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夜の魔法  作者: 海月依存症
3/3

Episode.1(2)

注意!

多少の性的描写があります。苦手な方はお気を付け下さい

電気消すぞ?」

「あ、あぁ」

小さなベッドに、二人の身体が重なる。

時計の秒針の音と、二人の鼓動の音が交互に部屋中に響く。

突然、お互いに背合わせで寝ていた身体が動き、ベッドの軋む音がする。

キアナは、身体の向きをアリアの方に向けると、そっとアリアを抱きしめた。

お互いの鼓動が、お互いに流れる。

キアナが、アリア? とアリアの耳元で囁いた。

不意に、窓の外から風が吹き、カーテンが揺れ、月明りがアリアの頬を照らした。

すると、アリアの頬は薄紅色に染まっていた。

小刻みに震えるアリアを、キアナは強く抱きしめるとこう問いかけた。

「なにか嫌な事でもあったのか?」

「…話していいのか?初対面のあんたにさ」

「アリアが嫌じゃないなら話して。俺はアリアのことをもっと知りたい。」

「…あぁ、わかった」

アリアは、何かを決心したかのように頷くと、静かに話し始めた。

「昔、両親と3人で小さな宿屋をしながら暮らしてた。でも、ある時母は、店の屋根で雪を降ろしてたら、足を滑らせて落ちた。その時父親は風邪を引いてて、自分の部屋で寝てた。あたしは、母親が落ちてどうすればいいかわからなかったけど、ちょうど前を通った近所の人が助けてくれて「お父さん呼んできなさい」って言ったから、あたしは父親を呼びに行った。最初は、しんどいから大声を出すな って言われたけど、お母さんが屋根から落ちた って言ったら、すぐに起きて母親の所に走って行った。父親が母親を抱きしめて「おい!起きろ!」って叫んでた。でも、母親は結局そのまんま死んじちまった。父親は、最初の方はあたしをひたすら慰めてくれてた。でも、少ししてあたしが落ち着いた頃から変わったんだ。毎晩のように外でお酒を飲んで帰って来て、あたしが何か話しかけようとしたら、大声で怒鳴られた。でも、朝にはいつもの優しいけど厳しい父親に戻ってたよ。でも、そんなのは一瞬に過ぎなかった。毎日女の人をとっかえてその人を抱いて、大酒呑みになって、たまにヤクにも手だしてたよ。ただ、それで終わらなかった。もちろん宿屋は、母親が死んでからは一回も営業なんてしなかった。結局父親は、朝から晩までお酒を片手にあたしを怒鳴ってた。それで…」

ここまで話して、アリアの言葉が詰まった。

キアナが、もしかして というと、

「あぁ、そうだよ。

父親は、あたしに手を出してきた。」

そう呟いて、アリアは話を続けた。

「父親は、あたしにいろんなことをしたよ。あたしを新しいヤクの実験台にもしたし、あたしを襲ったこともある。ひたすら暴力を振られ続けた日もあったし、怖いぐらいに優しい日もあった。まぁ、母親が死んでから、父親がまともな日は無かった。何かしら、街で問題は起こしてたし、ずっと酔っぱらってた。あたしはそんな父親が怖くて、学校にも行かなくなったし、ずっと父親の癇癪に触れないように、独りで息をひそめながら部屋の隅で過ごしてた。そしたら、ある日突然、父親は自殺した。近くの崖から、飛び降りて死んだ。ちゃんと遺書もあって、警察の人が自殺だって言ってた。周りの人は予想通りとでも言うかのような態度だった。親戚の人も、あの人はやっぱり駄目だったね って言ってた。でも、そんなことはその時のあたしにはどうでもいいことだった。これからどうしよう それしか頭になかった。そしたら、ある親戚の男の人が言ったんだ。「この子を売ろう」って。その時は、奴隷として働かさせられるんだって思ってた。でも、そうじゃなかった。結局あたしは、売春の仕事をさせられた。嫌でもヤらされて、子供だからって、沢山弄ばされた。玩具も使って来るし、媚薬も飲まさせられるし、散々だった。そして、あたしはある晩、その店から逃げ出した。運よく、逃げる時は見つからずに済んだ。あたしはずっと走ってた。何かが追ってくるわけじゃないのに怖くて、宛先も無いまま必死に走った。そしたら、この街にたどり着いた。優しそうな女の人が、あたしがどっからか逃げてきた分かってくれて、一晩泊めてくれた。朝になって美味しくてあったかいご飯を食べさせてくれた。新しい家が見つかるまでいていいよ。って言ってくれて、でも、すぐに新しい家が見つかった。それがここ。でも、いまだに悪夢を見るんだ。父親とかあたしを買ったおっさん達に襲われる夢。だから、男と寝るのは怖かったんだ。」

ここまで話すとアリアは、やっと話せた とでも言うかのように、微笑みながら寝ようとした。すると、

「ねぇ、まだ男は怖い?」

今まで、静かに話を聞いていたキアナが、アリアに尋ねた。

「え?」

アリアは驚いて、答えを考えていたが、キアナはアリアが答えるのを待たずに、アリアに覆いかぶさった。

次回は性的描写が強く入ります。

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