ゆいこのトライアングルレッスンU2〜ひろしとたくみの恋愛マジック〜
わたしは今日、マジックショーを見に来た。
ひろしとたくみは、イケメン名コンビと呼ばれる、かなり人気のマジシャンだ!
「わたしは、最前列の特等席だもんね!」
二人が登場すると、歓声が上がった。
「では、次のマジックは、お客さんに手伝ってもらいましょう」
ひろしがそう言うと、たくみは品定めでもするかのように会場を見渡す。
「どの子にしようかな?」
「おいおい、タイプの子でも探してんのか? 手伝ってくれるお客さんを探してくれ」
「タイプの子だったらいたぞ? 最前列のそこのお嬢さん! お願いしてもいいかな?」
「わ、わたし!?」
たくみに言われるがまま、わたしはステージに上がった。
「お名前は?」
「ゆいこです」
「ゆいこ、可愛い名前だね!」
知ってるくせに!
まるで初めましてのリアクションだ。
たくみは、赤いロープを取り出した。
「これをしっかりと結ぶよ!」
ロープに結び目ができる。
息を吹きかけ引っ張ると、結び目は一瞬にしてほどけた。
「す、凄い!」
「とっても良いリアクション! お次はこれを2つに切っちゃおう! ゆいこ切ってみて!」
わたしは、赤いロープにハサミを入れる。
2つになったロープをたくみは再び結んだ。
「じゃあ、行くぜ!」
たくみは結び目に口付けし、引っ張ると、次の瞬間ロープは一つになっていた。
「戻った!」
「ゆいこ、俺達の赤い糸は、絡まってもほどけるし、切れることはないのさ!」
「たくみ、な、何言っちゃってんの!?」
会場からは、黄色い声援が聞こえる。
「俺は愛のコインマジックをお見せしよう!」
ひろしは5円玉を取り出した。
「まずは、これを500円玉にする!」
ひろしは5円玉をわたしの手にギュッと握らせた。
ひろしの体温が伝わってくる。
「3、2、1!」
手をひらくと、それは500円玉に変わっていた。
「じゃあ、この500円玉をもっと高価で大切なものにしてみよう」
「大切なもの?」
今度は500円玉を握り、もう一度ひらく。すると、それは消えていた。
「ゆいこ、ポケットの中を確かめてみてくれ」
服のポケットに手を伸ばす。
取り出すと、それは指輪だった。
「給料3ヶ月分の指輪だ。素敵な5円からの始まりだね」
「ご縁……!」
「おーい、ひろしだけ何告白してんだよ!」
たくみはそう言うと、わたしに1本のバラを渡す。
「1本じゃ、足りないよな?」
「えっ!?」
「3、2、1!」
たくみが手をかざすと、バラは3本に増えた。
「ゆいこ、3本のバラの意味知ってるか? 『愛しています』って意味なんだぜ!」
「あ、愛していますぅ!?」
「ゆいこ、俺を選べよ!」
「いや、たくみには任せられない。俺を選べ!」
「わーん! こんなの選べませーーん!!」
明日は『ゆいこのはっぴっぴウエディング!?』をお届けします!