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私は字が得意ではない。それは今でも変わっておらず、何年も前の話ではなおさらだ。
そんな上手くもない字で書かれたレポートという名の日記帳を読み返すという行為はどうにも恥ずかしくあり、同時に非常に目が疲れる。
私がこのような物を書いてしまった理由は一つ。人間が変わっていく姿を記しておきたいためだ。
そして、私自身は変わったと思えるその姿は、真に変われているのだろうか、それを問うため。
たったそれだけの理由ではあるが、真田 優介という男の人生が最も大きく動いたこの一週間を切り取った。
話がこれで終わる訳ではない。むしろここから始まるのだが、《真田レポート》などと銘打たれた大学ノートの最初のページに書かれた文章を書いて、一つ区切りとしたい。
僕は変わりたい。昨日より少しでも。
前のページよりも少し変わった自分を書いていける事を願う。
願い続けていれば、きっとそこには《魔法》が生まれると信じている。
世界も人生も真っ暗な夜みたいで、先も後ももう何も見えはしない。
でも、右手には熱を感じる。
ずっとずっと遠くに、太陽を感じる。
夜明けは、遥か遠くに見えている。