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魔王少女  作者: mizuyuri
第六部
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第十五話 確認作業

 世間的にあまり聞かれたくない話、というのは数多く存在している。

 政治家とかが、よくお高い料亭とかに行くのには、そういった『聞かれてはならない話』をするためなのだろう。個室になっているし、ウッカリ聞いてしまっても決して他言しないプロの店員……まさに密談するにふさわしいような場所である。

 ホント……何のために官邸があるのか意味がわからなくなる。そこ使えよ?何でわざわざ高い金払って料亭行くのだろう?


 そんなわけで私は、今現在、世界で一番の権力を持ってはいるが、どんなに偉い立場であっても料亭は使わない。きちんと然るべき場所で話し合いをすればいいだけなのだから。


「裕美さん。自分が何言ってるか理解してるんスか?本当に、何度言ったらわかってくれるのか知らねッスけど、いちおう言っとくッス……ここ!私んちっす!!」


 ()()()()()ノゾミちゃんの部屋へと転移しただけなのに、何故かめちゃくちゃ怒られた。


「しゃあないだろ……私んちに転移なんてしたら、私の住所バレちゃうじゃんかよ」


「だからって、何で私の住所を見ず知らずの人にバラしてんスか!?」


 また怒られた。


「で?今回の新キャラはいったい何者ッスか?」


 そういや、まだ名前すら聞いてなかったな。

 わかってんのは、過去に私にやられた魔法少女だ、って事だけだな。


「あ~……名前は知らん」


「だから何でそういうのを、毎度毎度私んちにつれてくるんスか!?もう何かよくわかんない病気か何かなんじゃねッスか裕美さん!一回病院受診してみたらどうッスか?」


 なんかノゾミちゃん、最近会うたびにツッコミ……というか罵倒のセンスが上がってるような気がするな。

 このまま続けたら、最終的にはどんなレベルの罵倒を浴びせてくるのか、ちょっと興味がわいてきたぞ。


 ただ、今はそんな事よりも、他に優先するべき事があるので、そちらに集中しよう。


「おいダルマ。お前、名前なんていうんだ?」


 そう!まずはこの魔法少女の呼称をはっきりさせないと、話がしにくい。


「『ダルマ』はやめてください……(ひいらぎ) (かえで)といいます」


 ほうほうなるほど。カエデちゃんっていうのか……


「だ、そうだぞノゾミちゃん。これで名前がわかったから万事解決だな」


「名前わかっただけで、なんも解決してねぇッスよ!?」


 ごもっとも。


「で?何すか?また、そっちの記憶喪失少女が、そのカエデさんに襲われたとかで、前回と同じように拉致ってきた、とかなんスか?」


 おお!さすがはノゾミちゃん。話が早くて助かるな。


「あ、私の名前……暫定的だけど『ユリ』って事になったんでよろしくですノゾミさん」


 タイミングを見計らうかのように自己紹介をするユリ。

 そういやノゾミちゃんにはまだ言ってなかったか。


「え?あ、よろしくッス……ってそうじゃねぇッス!?自己紹介し合うだけなら私んちじゃなくて、合コンでも行ってりゃいいじゃねぇッスか!?」


 おお、ここでノリツッコミとか、腕を上げたなノゾミちゃん。

 いや、呑気にそんな事考えてる場合じゃないな。

 あまりにツッコミの連射で、このままだとノゾミちゃんの血管とか千切れちゃいそうだ。

 いい加減本題に移ろう。


「とりあえず落ち着けノゾミちゃん。前回同様、聞きたい事聞いたら、とっとと帰るからちょっとだけ我慢してくれ」


「まぁ来ちゃったもんはしょうがねぇッスからね……私も別に忙しいわけじゃないッスけど、すぐに済むなら早いとこ済ませてくれるとありがたいッス」


 うん、ノゾミちゃんのこういうサッパリした性格やっぱ好きだわ。

 だからこそ、何かあった時はノゾミちゃんち使いやすくていいな。


「ってわけでカエデちゃん。さっそくだけど質問させてもらうぞ」


 さっそくカエデちゃんの方へと向き直り話し始める。

 その瞬間にカエデちゃんは神妙な面持ちになる。


 いや……ただの確認作業みたいな質問するだけだから、別にそこまでかしこまる事ないんだけどなぁ……いちおうはマジメな話に切り替わるわけだから、それはそれでいいのかもしれないけど……

 まぁいいか、そのまま続けよう。


「ユリ……このガキを襲ったのは、お前がこのガキをどうこうしたいってのじゃなくて、頼まれたから襲った、って事でいいんだよな?」


 おそらく前回のクソガキ先輩……じゃなかった!まひるちゃんと同じかどうかの確認をする。


「は……はい。そうです……何で知ってるんですか?」


 だから何で敬語なんだよ!?初対面の時みたいにタメ口でいいってのに……いや無理か。こいつも例に漏れずに私にトラウマ持ってるみたいだしな。

 何でそんなにトラウマ持ってんだよ?私、超優しいじゃん!?ちゃんと蘇生だってしてやってるんだし。

 まぁ今は、そんな事はどうでもいいか……


「詳しい事になってくるとわからんけど、いちおうは色々知ってるよ……お前にソレを依頼したのが浮遊狐だって事もな」


 案の定まひるちゃんと同程度の情報しか持ってないとふんで、確認の意味をこめて浮遊狐の名前を出す。


「『浮遊狐』ってもしかしてキューブさんの事……ですか?いえ……確かにキューブさんもいましたが、私に依頼をしてきたのはキューブさんではないです」


「は!?」


 思わず変な声が出る。

 っていうか違うの!?


 話を黙って聞いていたユリとノゾミちゃんも、私と同じように「違うのかよ!?」みたいな顔になっている。

 どうやら皆思っている事は同じだったようだ。私一人だけ驚いた、とかじゃなくて安心した……じゃねぇよ!安心なんてできねぇよ!浮遊狐じゃねぇなら、いったい誰に依頼されたんだよ!?


「えっと……スーツ姿の結構なイケメンなオジサンで……」


 特徴を聞いた感じの印象だとポチっぽいような……


「キューブさんからは『レイ様』って呼ばれてました」


「アイツ今こっちの世界来てんのかよ!!!?」


 カエデちゃんの言葉にかぶせるようにして思わず叫び声を上げてしまう。


「ユリ!すぐに出かけるぞ!!ノゾミちゃんも暇なら探すの手伝ってくれ!!」


 すぐに指示を飛ばす。

 アッチの世界に逃げられる前に早く確保しに行かなければ!!


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