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白の天使と7人の雄  作者: 神山一姫
第2章 水の国
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11話 スイ・リストー

新キャラ登場です。

 「へえ、これが水の国に降る雨か。ちょっと黒いし、変なにおいがするな」

「『カガク』の発展の代償だな。今は改善されているだろうが、『カガク』の発展と環境汚染は切り離せない関係だからな。一度汚染された環境は長い年月が経たないと元には戻らない」

「もしかしてこの雨を浴びるとまずいか?」

「私は勧めないな。早くコートを着た方が君のためだ」


 2人は水の国の通りを歩いていた。レイルカがコートを着ているのと対照に、キリはコートを着ずに、雨に降られるがままでいた。砦を通過する際、2人は防水処理を施されたコートを渡された。門番いわく、雨のときはこれを着るように、である。

「そういうことなら、あの門番の人も教えてくれればよかったのにな」

「君のような、雨に濡れても構わない人間が少ないというのは、私でも想像できることだぞ。ちゃんと着たか?」

「これでいいのか? 服の上からだとちょっとごわごわするな」

「慣れれば気にならなくなるさ。さて、そろそろ来てもいい頃だが」

「誰か待ってるのか?」

「この国の国王さ。今は女王かな」

「へえ、この国は女性が王なのか。でもあれだな、レイルカって仕事とかすぐ片付けるタイプなんだな」

「ん? どういうことだ?」

「王に謁見するって相手方に伝えてあるんだろ? 俺の知らない間にいろいろやってるんだなって思ってさ」

「そんなことは伝えてないぞ? 私は向こうが迎えに来るのを待っているだけだ」

「はあ!? 伝えてないのかよ! そんなんで迎えに来るはずないだろ」

「迎えに来るさ。向こうは私たちがここにいることをすでに知ってるだろうしな」

「こっちが言ってないのに知ってるわけ……」

 キリが言い終わらないうちに、2人が向かっていた方角から、黒い箱のようなものがやって来るのが見えた。

「レイルカ。あれはなんだ?」

「確か、『ジドウシャ』と言ったかな。『カガク』で生み出されたものだ」

「俺たちの方に来てるってことは」

「あれが迎えだな。やれやれ、体が冷えてしまった」


 『ジドウシャ』は2人の前で音を立てずに止まった。2人の前には大きなドアが1つ、前の方に小さいドアが1つあった。すると、前のドアから1人の男が現れた。

「レイルカ・ナーディス様とそのお連れの方ですね。ようこそおいでくださいました。中でスイ様がお待ちです」

 そう言うと男は大きなドアを開けた。無言で乗り込むレイルカの後にキリも続く。『ジドウシャ』の中は、高級そうなソファが2つ、向かい合うように置かれていた。その1つに1人の女性が座っていた。

「スイ・リストーです。お会いできて光栄ですわ、レイルカ様」

「君が今の国王か。女王と言った方がいいか?」

「どちらも言われ慣れておりませんので、所長と呼んでくださいな」

「所長、ね。君がいいならそう呼ばせてもらおう」

 レイルカが臆面もなく話すのに対し、キリは緊張しっぱなしだった。スイ・リストーという女性は、キリの目から見て、美人の部類に入り、物腰も丁寧で、男としてはどこかそわそわしてしまう雰囲気の持ち主だった。

「キリ、そんなにそわそわするな。元王子だろう? 外交だと思ったらいい」

「無茶言うなよ。俺は国政に携わったことなんてないんだ。お前は天使だからいいのかもしれないけど、俺は知らないことばかりで落ち着かないんだよ」

「キリさん、でしたか。初めましてですね。スイ・リストーです」

「あ、ああどうも。キリ・ルイスです」

 スイに正面から見られて、キリは動揺しながらあいさつを返す。それを見ていたレイルカが言った。

「君、何かキリにしたのか?」

「いいえ、何も。ただ、王という地位にいるので、こういうことに慣れているだけです」

「……君たちが使う魔術や『カガク』については、私も知らないことの方が多い。だが、これだけは言っておくぞ」

「なんでしょう」

「キリに手を出すな。彼はこれから私が鍛えてやらねばならない。それまでは私が彼を守る。キリに手を出すと言うことは、私を敵に回すと言うことだ。それはお互いに避けるべきことだと思うが?」

「その通りですわ。ただ、私から1つだけ言わせていただくのなら、私の行動の全ては、知的好奇心からきています。邪推する必要は全くありませんよ」

「……まあいい。こんなことを話すために来たのではない。スイ、私と共に」

「旅に出よう、ですか。お断りします」

 

第2章では、現実世界で登場する言葉や物がそこそこ出てきます。この作品の設定では、その言葉や概念、物は存在しないので、それらが出てきたら、全てカタカナで統一しています。読みにくいと感じさせてしまったら申し訳ないです。


今回は新キャラが登場しました。容姿や年齢などの設定を、本編で書こうとしたら、自分の計画性のなさのせいで書けなかったので、この場を借りて書きます。


スイ・リストー、女性。19。、身長はキリより少し低く、髪は肩にかかるくらいの長さで、薄い水色。めがね着用。行動は全て知的好奇心からくる。物事を冷静に見れる人物。


こんなところです。もしかしたら変わったり増えたりするかもしれません。


では、次話でお会いしましょう。

ご愛読ありがとうございました。

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