第三話:ループダイバー2
乞食をすればブックマークといいねが貰えると聞いてっ!!/(・∀・)ガタッ
ブックマークといいね下さいっ!!案外チョロいのでモチベーションが急上昇します!!
…ここだけの話、異世界で転職プレイヤーやってますのプロット自体は殆ど完成してるんだ…
…竜斗が小部屋のドアノブを回して開けるとーーーそこには、赤い砂嵐のような模様をした人型のナニカがいた。赤いナニカはこちらへ振り向くと、その顔には目も口も何もないのっぺりとしたものだった。
『ーーー』
「げっ!?」
赤いナニカが拳を握るとその腕が異様に肥大化していく。まるで、力を蓄積していくかのようにーーーその時、竜斗の肩に手を置いて飛び込んだのは…立夏だった。
「【虚飾:転写】」
立夏の瞳が紫色に輝き、その瞳に赤いナニカが映った瞬間、その動きをピタリと止めた。
「はいっ、これで大丈夫だね♪」
「…今、、何をしたんだ?」
「あ、言ってなかったね?私は【虚飾の神秘】持ちで…その、【虚飾の神秘】は物の性質とか情報を複製したりするんだけど、アイツに使ったのは虚飾の“転写”の力で、今は“マネキン”の性質と情報を転写してるからアイツは自分の意志で動けないんだ」
「と言っても、見た目が変わったりするわけじゃないけどね〜」と立夏は困ったように笑う。それでも十分強いと竜斗は思ったようだが。
「そんなことより、ドアを閉じてくれないかな?これ結構維持するの厳しいからさ…」
「わ、悪い…!!」
竜斗は咄嗟にドアノブを掴み、バタンッと閉じた。それと同時に立夏の瞳は元の赤い瞳へ戻った。
「それじゃ、もう一回おさらいしてみようか…」
瞳が紫色になった立夏が差し出した手を、竜斗は握った。
…時は少し遡り、竜斗と立夏が廻廊に潜る前のことである。
「まず、“神秘”の力の使い方を説明したいんだけど…言葉で伝えても分かりづらいから、立夏にやってもらおうかな」
海雪にそう言われ、立夏は「はいは〜い」と言いながら竜斗に近づく。
「それじゃあ…手、出して?」
「ん?おう…ーーーッ!?」
立夏の瞳が紫色に妖しく輝き出し、竜斗の手が立夏の指によって絡められた瞬間、頭に様々な情報が送り込まれる。
「ーーーこら、いつまで…というかなに恋人繋ぎしてんの?」
そう言って海雪は立夏の手を払う事で竜斗との恋人繋ぎを強制的に終わらせる。竜斗は片手で少し頭痛のする頭を抑える。
「まぁ、とっくに使い方は渡してたんだけど…ね?さ、あとは実地で教えるから、早く行こっか♪」
…そして、現在に戻る。
「ほら、手を出して?」
「…」
「大丈夫、一回受け取ってるんだから同じ情報を流しても頭痛はしないよ?」
竜斗の疑うような視線は消えないものの、立夏が差し出した手にそっと自分の右手を置く。その瞬間、頭に力の流れや扱い方が流れ込んでくる。
「ほら、左腕にその力を巻きつけるみたいに…そうそう!!」
竜斗の左腕に、赤い砂嵐のような帯が出現し、手と腕に包帯のように巻きついた。
「これって…」
「…うん、それが“憤怒の記録核”に組み込んだ仕掛けの神秘の武装化だよ」
ーーー“我々人類の既存武力では、神秘空間に出現するエンティティに有効打を与えられない”ーーー
それが、【神秘の調査員】が結成当初に出した結論であった。実際に、どれだけの弾幕や爆薬を浴びせてもエンティティには然程のダメージを与えられなかった。いや、それを行なったことによってとある問題が発覚した事だけは結果としてよかったのかも知れないが。
そこで、【神秘の調査員】の機関は研究を続けていくうち、神秘の力を人の身で再現できるように神秘結晶へ組み込む事でエンティティに対抗する術を編み出した。
「…さぁ、全力で力を込めて?」
「ふんッ…っと!?」
言われた通り本気で左腕に力を入れると、帯が内から外へ押し出されるようにして膨らんで、腕が2〜3倍程の大きさになった。帯の隙間からは赤い光が溢れている。
「これ、俺の腕大丈夫なのか…?」
「あぁ、それは帯と腕の間にエネルギーが蓄積してるからって話だけど…私はそういうのは詳しくないからな〜…」
