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異世界に行きたくない俺は、地球で怠惰に異世界を無双する!  作者: 三浦ユウキ
第一章 俺、二度寝します
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第一章4『ユーザーネームをお答え下さい』

 異世界からの通信があった日から1日経った朝――は何もなく、日は過ぎ去り4日目の昼。


 相変わらずのだらけっぷりでベッドに籠っていたアラタは、”ゴトン”という音で目を覚ます。


「う〜ん……あぁぁ……4日経ってる」


 枕元に置かれたデジタル時計で日にちを確認すると、4日ぶりに体を起こす。4日ぶりと言うのは、なにも大袈裟に言っているわけではない。あの日、アーナフィルマが通信を切ってから、今の今まで寝ていたのだ。ここまでくると、もはや超人の域である。

 そんな睡眠力53万オーバーなアラタも、4日も眠れば些細な音で目が覚める。些細な、とは言ったが、先程の音はなかなかに大きなものであった。ボーリングの球を床に落としたような、そんな印象の音だ。


「……」


 さて、アラタだが。今現在、ゆっくりと身体を起こしたアラタは目の前の眼前の状況に目をしばたたき、唖然とする。

 部屋の中心。その上の天井に、青白く透き通った光を放つもの。雪結晶のように繊細で美しいソレは、魔法陣であった。何重もの陣は、クルクルと回り止まる事がない。度々、数枚が重なった時、一瞬だが光が強くなって見える。

 だが、アラタはそんな魔法陣を見て驚いたのではない。魔法陣ならば4日前も見ている。ならば、何を見たのか。それは…


「……おん…なのこ………?」


 具体的には、白髪に透き通る様な白い肌。まだまだ幼い容姿で、膝を抱えるように丸まっている。何故か身体中が濡れていて、服は着ておらず裸だ。そんな女の子が魔法陣の真下にいた。


 ――な、何だ?何なんだ?誰だコイツは……あの姫さんの差金か?それともアイツの……そもそも何で裸だ?何故濡れている?身体中びちゃびちゃじゃないか。部屋の床が……にしても、ドユコト……


 困惑するアラタをよそに、女の子は何かを口にする。


「***************」


 またも言語が違うらしく、言葉は理解できない。先程まで閉じられていた目は左だけが開いていて、宝石の様に綺麗な青だ。その目は空虚で、一切の感情を感じない。


「*************.**********、、、*********************」


 分からない言葉で喋り続けていた女の子は、その空虚な目をアラタに向ける。


「**********.**************.*********************」


「え?な、何て?」


「********.*******.********.言語修正完了。ユーザーネームをお答え下さい」


 女の子曰く、言語修正をしたらしく言葉は分かるようになった。そこで、アラタは女の子の問に答えて見る。


寿ことぶき あらた だけど…」


「当機の名は、” 四神殲滅溟海体現型兵器ししんせんめつめいかいたいげんがたへいき ” 機体固有識別名称 ”ノア ” 。当人を新たなるマスターに登録しました」


「えっ?は?」


 アラタをマスター登録した四神殲滅(略)ノアは、その青い目から薄い緑色の光を放つ。その光は、アラタをスキャンするかのように動き、全身を照らし終えると同時に消える。


「マスター登録エフェクト実行完了。当機保有能力No.23、当世界での適正名称バリア送信完了。当機はこれよりスリープモードを続こ、こ、コ、コ――――」


 バグったゲームの様な音を上げ、ノアは動かなくなった。やがてその音も止まり、完全に停止したノアに、


「ちょっと待て」


「……」


「お、おい。お〜い……」


 アラタの呼びかけに答える様子もなく、丸まったままアラタと話していた女の子は、アラタを自らのマスターにすると目を閉じ動かなくなった。


 ――いやいやいや、どうすんのコレ。目から光出てたし、当機とか言ってたからロボットなのか?なんたら兵器とか言ってたな。まあ何にしろ、このまま放置は不味いな…ビジュアル的に。


 裸の女の子を目の前に、胡座を組んで悩むアラタ。そんなアラタの元に、魔法陣から一枚の紙が降ってくる。アラタはそれを空中でキャッチすると、内容を読み始める。


『コチラで制御しきれなくなった古代兵器・・・・を、そちらに捨てる。悪く思うなよ』


「……えっ?コイツ、古代兵器?」


 アラタは、先程女の子が言っていた事を思い出す。四神殲滅溟海体現型兵器ノア。この子はどうやら兵器らしい。その事に気が付き送り返そうとしたアラタだったが、既に魔法陣は消えていた。

 部屋の中、一人と一機だけが残されたこの空間で、アラタは考える。コレを――ノアをどうしようと。

 頭を捻り、しばし悩んだアラタはノアに布団を被せると、押入に放り込んだのだった。

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