第二話
割りと早く出来ました。
今回は短く、国よりも主人公の話です。
戦争後はゆっくりした生活をしたかったが、何かと今上陛下が助言を求めてくるので、
「来年の1906年にイギリスで新型の戦艦が出来て、それまでの戦艦の価値が落ちてしまうから、現行の戦艦とか装甲巡洋艦とか売った方が高く売れると思うよ。
次の日韓協約で済州島を日本政府に編入したらいいと思うよ。今は大韓帝国領だったはずだからね。あと朝鮮半島に朝鮮人を帰国させた方がいいよ。後の憂いを残さないようにしないとね。
保護国にはしても、絶対に併合だけはしない方がいいよ。民族間の亀裂を生むからね。
それに向こうの人たちは東洋文化の中で日本よりも上、つまり自尊心が高い人達が多いよ。戦時中のロシアへの密使の件でわかったんじゃないかな。」
と言っておいた。因みに翌年1906年にはもう小学校に入学していたので頻繁には会えなくなった。
そうして、助言通り鹵獲艦や鹵獲兵器をオスマン帝国などの第三国に売り、財源を確保した。戦艦や装甲巡洋艦などの高価な軍艦は一隻で当時の貨幣制度で1000万円位するので、懐的にも旨かったらしい。
また、1907年に第三次日韓協約が結ばれるのだが、史実と違う点が多くある。恒暖王の助言が活かされ、済州島の帰属は日本であることが確認された。勿論、島民の中で朝鮮人だという奴は朝鮮半島に強制送還である。又、鬱陵島も同様の処置がされた。
後は鉱山採掘権や森林権、鉄道や港湾、軍駐屯地などの各権利保護を重点的に記してあり、関係者以外の移民や移住は厳禁とされ、実質監視はするも放置放任することが決定された。
そのお陰で、史実では韓国の都市開発に莫大な支援金が投下されるが、今回は東北地方への支援金や国内の産業振興に割り振れられた。
賀陽宮恒暖王は小学校に入学後、武道を始めた。何でも将来自分の身は自分で守らねばならない、と父邦憲王を説得したところ、許可を貰っての事である。しかし、内心は
「日本刀を持って無双したい!」
とか、
「徒手空拳だけで相手を倒す!」
など皇族としての品位の欠片もない思想で息を荒げており、うっかり侍従武官などのいる前で口が滑ったりしたが、微笑ましい顔で返されたという。
あと、陛下の皇太孫である迪宮様(昭和天皇)と仲良くなりたいなぁ、と言っていることが陛下に伝わり初等科だけ学習院で学ばせて貰えることがわかったので有頂天になっていた。
入学後は、学校の実態の貴族ぶりに驚き、馴れるまでに時間がかかったのは言うまでもない。編入学後乃木大将に会ったが、
「君もワシを大将というのかね。」
と呆れられていた。その後院長閣下と呼ばれているのを知り、訂正したりしました。
小学校にいる間は割りと平和な時間が流れた。
迪宮様と一緒に勉強したり、同学年の生徒と遊んだり、やんちゃしたり、武道に励んだりである。
最たるものは、夏休みに避暑地へと行ったときに神社で出会った同年代の女の子に一目惚れした事である。そう、巫女さんである。その時は避暑に来た事を隠すために一般人と同じような服を来ていたのだが、すぐに見破られたりした。数日は滞在するのでその神社に毎日遊びに行き、楽しい思いをした。
避暑地を離れる日の前日にその女の子に思いを告白すると、その子は
「とても嬉しい。でもお父様に聞かないとわからない。」
と言った。恒暖はもう一歩踏み込んで、
「僕のお嫁さんになって欲しい。」
と切り込んだ。流石に向こうも驚いたが、少し覗き込むような視線で
「迎えにきてくれますか?」
と聞いてきた。そんな事言われたら、こっちはもう心臓バクバクのテンションMAXである。
「勿論ですとも!!」
その日、恒暖は人生で忘れられない思い出と約束を作った。
少女との約束を忘れないように密かに文通をするようになるのは実家に帰ってからの話だ。
恒暖10歳の夏である。
この時代の戦艦や装甲巡洋艦などの高価な軍艦は一隻で1000万円ぐらいします。
↑で参考にしたのは
富士型戦艦 1030~50万円
春日 日進 1600万円
から来ています。前者はどこかのWiki、後者は知恵袋です。
韓国の外交権と国家財政への介入権を持っているのに放置…これが意味することは…衰退?自滅?
因みに作者は少しだけ武道をしています。