下してやがるな。

 ちょっと大人数で、宿泊していたホテルの一室に押しかけただけの話じゃねぇかよ。そこまで毒吐かれるいわれはないぞ。


「まぁ人間災害の普段の生活など、まったく興味ないがな……それで?その様子を察するに、僕に何か用事でもあるのだろう?早いところ用件を済ませて帰ってくれないか?」


 いちいち一言多いんだよコイツは……

 ともかく、とっとと用件済ませて帰るってのは賛成だな。

 こんなビジネスホテルのシングルルームに5人もいると狭くて仕方がない……あ!こんな狭い部屋に大人数でいきなり押しかけたりすれば、そりゃコイツじゃなくても少しくらい悪態付きたくなるかもしれんな。

 まぁ今更謝る気はサラサラないけどな。

 つうかコイツも金持ってるんだろうから、もっと高級な宿泊施設に泊まれよ!


 っと、そんな事よりも今はコイツを問い詰める方が先決だな。


「お前、何でこのガキの命を狙ってんだよ?っつうかコイツの事をどこで知ったんだよ?」


 状況がいまいち理解できていないのか、さっきから何も言わずに呆けているユリの腕を掴んで、前面に出しながらレイへと問い詰める。


「なんだ、人間災害と一緒にいたのか……別に命を狙ったわけじゃない。ただ襲わせていただけだ」


 何言ってんだコイツは?ほぼ同義じゃねぇかよ?襲われれば場合によっては命を失うぞ。


「それと……どこで知ったも何も、ソイツは僕の子供みたいなものだ」


 コイツ!ユリが未来から来た、私とレイとの子供かもしれないって知ってやがったのか!?どっから情報仕入れた?浮遊狐は何も知らない……そもそもで、私達がユリと出会った日には、既にコイツの指令でクソガキ先輩に襲撃を受けてる。

 ユリは、記憶喪失になって初めて会ったのが私達だ、ってな事を言っていた。

 だったら、いつレイの野郎はユリの存在を知った?


 ひょっとして、ユリが記憶喪失になったのは、この時代に来た瞬間じゃなくて、最初のうちは記憶があった?

 そこでレイと何かしらの接触があった、とか?


 だったらユリが記憶喪失になった原因は何だ?記憶喪失になった要因にレイが絡んでる?

 記憶喪失になる魔法をレイが使った?いや……都合よい記憶だけを消す魔法なんて私でも使えない。記憶を消す魔法があったとしても、使ったら記憶の取捨選択など出来ずに、全ての記憶を消去して脳死状態になるだろう。

 そもそもで、レイがユリと接触しているのなら、何でレイはファーストコンタクト時にはユリを襲わなかった?新型の強化石ってのがあれば、レイの世界の人間でも攻撃系の魔法が使えるようになるんだろ?レイの魔力があれば、ユリくらい、なんて事なく倒せるだろう……


 駄目だ!頭が混乱してきた!状況がサッパリわからん!!


「どうした人間災害?顔が面白い事になってるぞ。その入っているかもわからん脳で何を必死に考えているのか、低俗すぎて理解したくもないが、無駄な事はしない方が身のためだぞ」


 このクソ野郎が……人が必死に情報を整理しようとしてんのに、いちいちうるせぇんだよ!


「あの……やっぱりお父さん、なんだよね?」


 呆けていたユリが、意を決したように口を開く。


 なるほど……さっきから呆けているように見えたユリは、別に状況が理解できていないわけじゃなくて、目の前に、記憶の中にいる父親の姿をしたヤツが現れたから驚いていた、って感じだったのか。


「正確に言えば、僕が『父親』ではないがな……」


 レイは、私からユリの方へと視線を移し口を開く。


 『正確には父親じゃない』ね……まぁ実際の父親は、未来のコイツであって、今の時代のコイツは実際の父親っていうには微妙な感じだろうしな。

 どこで情報を知ったのかわからんけど、やっぱコイツ、情報を正確につかんでやが……


「正確にはオマエの父親は存在しない。オマエは、人間災害の細胞を媒体にして、私が魔法によって創った、いわば『人間災害のクローン』のようなものだからな」


 ……は?

 このクソ野郎……今、何を口走りやがった?


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― 新着の感想 ―
[良い点] マッドな感じだったのでやりかねないなとは思ってたんですけど、実際にやってると驚きますね…… ユリちゃんの今後の行方が楽しみです
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