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 感覚を研ぎすます。揺れ動くアモルの魔力。

ギアを上げ、周囲の景色の残像が残るほどの勢いで、アモルのいる南方面へと向かう。

  

 2分ほどして現場に着いた。

 街中はもうみんな避難しているのだろう、人気のないスペースで、禍々しいオーラ漂うアモルと紅髪の男が拮抗している。

 「あいつ、、、」

 紅髪の男は、アランスを殺した男と似ているが、目の前にいる紅髪の放つ殺気は、全く別物であった。

 シェイドルが言っていたSランクの人型である事は、刹那に理解した。

 

 セイナは、ギリギリ目で追えるくるいの速さでぶつかり合う2人をただ見る事しかできないでいた。

 「私が入っても足手纏いになるだけだ。」

 援護を考えることすら馬鹿馬鹿しいくらいである。

 

 高いビルの上に移動し、見晴らしがいいところで他の敵がいないかを確かめる。

 ゲートからアモスと紅髪の男が戦っている場所までの道中には、アモスの微力な魔力がコンクリートの上に残っていた。

 何匹かサクッと倒したのだろう。

 実力者である事は間違いない。

 ただ、Sランク相手にはそう簡単にはいっていない。SとAの間にもかなりの差がある事が分かる。

 

 それにしてもアモルの戦闘を見る限り、とりわけシェイドルのような派手で目立つような能力ではないそうだ。エゼルが言っていた何にも縛られず意のままに戦うというのは、見ただけでは分からない。

  

 アモルの青く煌びやかな太刀は、休む事なく紅髪の男に斬りかかる。

 紅髪の男も前腕に炎を集中させガードし、口から咆哮と共に灼熱の炎を吐き出す。

 2人の戦闘を注視して初めてセイナは、アモルの能力の片鱗に気づいた。

 〈自在者〉

 アモルは一度も紅髪の攻撃を躱していない。直接受けている。だが、目立つ外傷はない。

 それに、紅髪の鋼鉄のような炎を纏った腕でのガードは、役割を果たしていない。

 刃がちゃんと肉体に通っている。

 だが、紅髪はすぐに再生して、アモルに襲いかかる。

 死突兵団に移動する前に、シェイドルから聞いた話だと、人型の竜には胸に魂となる核があり、それを壊さない限り、永遠に再生してしまうらしい。

 もちろんアモルはそのことを知っている筈だが、全く持って狙っている気配は無い。

 アモルは戦いを楽しんでいる。その証拠は、先ほどのボケーっとしていたとぼけ顔からは考えられないほどの狂気に満ちた笑顔になっているからだ。

 

 いくら炎を放ってもアモルには一切喰らわない。しっかりと身に浴びた上で喰らわないのだ。

 紅髪の殺気は特段と上がる。身体に纏っていた炎は、背中に翼を創り出し、触れるだけで身体が裂けてしまいそうな程の鋭さがある爪が10センチ程伸びる。

 身体はどんどんと赤色に染まっていき、竜本来の姿へと変貌した。

 あまりの威圧に、周りの建物はどんどんと崩れていく。


 「やっと本気出したかーー、」

 「ほぼぼぉす」

 紅髪は、まともに話す事が出来ないほど正気を失っている。ただ、そこにいた誰しもが、「殺す」と言ったという事が理解できるほど、凄まじい殺気はアモルに向けられていた。


 「こんなに破壊されたら色々とまずいなーー、よしもういいや、」

 アモルの適当で軽い口調から、何か決心したような発言をした。

 次の瞬間、何が起こったかは分からなかった、、聞こえたのはボカーーンという重低音。

 一瞬でアモルの前に向かって行った紅髪は、翼から肉体へとどんどんチリになっていく。

 アモルの青刀が紅髪の核を見事に一突きし、消えた肉体の中心に残った唯一の魂が、アモルへと吸収されていく。


 シェイドルから聞いていた話はもう一つある。

 「他国に現れる人型のSランクは、10人程のパーティーを作り、集団で仕留めるのが常識だ。」と。


 青炎に炙られているかの如く身体中に纏っているオーラは、禍々しいのはもちろんだが、その青には天に広がる広大な青空のような「自由」が孕んでいた。

 

 戦闘を終えたアモルは、セイナを見つけるとすぐに近づいてきた。

 全くダメージは無さそうだ。団服も新調したばかりのスーツのように綺麗で、とても戦闘終わりとは思えない出たちだ。

 「見てたのか、レイナ」

 「セイ、、あぁーはい見てました。」

 名前はもう諦めた。

 「よく俺の場所が分かったな、ゲートからだいぶん離れているのに、、」

 「なんか他の人の魔力が探知できるみたいで、、それにしても団長は凄いですね、あんな化け物1人で倒しちゃうなんて、、」

 「だろ?なんせ俺は無敵最強無敗伝説だからなーー」

 幼稚な言葉を棒読みで羅列しているだけだ。大人から発せられるワードではない。


 だが、アモルはその楽観的な言葉の後、セイナの顔を見て表情筋を抑えた。

 「その赤い仮面、〈復讐者〉だろ?」

 悪魔の名前が覚えれるのなら、人間の名前も覚えてくれよと心の中で呟く。

 「そうです、」

 「前の軍団長がその赤い仮面だったんだ。俺の恩師だった。お前は何があっても復讐心を忘れるなよ、、」

 真っ直ぐにセイナの目を見る。期待なのか?それともアモルの適当さなのか?判別は出来なかったが、セイナはそのアモルの言葉が胸にドンとのしかかった。


 ここで少し冷静になり、シェイドルと約束した目標について質問してみた。

 「あのー団長、シェイドル団長との約束なんですが、このドラゴン達との戦争はどうやったら終わらせれると思いますか?」

 「それはお前次第だ、、」

 「どういう事で、、」

 「よし、帰るぞーー、あー腹減った、メシだーー」

 セイナの言葉を遮るようにして、アモルは普段の適当さに戻った。

 私次第、、、


 離れ離れになったエゼル達の元へ任務終了を言いにいく。どういう顔をして会えばいいのか分からず、気まずい気持ちもあったが、気を引き締めて帰路につこうとした瞬間、、

 ウゥーーーーン、ウゥーーーーンと街中に響くサイレン。 

 「また現れたか、、めんどくせーな、腹減ったのに、どこだ?」

 突如龍門〈ホール〉が現れたのは、アモルとセイナの目の前。そしてその龍門は、赤色、水色、緑色、黄色、白色、

に染まった5つのゲート。

 異例の事態。本来、何匹竜が出てこようが、龍門は1つしか現れない。

 それにこの色に富んだゲート。

 何かとてつもない事が起こっているのをセイナとアモルはすぐに感じ取った。


 その5つのゲートから姿を見せたのは、5匹の人型。

 「セイナ、逃げろ、、」

 アモルの芯がある低い声。

 「え、今名前、、」

 「いいから逃げろ、、」

 

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