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殺された。
路樹は狂乱に堕ちた、狂信者の洗礼によって殺された。
教会という場で、彼は殺された。
大勢の亡者の眼の前で殺された。
亡者達はこれを祝福と称していた。
信仰に産まれ堕ちた、運命を呪いながら路樹は命を落とした――
はずだった。
やめろ……!
離してくれ!
死にたくない!
路樹は必死だった。
目は抑えられ開かず。
手も足も掴まれて、離れる事すら許されない。
神よ! 神よ! 神よ!
大勢の声が神への感謝を次々と唱えた。
五月蠅い!
クズが! そんなに好きならっ……!
「|うぁあー《テメエラが死ねぇエエエエぇええ!》」
身体に力が入らない。
赤子のような抜けた声。
「|うああー・あーあーあー《何を盛りやがったぁ?!》」
マトモな声をだす事はできなかった。
抑えられていた目が開放され、最初に見えたのは光だった。
そこには亡者の姿はいなかった。
カルティストの姿はいなかった。
次に見えたのは鏡だ。
鏡が映し出したのは。
赤子の姿だった。