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魔王少女  作者: mizuyuri
第五部
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第二十二話 ポチの目的

「……というわけさ。ポチ君の狙いはマオウ・サマであって、私はそのための踏み台として襲われただけだったみたいだね」


 エフィから何があったのかを説明される。


 あ~……まぁ、そうだわな。

 ポチの性格を考えれば、より強い力を得たら、そういう行動にでるわな。

 うん、これ以上無いくらいに凄く納得のいく状況だ。


「しかし腑に落ちない点もある……確かにポチ君の魔力は強くなった。が、マオウ・サマに匹敵する強さかというと全然そんな事はない。ポチ君ともマオウ・サマとも戦った事がある私だからわかるのだけれど、ポチ君にはマオウ・サマと対峙した時のような絶望感は無かった……」


 まぁエフィの言わんとする事はわかる。


 ポチがいくら強くなったっていっても、まだ私の域にまでは達していない。

 いきなり魔力が強くなったからって「俺強ぇ!俺最強!!」とか、最近こっちの世界に来てる異世界人同様イキり出したりは、ポチの性格上ありえない事だ。

 むしろポチの性格を考えれば、私との戦力差は冷静に分析できているだろう。


 つまり、戦力差をわかった上で、何で私に牙をむいたのか?ってのをエフィは言いたいのだろう。


「魔力の差を埋め合わせるだけの戦術でもあるんじゃねぇの?何か考えがあっての行動だろ?たぶん。いきなり私のところに来ないで色々と準備してるって事は、力を手に入れたから起こした突発的な行動じゃないだろ」


 実際ポチは、魔力の差をそこまで重要視してないのかもしれない。

 同程度の魔力を持ってるサクラと幸の二人を相手しても、戦い方一つで互角にやりあってたしね。

 単純な魔力総量だけで戦力差を考えるなら、この時は倍の魔力を相手してたような感じだしなぁ……


 それに、魔力量だけで勝敗が決まるなら、ノゾミちゃんクソ弱だろうし。


「つまりポチ君には勝算がある、という事なのかい?……それがわかっているのに、マオウ・サマは随分と余裕そうにも見えるのだけど?マオウ・サマも何か秘策でもあるのかい?」


「ん~……秘策があるわけじゃないんだけど……何というか、ポチも勝算があるから行動してるわけじゃないと思うぞ」


 とりあえず、思った事をそのまま口に出してみる。


「どういう事だい?」


 まぁそうだよね。そういう反応になるよね。


「ポチは、ただたんに私と戦いたいだけなんじゃないか?」


「……よく、わからないね?」


 だよね。

 私も憶測で喋ってるだけだしね。


 たぶんポチは魔力が強化されて、反魔法の攻略法もわかったから、それで私との差がどれだけ縮まったのかを確認したいだけなんだと思う。


「何て言うか……ポチはただの戦闘狂で、強くなったから力試しがしたいから、より強い相手と戦いたい。負けるだろうけど、簡単に負ける気はない……むしろワンチャン勝てるんじゃね?勝てたらラッキー!……みたいな感じなんだと思うぞ?」


 適当な感じで喋ってはみたけど、たぶんコレで概ねあってるんじゃないだろうか?


「それで……ポチ君はマオウ・サマを倒して何を狙っているんだい?今のマオウ・サマの地位?世界の転覆?」


「さあ?それはポチ本人に聞いてみないとわからんけど……たぶん勝ったら勝ったで、その先は考えてないんじゃね?……いや、そうでもないか?より強いヤツがいないか探しにでも行くかもな『俺より強い奴に会いに行く!』的な感じで」


 ポチの頭の中には『地位』だとか『世界のウンチャラ』だとかはまったくないだろ。

 そんな物があるなら、この世界来ないで、元居た異世界で魔王の座にずっと収まってただろうしね。


「ポチ君は目的もなく行動している、とでも言うのかい?」


「いや、私と戦うって目的があるじゃん」


「そうではなくて……!?戦いとは、目的を達成させるための手段であって、それ自体が目的などというのは……」


 あ~……エフィのヤツ難しく考えすぎだな。

 目的だとか手段だとか……ただ強い相手と戦いたいってだけの、いわば夢に向かって努力してる子供みたいな事してるだけだぞ、ポチのやつは。


「ほら、アレだ……世の中には手段の為ならば目的を選ばないという様な、どうしようもない連中も確実に存在するのだ、ってやつだ」


 汎用性高い名台詞だなコレ。また言えるタイミングがあったら、今度はちゃんと言ってみたいなコレ。


「それでは、本当に……ただの戦闘狂ではないか……」


 微妙に不機嫌そうにつぶやくエフィ。


 そりゃあそうか。

 そんなのの巻き添えくって大怪我させられてるわけだから、怒って当たり前だわな。


「それで?ポチ君をどうするつもりだい?」


「最終的には勝手に私のところに来るだろうから、放っておいていんじゃね?」


 来るってわかってるのに、わざわざ出向いて行くほど面倒臭い事はない。


「当人は欲望に忠実に動いてるだけで、裏切り行為をしてるつもりは無いだろうから、私と戦えさえすれば元の鞘に収まるだろ……終わった後に多少のペナルティは与えるけど、とりあえず今は放置でいいだろ……実害被ったエフィには悪いけどな」


 これで「裏切ったから!」とか言って処断するのは、ポチの優秀さを考えると惜しいし。


「まぁこれ以上、度が過ぎるおいたをしたら止めには行くけどな……それでいいか?」


 大怪我させられたエフィからしたら腑に落ちない結果かもしれないが、そこは我慢してもらうしかないかもな……


「いや、そうではなくて……ポチ君が抜けた仕事の穴はどうするのか聞きたかったのだけれど……マオウ・サマがどうにかしてくれるのかい?」


 そっちの心配かよ!?


「ひ……暇そうにしているサクラにでもやらせる、ってのは……?」


「無理だね!」


 即答かよ!?

 サクラ……強く生きろ……


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