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魔王少女  作者: mizuyuri
第五部
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第二十一話 事情聴取

 転移魔法を使って、すぐにエフィが住んでいるアパートへと移動する。

 時刻は既に日付をまたいでいる。


 ……明日休日で良かったぁ。

 まぁ平日だったら、急いでこんなとこ来ないで「じゃあ明日学校終わったら話聞いてやる」とか言ってたかもしれないが、あいにくとそうはならずに、私はこんな時間にフラフラと出歩いているってのが現状なのである。


「お姉ちゃん……エフィさん、大丈夫なのかな?」


 泣きそうな顔をしながら、後ろからついて来ている絵梨佳がつぶやく。


 ヴィグルから連絡があった時一緒にいたため、事情を知り「心配だからついていく」と言い出した絵梨佳をとりあえずは一緒に転移魔法で連れてきている。

 昔から、一度決めたらよっぽどの事が無いと意見を変えようとしない絵梨佳の事だ、私が「ついて来るな」と言っても、たぶん聞かなかっただろう。

 そんなくだらない理由で押し問答やってる時間がもったいないと思い、特に渋ることなく許可をした。


 まぁぶっちゃけた話、絵梨佳がいてもいなくても何か変わるわけでもないだろうから、頑なに拒否する理由もないわな。


「ヴィグルの話じゃ、傷は酷いが命に別状はない、ってな事だから大丈夫だろ……アイツ見た目よりも、かなり頑丈だし」


 魔力封印状態で、成層圏からパラシュート無しスカイダイビングしても、しぶとく生きてたしな……


「ともかく、こんな所でグダグダと安否を気遣ってても始まらんだろうから、とりあえず中入るぞ」


 まだ何か言いたそうだった絵梨佳の発言を遮るようにして喋りながら、玄関の呼び鈴を押す。


『裕美様ですか?どうぞ、お入りください』


 すぐにインターホンからヴィグルの声が聞こえてきて、施錠してあった扉の鍵が開く。

 それを確認すると同時に、私は一切の遠慮をせずに、中へと入っていく。


「お……おじゃましま~す……」


 私の後ろで、申し訳なさそうなトーンで軽く挨拶をしながら絵梨佳が続いてくる。


「お休み中のところ、わざわざご足労いただきありがとうございます裕美様」


「社交辞令な挨拶はいい。それで?エフィはどうなってる?どんなヤツにやられた?」


 リビングに入るなり、ヴィグルが出迎えにやってくるが、とっとと本題に入るように促す。


「やあマオウ・サマ。心配かけてすまなかったね……私は見ての通り、今は回復して元気だよ」


 ヴィグルに話をふったハズが、隣の部屋からエフィの声が聞こえてくる。

 覗き込んでみると、包帯や絆創膏だらけの姿をしたエフィがそこにいた。何か、幸の第一印象みたいな状態になってんな。


 とりあえず、どこをどう解釈したら『見ての通り』なのか説明してほしいところではあるが、今はそういう細かいボケを拾っている暇はないのでスルーする事にする。


「また魔王軍の医療体制に助けられてしまったね……それに、今回はステラも手伝ってくれたので、より早い段階で復帰できそうだよ」


「いえ……ワタクシなんて……少しでもお役に立てたならよかったです」


 ベットに横たわっているエフィの隣で、照れくさそうな表情をするステラちゃん。

 とりあえずステラちゃんが天使なのはわかってるから、話進めていいだろうか?


「回復してるなら話できるなエフィ?どんなヤツにやられた?反魔法は使わなかったのか?」


 聞きたい事は山ほどある。


 エフィに重症を負わせる事ができるようなヤツは、この世界だと私くらいだろう。

 ってなると、考えられる犯人像は異世界から来たヤツだ。


 ただ、今までの傾向を見ていると、とてもじゃないがエフィをどうこうできるようなヤツがいるとは思えない。


 そこで一つの可能性として浮上してくるのが、浮遊狐が言っていた『レイ様』なる人物。


 浮遊狐が言うには、今までの雑魚連中と違って、強さが未知数って事なので、可能性としてはかなり高いのかもしれない。


 私とヤるための腕試しでエフィと戦ったのか、エフィの魔力が高かったから、エフィを『人間災害』と勘違いして襲ったのかはわからないが、たぶんそんな感じの流れなんだろう。


 自分から汗を流したりする運動が嫌い、って情報も浮遊狐が言ってたような気がしなくもないが、そこは……アレだ!能ある鷹は爪を隠す、的な感じで、今まで誰にも本当の実力を見せてなかったとかどうだろうか?

 警戒心の強い奴だったら、おいそれと自分の情報を漏らしたりしないだろうし、大事な場面がやってくるまで、本当の実力は隠すだろう。


 しかし問題になるのは反魔法だ。


 私ほど使いこなせていないとはいえ、エフィは仮にも反魔法を使える。

 魔法を使ってくる相手に対して絶対の効果がある反魔法があるのに、エフィは負けているのだ。


「その疑問はもっともだマオウ・サマ。卑怯だとは思ったが、勝つために反魔法は使ったよ……だが、結果はこのザマさ。反魔法をあっさりと打ち消されてしまったよ」


 打ち消した!?反魔法を!?初見で!!?


 ……待て。

 『初見で?』……


 自慢じゃないが、反魔法は自信作だ。

 初見であっさり破られるほどやわな術式は組んじゃいない。


 冷静になって考えろ私……相手は本当に()()()()()のか?


「エフィ……相手は誰だ?どんな容姿をしてた?」


 何となく嫌な予感がする。

 どんな回答がくるのか、何となくだが予想できてしまっている。


 たぶん……エフィを倒したってのは……


「ポチ君だ……私は、赤い髪になっていたポチ君にやられてしまったんだ」


 予想は……的中した。


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