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第五話:青春スクールランナー

…まだ九話までしか書けてないぜ☆


誰か、ブックマークを!?どなたかこの中にモチベーションをお持ちの方は下さいませんか!?

「おーい、竜斗〜?」



「ん…?」



その声にどこか聞き覚えを感じるものの、その声の主が誰なのか全く分からない。仕方がないので顔を上げると…そこには立夏がいた。



「おはよう」



「…?どうしたんだ、その声」



部活や夜にあった時とは違い、今の立夏は声が少し低い。その事に違和感を持っていると、立夏はその中性的な顔を耳元に近づけてきた。



「いやぁ、僕って学校だと王子様系でやってるからさ〜…」



「嘘つけ」



「なんでっ!?」



「どうせ、入学当初に悪ノリで男っぽくしてたら女子にキャーキャー言われて支持されまくった結果、素を出しづらくなってあとに引けなくなっただけだろ」



「えっ、なんで分かったの?…はは〜ん?」



竜斗の言葉に立夏は驚くが、すぐさま納得したようにニヤニヤした顔になった。



「…なんだよ」



「竜斗って実は中学の同級生で僕のことストーカーして「んなわけねぇだろ、馬鹿なこと言うな」ふみゅっ」



竜斗は立夏の頭にチョップを入れて、阿呆な事をほざく口を黙らせる。



「…それで?何しに来たんだ?」



「ん?ちょっと何処かで一緒にご飯でもどうかな〜って…ね?」



その提案に少し警戒をするが、流石に変なことはしないだろうとは思ったが念のため鞄ごと弁当を持っていくことにした。



「あっ、僕のも一緒に入れてもらっていいかな?」



「それぐらい自分で持てよ…まぁ、別に入れてもいいが…ん?」



ふと、視線を感じて背後を見ると、そこには女子生徒が何故か大勢おり、何かノートに凄まじい勢いで文字を走らせている者までいた。



「…なんだ、あれ?なにしてんだ…」



「ん?あぁ、一応僕の“ファンクラブ”だよ?」



「いや、あれは何書いてんだ…?」



「あれは…うん、僕と君との“掛け合い”だね」



その時、竜斗は漠然とした違和感を覚える。



「…ちなみに、どういうもので…?」



「ん?そりゃあ…薄い感じの本だよ♪」



ファンクラブ…掛け合い…王子様系…中性的…学生服…半袖シャツとズボン…薄い本…んん?



「…っ」



…なにか、とても嫌な予感がした…否、もう殆ど答えは出ている。それでも…



「いや〜、今までは僕と合いそうな相手が居なかったみたいだけど…うん、竜斗は認められたみたいだね」



「…なに、に…?」



それでも、現実を受け入れようとしない竜斗に対して、立夏は止めを刺しにいった。



「…僕と竜斗だったら、どっちが“受け”でどっちが“攻め”なんだろうね…?」



「ーーーッ!?」



竜斗にだけ聞こえるように囁いた小悪魔的な声が、竜斗の頭から脊髄を痺れさせるようにして駆け抜けた。だが、竜斗はそれに負けず半ば本能で動いて立夏の手を取り、足払いをして抱きかかえーーー所謂、お姫様抱っこをした。



「なっ…〜〜〜っ///」



「よしっ、俺の勝ーーー」



立夏は、突然お姫様抱っこをされたことに驚きながらも抗議の声を上げようとしたが…竜斗の顔を近くに見て顔を赤らめながらも口を押さえ、声にならない悲鳴をあげている。その姿を見て竜斗は勝鬨をあげようとしたのだが…



「「「きゃ〜〜〜っ♡」」」



「ーーーあっ…」



竜斗の視線の先、それは後ろにいた女子生徒達へ向けられており、彼女達の中には頬を赤くしていたり、黄色い声をあげていたり、その手に握られたペンでノートや手帳に高速で何かを書いて、腕とペンの残像が見え始めている人までいた。



「…逃げろッ!!」



「ひゃっ」



「同人誌が逃げる気よっ!?」



「そんなことさせないわっ!!」



立夏を抱えながら竜斗は廊下を走る。直後、地面が揺れて背後からこちらを引き止めるような声が響き渡る。



「「待ちなさ〜いっ!!」」



「よっ…!!」



手すりに乗って階段を最速で滑り降り、一階に着くと食堂の人混みの中を突っ切って姿を眩ませた後、降りたのとは別の階段を駆け上がり、部室の前まで来た。



「ふぅー…おい、撒いたぞ?」



「きゅ〜…」



「…早く起きろ(低音ボイス)」



「ふひゃあっ!?」



腕の中で目を回していた立夏を見て、竜斗はまるで小動物みたいな可愛さを感じて少し躊躇したが、流石にこの状態を誰かに見られると不味いと考え、起こすために耳元で囁くと、立夏はビクっと体を小さく跳ねさせて変な声をあげた。



