表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第1話 始まり ~What your dream?~

それは太陽が肌を突きさすような暑さの日だった。とある少女はアイス売り場にあるクーラーボックスに手を伸ばし、冷たくひんやりするはずのものを手に取った。

「う~ん、やっぱりこんな暑い日はアイスに限るねー。」

少女はアイスを食べながら周りを見渡す。雲ひとつない青空の中でひたすら太陽が存在をアピールしている。視線を下にやると景色は緑で埋め尽くされてた。このあたりの地域は二酸化炭素をいくら出しても大丈夫な気がする。

アイスは数秒で少女の胃袋の中に落下し、少女の体の一部となった。そして彼女はまた、冷えてないクーラーボックスの中に手を入れ、アイスを大量に運び出しみんなのいるところに戻り始めた。


「お、凛おかえり~」

とある部屋にいた少女は竹刀を磨きながら、アイスにまみれて顔が見えない神坂凛の方を向いた。

「ただいまー。アイス大量に手に入ったわよー。これで夏の暑さを乗り切れるね。」

神坂は大漁だぁ!といわんばかりに取ってきた獲物を見せびらかす。

「まあそのアイスは溶けすぎてもはやアイスじゃなくてただの甘い液体だけどな。」

とある少女は袋に入った液体を運んでいる神坂へ、なんとも言えない表情で答えた。

「朧は文句多すぎるのよ。アイスはアイスだっていうのに。」

「・・・・・・・・・そうだな。これでしばらくは暮らしていけるな。」

朧と呼ばれたポニーテールのその少女は、あの液体をまだアイスとかい言っている神坂とこれ以上会話するのは無駄だと判断し、早々に話をきりあげることにした。

そして藍羅朧は自分の仕事に戻った。

「何?また竹刀磨いてるの?あんたこりないわねー。」

せっかく会話を切り上げたのにキレイに期待を裏切ってくれる神坂。

「凛、何度も言わせるな。これは竹刀ではなく斬来剣だ。」

いま竹刀磨くっていう大事な仕事してんのっ!!という気持ちを、水を一気飲みにすることで抑え、藍羅朧は少し恰好をつけて言った。しょうがねぇ、少し会話に付き合ってやるか、という気持ちで。

「あんた高3になって、斬来剣だなんてよくそんな厨二くさいことが平気で言えるわね。すごいわ尊敬しちゃう。」

神坂は本気で驚き、半分あきれて言った。

キレそうになる藍羅。だが、神坂の持って帰ってきた、ドロドロに溶けたアイスを一気飲みすることで、怒りを冷却した。そして冷静になる。落ち着くことは何よりも大事だ。

「ふっふっふ。そんなこと言っていいのかな?凛がこの間竹刀持って、魔法少女凛ちゃんですっ!って言ってたこと、みんなにばらしちゃうよ。」

藍羅はとんでもない爆弾を神坂に落とし、勝利を確信した。

「はっ!?えっ、なにあんたあれ見てたの!?」

動揺する自称魔法少女凛ちゃん。

「やったことを自分で認めたね。」

藍羅の会心の一撃が神坂に直撃した。

「ちっ、違うっ、あ、あれは・・・」

凛が顔を真っ赤にして言い訳を続けようとしたが、それはできなかった。とある別の少女の声が神坂の声を遮ったからだ。

「ただいまー。この周辺には何もなかったよー。あれ、凛ちゃん顔真っ赤だけどどうしたの?まさか体調が・・・」

「小夏これは違うのよ。ほら、えっと、夏って暑いじゃない? だから、きっ、ききっと顔も暑くなってるんだと思うわ。うん、そうよ。」

「おぉー!なるほど!さすが凛ちゃん!体調が悪いんじゃなくて夏の暑さが原因だったんだね。」

神坂は柚子野小夏が少し他人と思考回路が違うことをこれほどありがたく思ったことはなかった。今の柚子野は神坂にとってまるで砂漠の中にあるオアシスのようだった。神坂は藍羅の方に目をやった。藍羅は魔法少女凛ちゃんの話を暴露したかったとばかりにこちらをにらんでくる。神坂は勝利の笑みをうかべた。会心の一撃なんか怖くない。