どうやら大丈夫らしい…あまり自身がなさそうだが。
「それじゃあ、さっきの部屋にいたエンティティに威力テストも兼ねて一発入れよっか♪」
「えっ!?ちょっ…」
竜斗が抗議する前に、立夏はドアをバタンッと乱雑に開け放つ。そこには、力を溜める前のエンティティが音に反応し、首だけを動かしてそののっぺりした顔を向けていた。
『ーーー』
「あぁもうっ…ぶっ飛べッ!!」
竜斗は少しキレながらもすぐさまエンティティとの距離を詰め、帯の巻かれた剛腕を振り被ってエンティティの顔に拳をめり込ませる。その瞬間、赤い光が爆発してエンティティを吹き飛ばし、部屋の壁に叩きつけた。
「ふぅー…」
『ーーー…』
エンティティがナニカの音を出したと同時に、その姿がぶれていき…赤い残光を散らして消え、後には赤い結晶が残された。
「お疲れ〜、初めてにしては結構動きが良かったね?」
「…姉に色々と仕込まれてるからな」
「…?あぁ、君のお姉さんって確か守護者最強の遠坂祐奈さんだったね」
赤い結晶を拾った立夏とそんな雑談をしながら、竜斗は廻廊を何度かループしていたのだが…
「ん?」
竜斗がループするための灰色の扉を開けると、そこは先程の廻廊とは違い、少し黒みがかった憤怒の廻廊が姿を現した。
「う〜ん、今回はちょっと短かったな〜。『あー、海雪ちゃん?もう帰還するから扉をだしてね〜』よし、帰るよ?」
「え?」
「ほら、早くっ」
「お、おう…」
何が何だか分からない竜斗は、少し焦っているような様子を見せる立夏に手を引かれながら廻廊を抜け、突き当りまでやって来る。そこには灰色ではなく白い扉があった。
「さ、早く帰ろっか…ッ!?」
「ん?どうし…」
こちらを見ていた…否、その後ろを見て固まった立夏の視線の先へ、竜斗が同じように視線を向けると…
…チカチカと黒みがかった赤い照明が点滅ているその下、そこには黒いベールをして顔を隠し、喪服のようなドレスを着た女がぽつんと立っていた。
…そして、その女がカツンと一歩踏み出すと照明が一つ消え、次の照明係チカチカと点滅を始めた。
「ちょっと!?海雪ちゃん急いで!!」
ガチャガチャと立夏が白い扉を開けようとするが、扉は開かない。その間にも、喪服の女はカツン、カツンとヒールを鳴らして近づく度に照明が消えていく。
「早く早く…ッ!?」
ドンドンッと扉を叩いていた立夏は、突然扉が開いた事で吸い込まれるように入った。竜斗も一瞬遅れて、白い光が溢れる扉の中へ入ったのだった…
………
……
…
『…』
廻廊の中で、赤黒く点滅する照明の下にいる黒い喪服の女は白い扉のあった場所に立ち、先程まで青年がいた場所ーーー厳密には黒いベールで分からないがーーーをじっ…と見つめていた。
『…』
喪服の女は身を屈めて青年が居た事を示す靴跡に、白く綺麗な指を這わせ…暫くして名残惜しそうに離し、来た方向へ踵を返した。
『■■、■■■■■…』
…少し歩いた後に立ち止まって振り向き、口元が何かを呟いたように動いたが…すぐに背を向け、またカツンカツンと歩き始めーーー『ジジッ…』という音を残して、最後の点滅していた照明が消えた。
メモ:
・虚飾の神秘とは?
虚飾は物の性質や情報を複製できる。人に使う場合は、その人の記憶や人格、身体能力と神秘能力を複製する。ただし、人によっては多少能力の効果が変わることがある。
…追記、これまでの神秘保有者の死亡数の4割は虚飾の神秘持ちが占めている。その理由は、虚飾の神秘の【削除済み】ーーー
ーーーこの情報の閲覧は現在、“最高責任者”により禁止されています。閲覧する場合は“最高責任者”からの承諾を得た上で、【インシデント:centonibus(継ぎ剥ぎ)】を参照してください。
『お前は誰だッ!!お前は何なんだ!?違う、おれはアイツで、そいつも俺で、違う!?わたしは誰も殺してなんかぼくは悪くないッあなたがそれをどうなってここからだしてくこわいこわいこわいこわいこわいいやだいやだまざりたくないとけたくないだれかとめてくれーーー『俺は『私は『僕は『一体誰な』んだ?』の?』んだろう?』