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二話

「俺な今日会社休んでしまったねん。」

彼は私の顔を見るなり、凄い勢いで話始めた。スーツをきている、年齢は30くらいだろうか。髪を整髪料でしっかり整え、いかにも仕事のできそうな男だった。私が返事をするまもなく彼は話を続けた。


「人生で初めて仕事ズル休みしたわ、完全にズル休みや、仮病や、38、7度の熱がでてしまいました。インフルかもしれないので病院行ってきます言うて休んだったわ。

でもな皆んな信じてくれんねん、普段真面目に仕事やってるから。」

私はその年で人生初ズル休みか、たいしたもんだなーと思って聞いていた。

「俺な、もっとズル休みって気持ち良いものやと思ってたねん。皆んなが働いてるなかゆっくりごろごろして、休んでさ」

そういうふうに言える彼を私は少し羨ましく、ただ少しあさましくも思えた。

「でもな、全然気持ちよくないし、罪悪感しか覚えへんねん。しかも心配してくれる人までいて、俺ほんまに何してんやろってなる。」

私は少し気になって尋ねてみた。

「あなたは死にたいと思ったことある?」

「あるに決まっとるよ、ズル休みしたくらいで後悔しとる人間やで、センシティブや、センシティブ。ただ君のいう死にたいと俺の死にたいは違うかもしれんけどな。君のいう死にたいは俺にはないかもしれん」

私はなぜか彼に刺されたような気がして胸が苦しくなった。私の死にたいってなんなんだろう。そう考えようとしたやさき彼はこう言った。

「俺は生きてれば幸せいっぱいあると思ってる人間やから多分本気の死にたいやあれへんし、今こうやって後悔しても明日からスーパー頑張ろうって思ってる。

でも今こう思えてるのは2パーセントくらいは君のおかげかもな」


砂時計がすっと落ちる。彼は嵐のように過ぎ去って行った。私の死にたい、私の死にたいってなんなんだろ。生きたい?生きたいってなんなんだろ。


ポーンまた次の人が来たようだ。

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