柚子野と一緒に帰ってきたもう一人の少女、早見風華はこの混沌とした会話に水を差すように言った。

「バカみたいな話してないで、早くご飯にしましょうよ。」

「ばっ、バカみたいって・・・。」

違うベクトルから会心の一撃を喰らった神坂。

もう彼女のHPはゼロである。

「よし、そろそろ夕飯の準備でもするか。」

藍羅は早見に感謝しつつ、切り出した。

4人の少女たちは一斉に食事の準備を始めた。

電気もない暗い城の中で・・・



朝。

夜が明ける。

太陽が今日も手加減なしに少女たちの住む城、いや、城の跡地といった方が正確だが、強い日差しを送ってきている。早朝の5時だというのに、早見風華は城の外を散策していた。あたりを見渡すとやはり地上付近は緑が生い茂っている。視線を上にずらすと快晴の空には真っ赤な太陽・・・ともう一つ、何か金属でできた黒い物体が浮かんでいる。

「………来ましたか….」


城内では神坂凛が目を覚まし、朝食の準備を進めていた。今日の主食であるジャガイモを城内畑からとってきて調理するところだ。神坂は朝食作りを手伝えるだけの力がある藍羅朧がまだのんきに寝ていやがることが頭にきて、ジャガイモについていた土を丁寧に集めて、藍羅の鼻の中に詰め込む。神坂は勝利を確信した。が、藍羅もバカではなかった。藍羅はすでに神坂の足音で起きており、鼻に土を入れられる瞬間、息を止め、余裕ぶった無邪気な少女に向かって思いっきり鼻から息を吐く。


瞬間。


甘美な少女の顔は土まみれとなった。

「っ!!」

神坂は思いもよらぬ反撃を喰らい唖然とする。藍羅は勝ち誇り、土まみれ少女に代わり朝食の準備を始めた。


朝食のにおいにつられ起きてきた柚子野は目をこすりながら台所へと向かう。やっぱり最強の目覚ましはご飯のにおいだ!と改めて実感した彼女はそこらじゅうに土が散らばっているのを不思議に思い、その辺にあった箒を手に取り掃除をし始めた。こう見えて柚子野小夏は意外とキレイ好きなのだ。4人で今いる城に来た時も、掃除してここを住処にしようと言い出したのも彼女だった。

掃除を終わらせた柚子野は持っていた箒を片付け今度こそ台所へと向かう。


「よし、できた!」

神坂と藍羅は声をそろえて言った。この二人は普段は言い合いばっかりしているが、意外と共同作業系は息が合うらしい。これも普段の生活からくるものなのだろうか。

ここで柚子野が合流。台所が土だらけとなっているのを見てやや不機嫌そうな顔をする。

「あ、小夏おはようー。」

「ねぇ、おーちゃん、どーしてこんなに台所が汚いの?さっき床にも土が散らばってたけど何で??」

藍羅朧は自分の名前を呼ばれたときにはじめて気づいた。あ、そういえば台所きたねぇ、と。

「これはだな、凛が・・・」

「ちょっ、どうしてそこで私の名前が出てくるのよ。あんたのせいでしょうが。」

「最初に土で遊ぶなんて幼稚なことを始めたのは誰だよ。」

「誰が幼稚よっ、このばか!!」

「やっぱりお前がやったんだな。」

神坂凛という人間はどうしてこうも自爆しがちなんだろう。これから自爆の女王とでも呼んでやろうか。そんなことを思いながら藍羅は料理を、テーブルに見立てた段ボールの机に運ぶ。神坂が何か言っているが、もう聞こえない。


「みなさん、大変です。トゥーテーラが攻めてきました。」

今までの日常の温かい空気が早見の一言で消え去った。

「方向はどっち?」

神坂は箒を手に取り、機関銃を取り出しながら聞いた。

「北北西です。」

早見は素早くかえした。

藍羅は竹刀をつかみ、一呼吸おいてからつぶやいた。

「久しぶりだねー。トゥーテーラがせめてくるなんて。」

「油断大敵ですよ。」

早見はゆっくり言い放った。

「凛ちゃん、おーちゃん、準備できた?」

柚子野の甲高い声が響き渡る。神坂と藍羅がうなずくと、柚子野はスッと二人の近くに向かう。

「小夏、お願い。」

「りょーかい。」

柚子野小夏が神坂の箒に手を当てた瞬間、箒に浮力が働き、神坂はそれにまたがった。一方藍羅の竹刀は柚子野の手が当てられると、まさしく剣と呼ぶにふさわしい様子へと変化した。これが藍羅の言う斬来剣である。

「では、行ってきます。」

そういうと、神坂は箒に乗り大空へと羽ばたいていった。藍羅も後を追い、柚子野の魔法で強化された脚力で思いっきりとび上がり、黒い鉄の物体のいる方へと向かっていった。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