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魔王少女  作者: mizuyuri
第五部
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第十九話 肩透かし案件

 お金をあげるあげないは一旦置いておき、ここが学校でリリーちゃんは部外者という事もあり、とりあえずは放課後まで外で待っていてもらう事にした。


 もちろんその間、特殊イベントが重なる事もなく、何事もなく時間は経過する。


 そうそう、こういう日常でいいんだよ。突然起こる意味不明なイベントなんて、そうそう何度も起きてたまるかっての。


 そんなわけで学校も終わり、無事リリーちゃんと合流した私達。

 こんな何もない場所で立ち話ってのも何だから、とりあえず私の家に行くという、何故かよくわからない事が決定された。


 問題は、私の家にはどっから見ても立派なUMAな浮遊狐が居座っており、ここに集まった面子にミキちゃんが含まれていた事だった。


 たぶん、何となく昼休みからのノリで一緒にいるんだろうけど、立派な一般人であるミキちゃん……ん?一般人の括りでいいんだよな?ミキちゃんも大概にアレだけど一般人でいいのか?……まぁ細かい部分にツッコミ入れてたら話が進まないんで、とりあえず一般人なミキちゃんを浮遊狐に会わせるわけにはいかないのである。


 とはいえ、理由が説明できないのに、いきなり「ミキちゃんは来んな」とか言ったりしたら、立派なイジメになってしまう。

 しかも、結構ダメージでかい系なやつだ。


 そこで、ちょっとばっかり幸に犠牲になってもらい、ミキちゃんに「魔王ファンクラブの事で話がしたい」と言って誘い出し、別行動をとってもらったのだった。


 まぁ言ってしまえば、ミキちゃんだけじゃなくて、幸や、今一緒に私の家にいる美咲もリリーちゃんとはそんな接点ないんだから、別にいる必要はないんだよね。


 怖いね、その場のノリとテンションって……


 そんな様な経緯もあり、とりあえず手始めに「お金ってのは稼ぐのが大変で、簡単に手に入るなら誰も苦労しないんだよ」というような、子供にする様な説教をリリーちゃんにしてあげたのだった。


「……うん、知ってる……ウチ……貧乏だから……」


 結果、若干返答に困る言葉を返されるのだった……


「へぇ~そうなんだ。じゃあアタシんちと同じだね」


 そして適当な返事をする美咲。

 たぶんリリーちゃんの言動的に、美咲の言う貧乏とはちょっとレベルが違うガチ目なやつな気がするんだけど、まぁそこはツッコまずに流しておこう。


「ともかくリリーちゃん。貧乏なのはわかったけど、だからと言って楽して金もらおうとか、そういう考えはなくしていかないと、他の人からの信頼とかその辺が無くなってくから……」


「あ、ちょっと待ってユミ……ユミの部屋に読んだことない漫画いっぱいあるから……読んでいい?」


 って人の話聞いてねぇし!!?

 やっぱ天然か!?天然なんだなリリーちゃん!?


「じゃあリリーちゃん、この漫画とかアタシのおすすめだから、まずこの辺から読んでみなよ」


 そして何故か、人んちにある漫画を勝手におススメしだす美咲。

 ついでに自分でも別の漫画を取り出して読み始めてるし!?何しに来たんだよコイツ!?


「………………」


 二人して漫画を読み始めてしまったため、途端に手持無沙汰になる私。

 ホント……何のために私の部屋に来たんだよ……


「話は済んだかい?だったら僕の話を聞いてもらってもいいかな?」


 それまでは黙って部屋の隅にいた浮遊狐が、ここぞとばかりにすり寄ってくる。

 うん、控えめに言って超ウザい。


「んだよ?とりあえず聞くだけは聞いてやるよ……」


 無視したところで、私が何もすることが無い事には変わりはないので、暇にはなったので話を聞いてやる事にする。


「とりあえずコレは決定してしまった事だから、話をするというよりも、報告するだけなんだけど……」


 何やら不穏な前置きをする浮遊狐。

 もうこれ以上私を厄介事に巻き込むのはやめてほしいのだが……

 でもまぁ、真っ先にしゃしゃり出てこなかったってのを考えると、そこまで厄介な事でもないのか?

 この浮遊狐、優先順位の高い事とかは、人が話してるのを遮ってでも喋ってくるから……


「近いうちにレイ様が直々にこの世界にやって来るそうなんだ」


 …………は?


 ちょっと待て?冷静に整理してみよう。

 その『レイ様』ってのはたしか、この浮遊狐をはじめとした、いかれたUMA共を作ったっていうクソ野郎で、私に懸賞金かけたってのもソイツの仕業なんだよな?


「超重要事項じゃねぇかよ!!!?」


 コレってアレだろ?

 放った刺客共が、いつまでたっても私を倒せないでいるから、ついに大ボス自ら動き出した、的なやつだろ?

 つまり、ソイツをヤっちまえば、今回のこのゴタゴタは無事解決して一件落着ってなるやつだよな!?


「いや……遠くから監視される事はあるかもしれないけど、たぶんユミとは直接は関わらないんじゃないかな?視察みたいな感じだって言っていたし」


 何しに来んだよ!!?

 あ、いや……視察に来るんだろうけど、そうじゃなくて……何ていうか、偉そうにしてるやつは、偉そうにしてるだけの実力ってもんを示すための行動しろよ!?

 そうすりゃ返り討ちにして、今回の件は終わるんだよ!終わらせてくれよ!?私にかけられた懸賞金を支払うヤツがいなくなれば、必然的に懸賞金取り消されるだろ?それでいいじゃねぇかよ!?


「その顔を見れば、ユミが言いたい事は何となくわかるよ……でもレイ様は運動とかして汗をかくのが大嫌いな人だから、たぶん直接戦いを挑んでくるような事はしないと思うよ」


 少しは運動しろよ!?それで私にボコられろよ!!

 来んなよ……この状況が何も変わらないなら、来んじゃねぇよ疫病神が!?


「えっと……ユミ……顔がスゴイ事になっているよ……僕がこんな事言うのも何だけど、とりあえずキミも彼女等と一緒に漫画でも読んで、少し気持ちを静めるのはどうかな?」


「……そうする」


 浮遊狐に促されるのは、それはそれでムカつくけど、いったん落ち着くってのには賛成だ。


 何だよクソが!

 期待させるだけ期待させて、結局はただの肩透かしじゃねぇかよ。


 っつうか、今、何となく読みたい気分の漫画の1位と2位の漫画を、リリーちゃんと美咲が読んでるし!?


 ……もう、ふて寝でもしようかな?


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