最後のゼロ戦
ジャングルの秘密の滑走路に取り残されたゼロ戦、長い間に九十九神になり意識を持ち始めました。操縦士の山野さんは戦争が終わったら子供たちに郵便をゼロ戦で行おうと話していたのです。山の操縦士はゼロ戦が壊されてしまわないようにこっそり秘密の滑走路に隠したのです。ゼロ戦は自力で発電しラジオを聞いてしました。終戦特集の番組で、山野操縦士の声を聞いたのです。山野さんと子供たちに郵便を届けたいと思いゼロ戦は最後の燃料でプロペラを回し飛び立ちます。
太平洋の真ん中の大きなクルーズ船の甲板で、新婚カップルが空を見ていました。新郎はゼロ戦を見たと新婦に告げました。新婦は見えなかったと答えますが、新郎は山の操縦士の孫でした。続きはお読みくださいね。
ジャングルの中に古いゼロ戦が横たわっていました。戦争が終わって軍隊は日本に帰り、誰にもわからない秘密の滑走路に取り残されているのです。仲間のゼロ戦はみな壊されました。
日本に帰る前、操縦士がこっそり秘密の滑走路に隠しておいたのです。
「ごめんな、お前を連れて帰っても壊されるだけだから。いつかお前が世の中の役に立つ時が来たらまた一緒に空を飛ぼうな。」
それから、どのくらい年月が経ったことでしょうか。長かった滑走路もほとんど草でおおわれ、機体もジャングルのつたがからまっています。
操縦士さん、無事に帰れたんだろうか?
年月を経て、ゼロ戦は九十九神になりました。意識を持ったのです。機体に残っているガソリンはもうほとんど残っていません。時々、発電機をまわし自分でラジオをつけ放送を聞いています。
人間が月に行き、弾よりも早い電車ができたら、もう僕たちの出番はないんだね。
ゼロ戦はガソリンが切れたらここで朽ち果てるのだと思うようになりました。
ある日、久しぶりにラジオをつけました。終戦の日の特集の様でした。
「今日は戦争中ゼロ戦の操縦士をしていた方のお話をお伺いしましょう。」
「私は戦争中はゼロ戦の操縦士でした。戦争が終わると愛機はジャングルの秘密の滑走路に隠しておきました。壊されるのが悲しかったのです。でもきっともう壊れてしまっていることでしょうね。」
あれどこかで聞いた声だな?
「戦後私は郵便飛行機のパイロットをしていました。時々空を飛びながら、ジャングルに置いてきた飛行機で郵便を運びたかったと思ったものですよ。」
「今日のお客様は、元ゼロ戦の操縦士 山野宙夫さんでした。」
山野宙夫!
ゼロ戦は尾翼をパタパタさせました。
そうか、山中さんは昔郵便局に勤めていたって話してた。戦争が終わったら少しでも早く手紙を、子供たちに運ぶ仕事をしようなって、話してた。
今度は水平翼をパタパタ
しばらくスイッチを切りゼロ戦は考え込んでいました。
夜になり空にはきれいな満月。
ああ、日本を出る時もこんな満月の夜だったなあ。
ゼロ戦はブルブルと体を震わせるとありたったけの力でプロペラを回しました。
ずるずると機体が動きだしました。プロペラの回転が上がり、機体はジャングルの滑走路を走り出しました。
ああもう少し、もう少しなんだ!
ジャングルが目の前に迫ってきました、その時機体がふわー
飛んだ!僕は飛んだんだ!
ゼロ戦は南国の夜空に消えていきました
山野さん、待っててください、僕は日本へ帰ります。一緒に郵便を運びましょう!
「あれ?今飛行機が見えなかったか?」
「ええ?何も見えなかったわ。」
「なんかゼロ戦みたいだった。」
「まさか、軽飛行機かなんかじゃないの。」
太平洋を航行中の船のデッキに、新婚旅行中のカップルがいました。
「おじいちゃんがパイロットだったから良く写真を見ながらゼロ戦の話をしてたんだ。」
「どんな話をしてたの?」
「平和になったから、ゼロ戦で郵便物を運びたいって。」
「ふーん、そうなんだ。ゼロ戦の郵便屋さんかあ。」
ゼロ戦は満月の中を、踊るように飛んでいきました。
もしもゼロ戦を見かけたら日本の方向を教えてあげてくださいね。
いくつか戦争童話集を書きました、いずれも短編です。少しずつアップしていきます。