「…どうした?」



「〜〜〜っ!!」



「ちょっ…暴れるなって!?入ったら降ろすからもう少し待…て?」



顔を真っ赤にして涙目にして、ぽかぽかと胸を叩いたり脚をバタバタとさせて暴れる立夏を抱えていると、部室の扉が勝手に開きーーーそこには、海雪と深月玲がいた。



「…竜斗、何やってるの?」



「貴様…」



「違う!!何か誤解してるみたいだが違うからな!?立夏、お前なら…」



「…ぷぃっ」



「おい、なんで何も言わないんだ…?誤解を解いてくれっ頼む!!」



立夏は恥ずかしそうに竜斗から顔をそらして無言を貫いた…




………




……







「いや〜、ちょっと焦っちゃって…ごめんね?」



「謝る意志があるなら、この苦行をやめてくれないか?」



「やーだねっ、あんな酷いことして私の乙女心を弄んだんだから、自業自得だよ?」



…現在、竜斗は四つん這いにさせられており、その上に立夏が腰をおろして弁当を食べている。



「はい、竜斗。あ〜ん」



「えっ、むぐっ」



疑問を口にする前に、海雪によって食材を挟んだ箸が無理矢理口の中に入れられる。少し怪しむような視線を向けながらそれを飲み込む。



「おい、急に何すーーー」



「はい、お代わりっ」



その後も抗議しようとするが、その度に箸が食材を放り込んてくるため、諦めて食べることに専念した。



「深月もどう?餌付けしてみない?」



「…いえ、遠慮しておきます」



(なんだ?今凄い背中がぞくってしたんだが…?いや、それよりも…)



竜斗はちらっとそれ(・・)に視線を向けるが、すぐに顔をそっぽへ向ける。指摘するのも不味いが、かと言ってガン見するのはもっと不味い事になる予感がしていた。



「こらっ、顔そらして抵抗しないのっ!!」



「…そうひゃねぇお(そうじゃねぇよ)



むんずっと頬を両手で挟まれて強制的に正面を向けさせられた事で、またそれが視界に入れられる。いや、本当にその角度は不味いんだって…特にその、水色の紐とレースの際どいーーー



「ふふっ、スケベ♡」



「ーーー!?」



「さっ、もうこれくらいでいいでしょ?」



スカートを押さえてさっと立ち上がり、海雪は背中に座っている立夏に立つよう促しながらーーー竜斗にだけ見えるようにスカートの端を摘み上げてギリギリ見えないラインを見せつけてくる。



「それじゃあ、前回で色々と分かっただろうし…今回潜るのは竜斗と深月にしよっか」



「え?」



「ッ!?何故ですか!?」



海雪の言葉に深月はガタンッと音を立てて立ち上がって問いただす。



「何故って…それはチームワークを向上させるためだよ。これから調査員として活動するなら、色んな人と一緒に仕事することもあるんだから」



「しかし、どうしてこんな奴と…」



「ん〜…1つ疑問なんだけどさ」



海雪と深月の会話に、立夏が割り込む。



「なんでそんなに竜斗を嫌うの?こう言っちゃなんだけど、深月と竜斗って会話とかしたこともないでしよ?殆ど他人みたいなものなのに、こんな奴(・・・・)って言うのはおかしくない?」



「…」



深月は黙って自身の鞄を手に取り、部室を出ていこうとする。しかし、立夏が両手を広げてそれを制する。



「おーい、質問に答えてないよ?」



「…煩いっ!!大体、その理論で行くならお前も他人だろッ!!私の考えにとやかく難癖をつけるなッ!!」



肩を掴まれて押しのけられたことで体制を崩すが、丁度倒れた方向に竜斗がいたので、ちゃんと受け止められたために怪我をすることは無かった。



「…チッ」



深月は竜斗に対して舌打ちをし、乱雑に扉を開け、バンッという音と共に閉められた。



「…」



扉を占める直前…瞳に涙をため、唇を噛み締めて何かを堪えているような深月の顔が、やけに竜斗の記憶に焼きついていた。




………




……







「…っ」



誰もいない廊下に、深月の足音だけが響いていた。



「私は…信用しないっ」



…足音を立てて廊下を速歩きする深月は、どこか焦っているようにも見えた。





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