第六話 魔王相談役:ノゾミちゃん(魔法少女)
「なぁ?ノゾミちゃんは魔法少女モノのアニメって観てる?」
「さすがに今は観てないッスけど、小さい頃は観てたッスよ」
毎度の事ながら、ノゾミちゃんちの店で飯を食いつつ、これまたいつもの事ながら、ノゾミちゃんとの会話での話題の一つとして、ちょっとした事を質問してみたのだった。
「いや……そもそもで私達って魔法少女ッスよね?じゃあ、現実をちゃんと直視しているって意味だと、今でも見てるって答えが正しいんスかね?」
「そんな哲学的な答えなんか期待してねぇっての……」
そもそも『アニメ』って言ってんだろうが……誰が現実の話をしろっつったよ?
っていうか、最初に『さすがに今は観てない』って言った?
もしかして、この歳になったら観ちゃダメとかいう偏見持ちかノゾミちゃん!?今でも観てる私への当てつけのつもりか何かか!?
「期待してない、って言うなら、どんな答えを望んでたんスか?」
望んでた答えは、最初の一言で聞けたんだけどな……
「別に大した事は望んでねぇよ……ただ単に、魔法少女モノのアニメ観てるやつと観てないやつで、魔法少女のイメージ図っての違ってくるもんなのかなぁ、って思ってね」
「関係無いんじゃねッスか?アニメ観てなくても、何か別番組中のCMだったり、どっかしらの店頭でのおもちゃ陳列とかで、自然と目に入りやすいとこにあったりするもんスから、知識としては持っててもおかしくないと思うッスよ」
言われてみれば確かにそうかもな。
今や魔法少女モノのグッズなんて、掃いて捨てるほどの数がある。
それを、長年生きてきて、一切視界に収めないなんて、普通に考えてありえないだろう。
「ちなみに、ノゾミちゃんが持ってる魔法少女のイメージってどんな感じ?」
「う~ん……服にリボンたくさんついてたり、妙にヒラヒラした衣装だったり……ってな感じッスかね?」
まぁ一般的なイメージはそうだよね。
「魔法少女に変身したノゾミちゃんの衣装って、イメージとだいぶ違くね?」
「そうッスね。何でかわかんねぇッスけど……でも、私としてはその格好の方が、動きやすいんでありがたいッスね」
うん、だと思った。
ノゾミちゃんの性格上、あの格好は似合ってるというか、しっくりくるというか……とにかく、私の予想通り、ノゾミちゃんの変身後の姿は『性格を表す格好』って事で間違いなさそうだ。
「それに、短いスカートとかで戦ったりしたら……ほら、パンツ見えちゃったりするじゃねッスか!アニメとかだと、絶対にめくれない鉄壁スカートだったりするッスけど、現実はそうじゃないじゃないッスか!そんな風に、スカートの内側気にしながらだと、絶対戦いに集中できないと思うんスけどね」
語るなぁノゾミちゃん……別にそこまで詳しくは聞いてないんだけどなぁ……
「あと、私の今の状態は、どっちかと言ったら、魔法少女の姿の方が変身前で、この姿の方が変身後って感じなんで、さっき裕美さんが言った『魔法少女に変身したノゾミちゃんの衣装』ってのにはちょっと語弊があるッスよ」
「うるせぇよ!意味がちゃんと通じてればそれでいいだろが!」
いちいち揚げ足取りする必要あったか今?
「冗談ッスよ……でもまぁ、魔法少女のイメージって言ったら、やっぱり裕美さんや美咲さんの格好が、それに近い感じじゃねッスか?」
ふむ、どうやらノゾミちゃんは私と同意見のようだ。
やっぱ、魔法少女って言ったら、私や美咲の格好みたいなのを想像するよな。
って、ちょっと待てよ?
絵梨佳に変身アイテム渡した時に、私は変身した状態だったよね?
変身してる私の姿を見てるなら、魔法少女のイメージ図ってのを絵梨佳は目にしてるから、その見た目に思考が引っ張られて、私みたいな格好になっていてもいいハズなんだけど……
どういうこっちゃ?
「で?その魔法少女の衣装がどうかしたんスか?」
「ん?いや、べつに大した意味はないんだけど、何となく聞いてみただけだ……」
ノゾミちゃんの問いかけに、ちょっとお茶を濁したような返答をしておく。
「ちなみに……実は私に、私とはあまり似ていない妹がいる、って言ったら信じるか?」
さりげなく、絵梨佳の存在をノゾミちゃんにほのめかしてみる。
「そうッスね……裕美さんに似てるって言われたら、裕美さんみたいな性格破綻者が2人もいてたまるか!って思うッスけど、似てないって言うなら、まぁありなんじゃねッスか?」
どういう意味だよオイ!?
「それで?その妹さんがどうかしたんスか?実は裕美さんの妄想上の妹だったとかいうオチっスか?」
「ちげぇよ!」
何でわざわざ空想の妹を作る必要があるんだよ!?
「まぁ……何だ……ちょっと色々あって、その妹が魔法少女になって魔王軍で働く事になってな……その変身した見た目がちょっと今までの魔法少女と違ってたんで、その辺についてノゾミちゃんに意見聞いてみてたって感じなんだよ」
「ふーん……そうなんスね」
微妙に反応薄いなぁ……まぁサイコパスなノゾミちゃんにとっては、人様の妹がどうこうとか、別にそこまで興味はないかもな。
「裕美さんの妹って事は、結構強ぇんスか?」
ん?ちょっとは興味あるのか?
「そうだなぁ……魔力量だけで言えば、サクラ以上エフィ未満って感じかな?」
「って事は将来的には、サクラさん降格での幹部候補って感じッスかね?」
言われてみれば確かにそうだな。
サクラ……不憫な子だ……
「まぁ、そうなるかもな……」
サクラには悪いが、実力主義で考えれば将来的にはそうなるだろうと思い、ノゾミちゃんの問いかけに短く応える。
私の答えを聞いて、ノゾミちゃんは何やら考える素振りをする。
「それ……もう『魔王軍』っていうよりも『魔法少女軍』って感じになってねぇッスか?」
え!?えっと……
魔王:私(魔法少女)、魔王側近:ヴィグル(魔族)、四天王総括:エフィ(異世界人)、四天王:ポチ(異世界人)、美咲(魔法少女)、幸(魔法少女?)絵梨佳(魔法少女)……
マジだ!?ついに上位陣の過半数以上を魔法少女が占めたじゃん!?
「い、いや……幸を魔法少女としてカウントするか名誉魔族としてカウントするかで、まだ意見がわかれてもいいハズだ!」
「幹部に、純粋な魔族がヴィグルさん1人しかいない時点で色々と間違いだらけなんじゃないッスか?」
……ごもっともです。




