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魔王少女  作者: mizuyuri
第五部
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第七話 容赦はしないノゾミちゃん

「……って事になってるらしいんだよ。酷くね?」


「まぁわからなくもないッスね。いずれそんな様な事にはなるんじゃないか、とは思ってたっスよ」


 私に懸賞金がかけられた事を知った翌日、さっそく学校帰りにノゾミちゃんち寄って愚痴をこぼしていたのだが、何故かノゾミちゃんにはあまり驚いてもらえなかった。


「裕美さん自分が危険人物だって自覚あるッスか?安全装置が解除された核の信管が歩いてるようなもんッスよ?それを何とかしようって思うのは普通の考えだと思うッスけどね」


 何か例えが酷くない!?


「いや、さすがにそこまで危険じゃなくね?」


「そう思ってるなら、5分で世界を一つ滅ぼした事がある魔王の話とかしてあげてもいいッスよ」


 ああ……そういや、そんな事もあったかもしれないな。

 私は過去を振り返らない、今を生きる女なのさ……うん、言ってて虚しくなってきたな。


「とりあえず、私がこの前、異世界人にケンカ売られた理由がわかったんで、少しスッキリしたッス」


「ん?何?ノゾミちゃんも、既にそれ系のバカに絡まれてたのか?」


 まぁ私がケンカ売られた理由が『この世界の人間なのに魔力持ってるから』って事だったから、その理由で言うならノゾミちゃんも該当してるから、おかしくはないのか。


「一昨日ッスね……部活終わって帰宅してる最中に、いきなり声かけられたんスよ『何で変身もしてないのに魔力持ってるんだ?人間災害の関係者か?』って……」


 いきなり後ろから魔力弾ぶっ放された私よりかはマシな感じだな。


「関わりたくなかったんで無視してたんスけど……『人間災害を庇ってるのか?お前程度の魔力じゃ私には勝てないぞ、死にたくなかったら人間災害の居場所をはけ!素直に話すならお前の命だけは助けてやる』って言われたッス」


 何かどっかで聞いた事のあるような中二病セリフだな……エフィの関係者か?

 にしても完全に油断してんなソイツ……ノゾミちゃんは魔力は低いけど、使う魔法はえげつない破壊力だから気を付けた方がいいんだけどな。


「んで?どうしたんだ?」


「何か上から目線が気に食わなかったんで、何も言わずに右腕吹っ飛ばしてやったら、泣きながら帰って行ったッス」


 うわぁ……ソイツも災難だったなぁ……サイコパスなノゾミちゃんになんて声をかけたばっかりに……


「あ、ちなみにソイツ、変な石とか持ってて、赤い髪に変身して魔力増加とかしてなかったか?」


「さぁ?石は持ってたかどうか知らねッスけど、髪は緑色っぽかった気がするッスよ」


 さすがはサイコパスノゾミン。謎の、魔力が増加するアイテムを使わせる事なく返り討ちにするとは……


「ってか何スか?その『魔力増加』って?魔力増える石があるんなら、私、超欲しいんスけど!?」


 ノゾミちゃんのネックは魔力総量が低めなところだからなぁ……そりゃ魔力増加アイテムとか欲しいだろうな。


「常に変身魔法使ってる状態だもんな……それだけでも魔力消費けっこうしてるんだろ?」


「そうなんスよ!この状態維持しながら、強力な魔法2・3発使うと、すぐ魔力切れ起こしそうになるんで、切実なんスよ!」


 かなり食いついてきてるなノゾミちゃん。

 まぁ実際のところ、あの謎の石が、本当に魔力増加アイテムなのかの確信はないんだけどね。

 昨日私が見た状況だけで、勝手にそう判断してるってだけで、本当はあの石、違う効果があるのかもしれんけど……浮遊狐なんか知ってるかな?癪だけど今度聞いてみるかな?


「そういえば、前から疑問だったんスけど……」


 話題を変えるかのように、突然テンションを変えてノゾミちゃんが口を開く。


「裕美さんって、変身しなくても強力な魔法使ってたりするッスよね?転移魔法とか……何で魔力切れしねぇんスか?」


 え?そんな事を前から疑問に思ってたの?


「私が魔法使った後とかに、サーチ魔法で私の魔力残量とか覗いてみた事ない?」


「いや、ねぇッス」


 まぁそりゃあ、一発魔法使うごとに、いちいちサーチ魔法とか使わないわな……


「そうだな……変身前の私の魔力総量が『10』としよう。で、魔力消費量が『9』の転移魔法を使ったとする……残りはいくつだと思う?」


「普通に考えれば『1』ッスよね?」


 そうだな、普通に考えればそうだよな……


「答えは『10』のままなんだ……即座に回復してんだ、私の魔力量」


「……は?」


 何か今の声、微妙に殺気が混じってなかったか?


「私の体って、潜在魔力?みたいのがあるみたいなんだよ……変身後の魔力総量がソレになるみたいなんだけど……仮に、その潜在魔力が『10,000』くらいあるとすると、変身前の『10』に、使った分が潜在魔力から即補充されてるみたいなんだよ」


「……はぁぁ?」


 だから何だよ、その殺気が混じった声は!?


「さすがに一発の消費量が『10』を超えるような魔法は変身しないと使えないんだけど、消費量が『10』以下の魔法は、変身しなくても乱発できるってわけだ」


 まぁ変身前の魔力量『10』で、一発の消費量が『20』くらいの魔法を使えちゃったら、私変身する意味がまったくなくなるから、魔王としての私の存在意義を考えるなら、それでいいんだけどね。


「いい加減、そういうチートツール使うの辞めてくんねッスか?」


「チートじゃなくて仕様なんだけど……」


「とんだクソゲーっスね」


 だから、人の人生クソゲー扱いすんのやめろや!?


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