13-2.ラスティアラとラグネのお昼ご飯だべり(『告白』後のラスティアラ、ラグネ)
何気ない昼食。
その日、私はラスティアラ・フーズヤーズの近衛騎士だけが堪能できる大陸最高の食事を、限界まで頬張っていた。
そして、主と談笑していた。
「いや、お嬢ー、ほんと助かるっすー! 私ってば、食堂だと肩身狭いっすから!」
「一杯食べてね、ラグネちゃん。たくさん作ってるから」
四年前から変わらない私とお嬢の一時。
ただ、今日は特別な話題があった。
もぐもぐと食べ続ける私にお嬢は、いましか聞けないことを聞く。
「ねえねえ。ラグネちゃんって、好きな人とかいないの?」
「……い、いやあ、考えたことないっすね。小さい頃から、騎士一筋でやってきたんで」
「本当? じゃあ、いま考えよう。現人神様の命令です」
「うわっ、卑怯な。……あえて言うなら、お嬢みたいな人っすね。大好きっすよ」
「卑怯なのはラグネちゃんだよ! そこで同性を出すのは反則です!」
「卑怯かもしれないっすけど……でも、結構本当なんっすよ? こう、ぐいぐいと手を引っ張ってくれるような人が好みっす」
「ふーむ。……まあ、私も同性ならラグネちゃんが一番好きだから、おあいこかな?」
何気ない話をしながら、さらにもぐもぐと私は食べ続けるが――
「やっぱり、カナミと好物が一緒だ。食べる順番も」
「え?」
少し驚く。
この話題が出たときから覚悟していた名前が、奇妙な形で出てきた。
「いや、前から気になってたんだけど。何というか、二人って色々似てるなあって」
「……たぶん、偶々っすよ? 好物が一緒くらいよくあるっす」
「でも、食べ方も似てて……。なんでだろ?」
「私があのお兄さんと似てる? いや、いやいやいやっ、ないっすよ! こんな小物騎士とあんな大英雄! 比べられるのは嬉しいっすけど、畏れ多い話っす! ……私から言わせて貰うと、似てるのはセラ先輩のほうと思うっす! どっちも女性ファーストな精神で、正義感があり過ぎて少し潔癖症の上、優しさが空回りするタイプ。あの二人、食べ物どころか女性の好みも一緒っすよね?」
「ん? んーむ。確かに、そうなのかな……? というか、ずばっと言っちゃったねー、ラグネちゃんー。あとで、セラちゃんに報告しようっと」
「げげっ。それはタイムっす。やばいっす。絶対、裏で締められるっす!」
「冗談だよ。そういうことはしないのが、こういう内緒話のお約束だからね――」
なんて他愛もない会話があった。
けど、私は誤魔化したことを『後悔』はしない。
千文字制限で短くてすみません。ので、二話連続で。




