公爵様は旅に出したくない
「御令嬢は旅に出たい」の公爵様視点です。
よろしくお願いします。
「こうしゃくさま、はなっ…離してくださっ…!」
「あぁ、ローラ。ちゃんと私の名前を呼んで…?可愛い可愛い愛しのローラ。君の唇を食べてしまいたい…」
「…っ…やめ…っ、……んーっ!?」
潤んだ翡翠の瞳で私を見上げ、耳を擽る小鳥のような声を聞かせてくれるのはフローラル・ガーベル。私の婚約者だ。
そして今、誘惑されて理性が飛びそうだ!
私はセリシア・ヴァイース。代々続くヴァイース公爵家の嫡男に生まれ、早々と引退して領地に引っ込んだ父上の跡を継ぎ21歳の若さで当主となった。
自分で言うのも何だが、歳も若く見目も良かった私は次代公爵としての地位も相俟って、幼少の頃から非常にモテた。何不自由する事なく無為に過ぎて行く日々に飽きてきた頃、天使…いや女神に出逢った。
当時、公爵家当主だった父上に連れられ、登城した私は権力と陰謀渦巻く腹黒い大人達の会話に疲弊していた。新鮮な空気を吸おうと父上に許可を貰い、小さな庭園に向かったのだ。
瑞々しく咲き誇る薔薇の香りを愉しみながら歩いていると、10歳ぐらいの子供がしゃがみ込み何かをしているのが見えて声を掛ける。
私は、ビックリして振り向く彼女の翡翠の瞳に吸い寄せられるように釘付けになり、身動きが取れなくなった。
しばらく見つめ合っていると、「…あなたは天使さま?」と子供特有の舌ったらずな言葉と可愛らしく細い首を横に傾けながら上目遣いで見上げてくる彼女に欲情した。
今でも思い出すあの愛らしさ。当時は姿絵を見ながら何度…あぁぁぁぁぁぁ!!ローラ、ローラローラローラローラローラ!可愛いローラ!………ゴホン、すまない。
その場で襲わなかった自分を褒めてやりたいと思う。
彼女の絵姿を手に入れ寝室の奥の隠し部屋に飾り、事細かに調べ尽くし子爵家の令嬢で将来は旅に出ると公言している事を突き止め、父上にお願いし、厳しい条件下の元、彼女と婚約したのだ。
それから、私の忙殺される日々の中で癒しは婚約者だけだった。一年ごとに美しくなっていく婚約者に悪い虫がつかない様、密かに護衛を付けたり、彼女の好みのドレスや装飾品を贈ったり、毎日細かくローラの行動の報告書を提出させたりした。
誰も彼もを惹きつける愛らしいローラは心配で心配で仕方なかった。ずっと自分の手元に置いておきたかったが、父上との約束で彼女が成人するまで二人きりで会う事すら禁じられていたのだ。
それがやっと、待ちに待った愛して止まない可愛い婚約者の16歳の誕生日。しかし、事もあろうか彼女はこれから旅に出ると言う。
冗談じゃない!恋焦がれ、その熱で胸が張り裂けそうになろうとも待ち続けた誕生日に旅立つだと!私から離れるなど許さないよ、ローラ!!
「…んんっ!…こ、う…!」
「ん…ローラ、可愛いローラ。愛してる。愛してる…誰よりも」
自分の部屋のソファーに可愛い可愛いローラを組み敷き、噛み付くようにそのピンク色の唇に自分のそれを重ねた。
何度も繰り返した口付けで、ピンク色の唇が熟れた果実のように赤く色付いていく。
あぁぁぁ!なんて柔らかくて甘いんだ!!
初めて己の腕の中で震える婚約者に触れ、長年の我慢に我慢を重ねてきた己の欲望に火が付くのを感じた。
あぁ………もう離してあげないよ。ローラーーー
了
公爵様の変態ロリコン度が格段にUPしたのは何ででしょう…。
作者は、混乱している!(笑)
ここまで読んでいただきましてありがとうございました☆
誤字、脱字などございましたらご指摘下さいませ。