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六話

どうも長元坊です。

この話で1912年が終わると思います。

第一次大戦までの動きを考えるのが大変です

\(゜ロ\)(/ロ゜)/。

 1912年


 清朝が倒れ、中華民国が成立。

 アルフレッド・ウェゲナー氏が大陸移動説を発表。

 タイタニック号沈没。

 などと色々な事が起きているが、


 僕こと、賀陽宮恒暖も前話などで色々な事をしてきた。

 今回は小学校を卒業するに当たって、2年後に起こる第一次世界大戦や今後の自立の為に会社の設立を説明しようと思う。


 明治天皇が御隠れになり、嘉仁皇太子殿下が天皇陛下に即位した後で、恒暖は皇居に呼び出されていた。


「御即位おめでとうございます。心から御祝辞を申し上げます。ところで今日はどういったご用件でしょうか?」


「ありがとう。朕は嬉しいぞ。

 今日の呼び出した件だが、今後の国の運営とお前の身の振り方を聞くために呼んだのだ。」


「国の運営と僕の身の振り方ですか……分かりました。」


「早速だが国の運営について話そう。この国の発展には現状の予算で手一杯だが、お前は何か見通しのある案はないか?」


「見通し…ビジョンですか。見通しではありませんが、問題点なら分かっているつもりでございます。

 一つ目の問題点は、内需やインフラなどが発展していないことです。

 二つ目は国家予算に対する軍事予算の規模比率です。

 これ等は明らかに過不足しています。まぁ一概にも言えないのですが。」


「ふむ、やはり今の軍事予算は重荷であったか。

 しかして一つ目の内需やらインフラとやらはどういうことだ?」


「内需とは国内の需要、物・商品に対する買う人の欲求の事をいいます。つまり買いたい人の事をいうのです。

 インフラはインフラストラクチャーの略語で漢字で書くと社会基盤、つまり公共施設や道路・橋、法の制度などの事を指します。」


「確かに我が国は社会基盤が弱いと言えるが、内需とやらはそんなに発展していないものかね?」


「はい。我が国の農村は未だに物々交換をしているところもありますし、売買が盛んなのは都市部の人たちだけです。道路も狭いですし…

 その為、農村などは訪問販売する者が幅をきかしているのです。

 しかし、欧米などでは裕福さにもよりますが、大衆車などが一般人に普及していたりするので農村でも広い道や電気が通り、物流などは比べ物にならないと思います。」


「自動車が普及しているとは知っていたが一般人も対象になっていたとは。」


「それだけではありません。

 アメリカのフォード社はT型フォードなる自動車の大量生産ができ、一年間に何万台という数で生産してくるでしょう。

 大量生産社会がアメリカで起きているのです。

 今の日本にはこれに対抗出来る手段はありません。」


「案があるのではないのか?これでは…」


「今の日本に無いだけです。今に無ければ未来の日本で実現すれば良いのです。

 今から言うことは他言無用でお願いします。

 1914年にヨーロッパで大規模な戦争が起こります。2国間以上の多国間戦争になるので日英同盟に基づいて英国政府から参戦の打診があるはずです。

 しかし英国政府の言う内容がチグハグなので日本政府の一貫した参戦姿勢を見せて戦後の利益を確保する約束を結びます。

 次にアメリカが難色を示してきますが、日英同盟を盾にしてはね除けてください。

 そして戦勝国の一員として利益を享受するのです。

その利益を国内にて使えば、社会基盤を整備して国土が豊かになります。」


「今の国際情勢は列強が目を尖らせておることは知っておる。

 第一次バルカン戦争などが起きとるしな。

 しかし、大戦が起きるのか…。

 利益確保について日英同盟は口実に使えるが限度がある。

 アメリカが相手なら尚更国力も考えてな。

 英国が納得しなければ難しいのではないか?」


「交渉の材料になるのは先ほど申し上げた英国政府のチグハグな姿勢です。

 参戦英国から参戦地域を指定されたりされなかったりするのです。

 日本の兵力と財源の温存を考えれば参戦地域の指定が良いのですが、戦後に日本の発言力を上げるためには地域指定無しの方が良いと考えられます。

 どちらを取るかで別れますが、日本はまだアジアの大国であっても世界の大国ではありません。

 日露戦争後、追いつけ追いこせの姿勢が緩くなってますが日本の経済力の実情はロシアにようやく近づいた程度であるので、英米独仏にはまだまだ差があります。

 私としましては参戦をした方がよろしいかと考えます。」


「容易に参戦を言うでない。確かに発言力を上げようと思えば出来ん事も無いがそれは戦費の拡大を招くのではないか?

