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アモルvs人型


  「でも、無敵ってわけでは無さそうだな、、でないとあの女を逃がそうとしねーからなー」

 「どこかに弱点があるという事ですね。」

 稲妻と深緑はアモルに返す。

 

 アモルは深呼吸をする。

 「見つけてみろよーー」と余裕をかまし、青刀を虚空に向かって一振りする。

 当然、4匹の人型の間合いには入っていない。

 「何がしたいのだ貴様は、そんなとこで振り回してもそよ風を作るだけだぞ。」

 冷気の人型は、嘲笑うようにアモルを弄る。

だが、その揶揄されたそよ風はたちまち、刃のように鋭くなり、4匹の間合いへ瞬時に入っていく。

 4匹はガードが追いつかず胸部を切り裂かれ、その傷跡を皮切りに体を上下に両断される。

 なくなった肉体の胸部には核がみえ、アモルはそれを壊そうと一気に攻める。

 だが、4匹の再生速度は恐ろしく速く、瞬く間に復活をしてしまった。

 アモルはすぐさま足の向きを切り替え、距離を取る。


 

 「いやー恐ろしいわい、なんじゃあいつは」

 「なかなか強いな、だから嫌だったんだよ、バルモフの奴、後で殺してやる。」

 「まーそんな怖い言葉使わないで下さい、お下品な。」

 「所詮人間だ、限界はある。」

 4匹は次々と口を出す、、


 冷気と深緑は真正面から、稲妻と嵐はアモルの背後に回り、同時に仕掛ける。

 アモルは、空中に飛び攻撃を躱す、、

 そして青刀を振り下ろし、先程の目視できないそよ風のような斬撃で応戦するが、4匹は一度見た技をもろに喰らうことはなく、身軽なフットワークで躱しながらも一度後退する。

 でも躱したといっても、4匹の前腕、太もも、肩、こめかみなど至る所から赤い血が流れ出している為、単に致命傷を免れただけである。


 「躱しても当たるか、、」

 「おい、ゼムリエル、何か策はないのか?」

 冷気の人型は深緑の人型に問う。

 「策というよりも、今の青髪さんの攻撃、、私達は躱したとはいえ、少し弱くなっている気がしませんか?」

 「確かにな、悪魔のガキの忌々しい魔力が微妙に減ってるな、、」

 「それに、私たちと戦うとなると、わざと余裕を醸し出しませんでしたか?」

 「それは奴の性格だろ、」

 「何か裏があると思うのですが、、」

 「じゃあその裏が暴けるまで、攻め続けるぞ。」

 

 4匹は、アモルに攻撃をさせる余裕もないぐらいにひたすら攻める。カウンターの素振りを少しでも見せたら、背後からもう1匹の人型が仕掛ける。

 アモルは防戦一方だが、一向に攻撃は当たらない。

 団服、刀身、髪の毛すら1ミリも動く気配はない。

だが、戦闘において形勢が変わるタイミングは誰にだって予測できない、ほんの一瞬の出来事である。

 「青髪さん、さっき庇ってた女の子の魔力が消えちゃいましたね、、」

 深緑の人型のこの一言。アモルの一瞬の精神の乱れ。その隙を4匹は逃さず、アモルの頭部、心臓、腹部、両脚へと各々技を繰り出す。

 

 「氷炎乱丈〈ひょうえんらんしょう〉」  


 「麟化森神〈りんかりんしん〉」


 「稲閃〈とうせん〉」


 「風鬼震災〈ふうきしんさい〉」

 

 擦り傷だがアモルの黒い団服からは、透けて見えるほど濃く滲んだ赤い血が浮かび上がった。

 

 「やっと当たったな、、」

 「これで分かりましたね。」

 深緑は、いや他の3匹冷気、稲妻、嵐さえもアモルの弱点に気づいてしまった。

 

 

