Episode.1
?「ここが、リアレナか…」
看板娘「あれ?あんた、見ない顔だね。どこかからの旅人かい?」
キアナ「おう。俺キアナっていうんだ。くっそ遠い所からきたんだよ。なぁ、姉ちゃん。どっか宿は空いてない?俺、疲れたんだよ」
看板娘「はぁ、可愛い名前しながら、性格はれっきとした男…っていうか、ガキだな。お前さんは」
キアナ「誰が可愛い名前じゃ!!」
俺は可愛いって言われるの嫌いなんだよ…と、キアナが小声でつぶやく。
すると、そんな感情がうつったかのように、街に雨雲がかかる。
次々に街道の店が、中に売り物を直していく。
まるで、誰かがボタンを押して操作しているかのように。
そんな人々を見て、キアナは一層娘に宿は無いかと問い尋ねる。
さすがに、今から探すのが難しいと悟った娘は、キアナを自分の店に引き入れた。
看板娘「今日一日は、とりあえず泊めてあげるよ。その代わり、少し手伝ってくれるかい?ちょうど人手が足りていなくてね。その代わり、御代は減らしておくからさ(笑)」
ありがとう、とキアナは言うと荷物を降ろした。
その前に…と娘がつぶやくと、尋ねられることが分かったのか、キアナは「なんで、旅なんかしてるのかって聞きたいんだろ」と振り返り言った。
娘がそうだ。とつぶやくと、キアナは話し始めた。
キアナ「俺の爺さんが昔言ってたんだ。この街に大昔、ヒーローが現れたんだって。でも、親には調べることをなぜか禁じられていたんだ。でも、どうしても知りたかったんだ。今まで何でも許してもらっていたのに、なんでこれがダメなのかって。だから思ったんだよ。調べるためには、家なんか飛び出して、自分で見て回って調べればいいんだって」
まぁ、俺の家はすっごく厳しいからなーと、キアナは苦笑しながら言った。
すると娘は
「そうだったのか。じゃあ、一つ残念なことを教えてあげようか。それを調べるのは、あたいらでも禁じられているんだ。なにかの王族でもなければ許してもらえないだろうね。」と、酒瓶を片手に持ちながら言った。
さすがに諦めたか?と娘は思ったが、キアナはきょとんとした顔で娘を見た。
そして、「王族ならいいんだな」というと、椅子に置いていたカバンからジャケットを出した。
それは、クネリムと言うリアレナから遠く離れた国の王族のジャケットだった。
娘は唖然として、口をあんぐりとあけたまま静止していたが、キアナは続けた。
「これがあれば、調べるの許してもらえるってことだよな?あー、まさか。他の国のことだから調べるのがダメだったのか?」と、ブツブツ独り言を続ける。
娘がようやく、なんでこんな人が…と驚きと形容できないほどの感情を漏らすと、
「あー、驚かしたみたいだなw じゃあここでもう一つ。俺はあの国でいえば王子だ。次世代王だ!まぁ、親父が死んだら俺が王様ってことだけどな」と高笑いしながら話す。
娘が、これほどにないというほど目を見開いていると、キアナが「取りあえず、一晩よろしくな~」と微笑む。
俺のことも、キアナって呼んでくれていいぞと付け足すと、「姉ちゃんの名前は?」と聞いた。
そしてキアナは、真っ赤な綺麗な瞳で娘を見つめた。
アリア「えっ…あー。ア、アリアっていうんだ。よ、よろしく?」
おう、よろしく! とキアナは満面の笑みで微笑んだ。
アリアは、その笑みに吸い込まれそうになったが、仕事を思い出し我に帰った。
そして、仕事を再開しようとすると、キアナが「俺は?」と尋ねてきた。
さすがに王族の人に仕事はさせれないよ。とアリアが言ったが、キアナは「そんなことは関係ねぇよ」と意地を張って答えた。
そして、
「んでさぁ、お金はちゃんと払うから、お願いがあるんだけど」とアリアの耳元で囁く。
なんだい?と、アリアが緊張しながら答えると、お願いは二つでー…と続け
「一つは、何かおいしいもん食わせてくれ。王族とか関係なしに、アリアが美味いって思ってるやつ。」
そんなことでいいなら、とアリアは言い、もう一つは?と尋ねると、
「それはー…あとで言うわー」
と、小声になって呟く。
「まぁ、―――なんて言えねぇわなw」
「ん? なんか言った?」
と、アリアは聞くが、いや別に?と返すだけだった
アリア「はぁ、終わったぁぁぁぁぁ!」
お疲れ様とキアナが笑うと、「こちらこそお疲れ様」と返した。
時計を見ると、針は12時半を指していた。
今日は早く終われたなーと言う独り言にキアナは驚いたが、自分の家の使用人はそれよりも遅いこともあったなと思い、日々の感謝を述べてくれば良かったと、反省したという。
「でさ、もう一つのお願いなんだけど…」
アリアが首をかしげながらキアナの言葉を待つ。すると…
キアナ「あー、あのさ、今日俺を一緒に寝てくんない?」
アリア「は?なんで?っていうか、どういうk((」
アリアの言葉をさえぎって、キアナは続けた。
「俺さ、寒いのとか、一人って嫌いっていうか苦手なんだよ。だから、お願いできない?」
必死にお願いしてくるキアナを横目で見ながら、アリアは小声でつぶやいた。
「あたし、………苦手なんだよ…。」
「え?今何か言った?」
「いや、何でもない。」
アリアはそういうと、風呂いれてくる と言って走って行った。
次回、多少性的な描写や、残酷な表現が含まれるかもしれません。