 死人も出る。それならば限定的な参戦で良いではないか?」


「確かに戦費を払うことになりますが、この戦争は世界を巻き込む戦争です。

 日英同盟を享受している我が国は参戦を逃れられません。それに主戦場が欧州大西洋であるので、我が国周辺では大規模な戦闘は起きず国民に不安は与えません。

 ドイツ東洋艦隊に戦艦はいませんし、中国山東地方に租借地があるだけです。もう全部言ってしまいしょうか?」


「まだあるのか?」


「理由はたくさんあります。なぜ参戦にこだわるのか、その点は何度も言いますが戦後の利益の為です。

 私の生前の日本では、この大戦後にドイツ東洋諸島、中国山東地方の利権、そして、戦勝国と敗戦国間の和平条約であるベルサイユ条約での賠償金を得ることが出来ました。

 そういう事で参戦した後に中国山東半島、太平洋のドイツ南洋諸島を攻撃・占領します。

 ここはドイツ本国から遠いので比較的簡単に攻略出来ます。

 問題は次の点です。英国から主戦場である欧州大陸への派遣要請が来るのです。

 これには派遣しないという選択肢は存在しないでしょう。

 何故なら大陸の戦場が膠着状態に陥り、英国側の連合国軍の戦力が不足するのです。

 その為英国が執拗に言ってくるでしょう。」


「なら尚更派兵は出来んではないか。

 膠着状態の戦場では兵を無駄に死なせるだけの派兵はせんぞ。」


「この大戦は今後の世界の地位を決める戦争になります。

 今までの戦争とはまるで違います。

 この戦争後、戦勝国は栄え、敗戦国は賠償金の多さに苦しむ事になります。

 その鍵を握るのは講和条約を結ぶ前の講和会議での発言力にあります。」


「で、会議の発言力を上げるための派兵か。」


「その通りでございます。」


「しかし、会議の流れは基本欧米の戦勝国に任せ、我が国はそれに追従していくだけではいかんのか?

 言うべき所は言うべきであるが。

 今の欧州を見る限り英国と仲が良いのはフランスとロシアか?」


「概ねその通りです、陛下。

 しかし後に話ますが、ロシアは会議に出ないので主要な国は、日英米仏となるでしょう。」


「で、何が問題なのだ?」


「国土を荒らされたフランスが敗戦国であるドイツに物凄い賠償金額を要求します。

 戦勝国の中で一番問題になるのがこの賠償金の問題なのです。

 戦勝国は莫大な戦費を負担させようと各自思い思いの賠償金を課すでしょう。

 ドイツの経済力も考えて請求しなければドイツという国が成り立たなくなる、というのにです。」


「そんな規模の賠償金が……」


「ですので、そんな会議でドイツの賠償金を減らすのに必要なのが発言力なのです。

 日本という国が別の案を提示してやれば良いでしょう。

 この時ドイツという国の経済は敗戦の影響で不況にあります。

 その上で戦勝国からの賠償金。賠償方法は提示されず、実質放置状態です。

 ここで日本が助け船を出してやれば、会議の主導権を握り話が進む、と考えています。

 注意点とすれば、米国に提示案を先に出されないことです。」


「確かに…」


「細かい調整も必要ですが、概ね以上の流れで進めば、世界と強調しつつ、我が国の利益も守られるかと。」


「即決は出来ぬが前向きに考えておこう。

 で次の話だが、今後のお前の身の振り方を聞かせてもらおう。」


「はい。まず私は成人後、一企業家になって国を支えたいと考えております。」


「兵役はどうするのだ?皇族は軍務に就くことが決められておるだろう。」


「その点も踏まえてお話します。

 一企業家になるのは成人後です。

 私は16歳で海軍兵学校に入り、19歳で卒業、一年の休みを貰わずにそのまま少尉任官、一年経って予備役にして頂き、その後企業活動、という感じですね。」


「海軍を辞めるのか。勿体無いことを…どうせなら海軍技術士官として残れば良いではないか。」


「それも考えましたが、それだと海軍に特化した商品開発しか出来なくなります。

 私が考えているのは国全体ですから、考えがあっていないのです。

それに正式に除隊するのではなく、あくまで予備役ですから。」


「そうか。兵役の事は出来る限り沿うようにするのでな。

 ただ、金に関してはあまり支援を期待するでないぞ。腐敗するぞ。」


「わかっております。起業についてはもう布石を打っておりますのでご安心下さい。」


「ほう!もう手をつけておったのか。

 相変わらず、行動だけは早いの。」


「ありがとうございます。」



 こうして今日の会議は終わった。

 陛下に大戦に備えての方針はある程度伝える事が出来たのである。

 その後数回に渡り、協議を重ねた上で帝国の取るべき方針が決まった。


というわけで、途中で海軍辞めちゃいます。

次は起業するまでの布石とか書きたいと考えています。

大戦はまだ二話三話先かもしれません。


因みに、健康だが予備役にしてもらえた皇族はいました。

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