 逃げるように4匹の頭上へと飛んだアモルは、青刀を顔の前に構え、

 「自在者の遊戯〈リベラ・かげぼうし〉」

 と唱える。

 すると、アモルは先ほど4匹から繰り出された技をコピーして、青刀から物質を創り出す。


 青刀から青白い炎のような冷気を放ち、竜の顔に彫刻された大木を操り、雷のハンマーを具現化し、青刀を大剣に見立てて振り下ろし暴風を生む。


 上から放たれた贋作の竜の技は、とてつもない地響きを立てながら4匹に襲いかかる。

 4匹は同じ技で相殺を狙うが、アモルの魔力が上乗せされたことにより、押し負けてしまう。

 地面のコンクリートに鈍い音をたてながら打ち付けられ、飛び散った肉片は再生に時間を要している。

 アモルはとどめを刺すべく、はやぶさのように地面に急降下し、再生しかけている4つの核に向かって青刀を振りきる。

 壊れた核は再生をやめ、散乱した肉片は塵となって消えていく。

 そして深緑の人型が放った言葉を思い出す。

 青刀を握り直す。

 「セイナーー!」

 震えた声で振り返りセイナの方へと向かおうとした瞬間、、

 ブスッッ、、

 アモルは背後から竜頭の形を模した槍のように硬い木片で胸部を貫かれた。

 

 「やはりゼムリエルの勘はいいな。」

 稲妻の人型が深緑の人型に対して褒めるように言葉をかける。

 「いえいえ、、悪魔は人の感情または性質に強く依存しますからね、、やはり青髪さんの弱点は〈素〉に戻る事でしたね。」

 

 アモルは口から血を吹き出し、嗄れた声で

 「俺が倒したのは分身か、、チッよく分かったな、クソ女が、」

 と精一杯の力で返す。

 「安心しなさい、まだあの女の子の魔力は消えてはないわ、まだね、、」


 「貴様の敗因はその偽りの性格だ。余裕そうに振る舞っているが、あの女に対する厳格とも言える芯の通った声での撤退命令。それが本性だろ、、」

 「さぁ、、どうかな?」

 「ふん、今はもうただの強がりに見えるぞ」

 

 「ごめんなさいね、青髪さん、あなたが悪いのよ、、」

 深緑の人型は、突き刺した木片をさらに奥へと押し込む。

 「ぐふぁ、、」

 アモルは全身の力が抜ける。地面には口から出て散らばった赤いドロドロとした液体の溜まり。


 「アモル団長ーー!」

 ようやくエゼル達が辿り着いた。

 「団長、、」

 エゼル達率いる10数人の団員は、ただその場で呆然とすることしかできなかった。

 「貴様の部下共か、、」

 「おい、てめーらなにしてんだよ、団長から離れろ。」

 「こいつからか?力ずくで離してみるんじゃな、、ハッハー」

 嵐の人型がエゼル達を煽る。


 エゼルは、黒刀を顔の前に構え、

 「操縦者の糸掛け人形〈フィール・いとかけにんぎょう〉」

 と唱える。

 するとエゼルの背後からは赤い灼熱の炎を纏った竜が現れる。

 他の団員達も太刀を構え、臨戦態勢をとる。

   

 エゼルの竜は、口に目が焼けるような色をした炎を含み、4匹の人型に向けて放射する。

 それに続いて、団員達は人型に斬りかかる。

 だが、嵐の人型の大剣によって炎を刹那に消え、特攻した団員は遥か彼方へと吹き飛ばされる。

 エゼルは自身の竜を盾にする事で、その暴風から身を守る。お陰でエゼルは吹き飛ばされなかったが、その代償に竜は暴風の餌食になり、塵となっていく。

 

 「エ、ゼル、、お前は、セイ、ナの方へ行け、、」

 アモルは血の気の引いた顔色で、エゼルに命令をする。

 「その前に団長が、、」

 「いいから行け、命令だ、」

 エゼルの声を遮り、野太い声で喝を入れる。

 その後、

 「頼んだーー、エンジェル、、」

 と気の抜けたアモルの声。

 するとエゼルは少し笑顔を見せ、

 「了解です、団長!」

 と言ってセイナの方へと向かった。

 


 4匹の人型は、アモルの異変に気づき急いで距離をとる。

 「おいおい本当に人間か?こいつ、」

 4匹は引き攣った笑顔をしている。

 アモルの心臓に刺さった槍のような木片は、真っ二つに割れ、胸部の傷口はみるみる塞がっていく。

 アモルは肩甲骨を回し、軽い屈伸運動をする。

 そして目を擦りながら一息代わりに、欠伸をする。


 「よーし、解放されたーー、次は殺ーす。」



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