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5:異形の足音

 その日は、月が赤く見える満月の夜だった。____



 「あ~飲んでたら、遅くなっちゃった~」


 その女性は、仕事が終わりそのまま飲み屋で軽く飲んでいたのだが、思ったよりも同僚と盛り上がってしまい、帰宅が遅くなってしまったのだ。少し酔いはあるものの、その女性の足取りはしっかりとしていた。自身が飼っている子犬を思い浮かべ自宅へと帰路を急いでいた。


 「モコちゃん、寂しがってるだろうなぁ。早くご飯もあげないと可哀そうだし・・・」


 女は自分の住んでいるマンションの階にたどり着き、部屋のドアの鍵を開けた。


 「ただいま~モコちゃん、寂しい思いをさせてごめんねー」


 部屋の電灯を点けようとして、スイッチに手を伸ばした、その時、


 「ひっ!!!」


 女は息を飲んだ。

 電灯はまだ点けていないとはいえ、部屋は真っ暗ではない。窓からの街灯の明かりで、うっすらとながらも部屋の様子がわかり、何かがいるとわかったからだ。


 そこには、見たこともない異形のモノがいた。


 「あ……あっ…」


 女は驚いて、尻もちを付きつつも、必死でその場から逃げようと後退りしていた。だが、あまりの恐怖に思うように身体は動かない。


 薄明りの為、はっきりとはわからないが、大きさは自分と変わらないくらいであろうか。ただ横幅は女の二倍はあり、頭部は丸いものの、まるで樽のようで足が全く見当たらない。あきらかに人の形ではなかった。

ただ身体の真ん中辺りから、腕らしきものが、左右に2本ずつあった。

丸い大きな身体に見合っていない枝のような細長い腕、そしてその先には___


 クゥ……ン…キュウ…ン…


 子犬の恐怖に脅えた鳴き声でわかった。


 子犬は、そいつの枝のような細い腕の手の先で掴まれていたのだ。____


 するとソノ異形の物は口らしきものを大きくあけた。どこまで口なのかわからないくらい、大きく裂けていた。


 「ひぃっ!!」


 女は瞬時に何をされるかわかった。だがあまりの出来事に身体は動かず、恐怖から声も出なかった。


 そして、ソノ異形の物が持っていた子犬は、異形の者に丸のみされた。飲み込む際には、独特な飲み込む音がした。


 『アグゥッ』


 「い、いやぁあああああああああ!!!」


 女はそこで初めて声が出た。










 「はっ!!」


 私は目が覚めた。

 何?今のは夢だよね…?

 暗くてはっきりとは見えなかったけど、明らかに化け物だった。それに…前に見たような??

 …嫌な夢…どうせ見るなら、もっと楽しい夢がいいのに!

 うーん、気のせいかな?最近の夢見があまりよくない。体調の変化が原因かな?


 ふと窓を見た。レースのカーテンから見えるのはお月様。

 月が赤い…確かストロベリームーンだったかな?可愛いネーミングのはずなのに、なんだか胸騒ぎがする…


 時計を見たらまだ2時過ぎだった。

 いくらなんでも起きるのは、早すぎるものね。


 私はもう一度寝るために、ベッドの布団に包まったのだった。


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