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2.視線と興味。

次回でオープニング、終わりですかね?

応援よろしくお願いいたします。











「おい、なんだったんだ? いまの……」




 ルインとデルタが酒場から逃げ出し、しかし喧騒はいっそうに大きくなっていた。その場にいた冒険者たちは、口々に自分たちが見た光景を確認する。

 彼らの目には、このように見えたのだ。


 ルインへ向けられた魔力が、打ち消されたように。


 そんなはずはない。

 そんなことが、起こるはずがない。

 したがって多くの冒険者は、ある一つの結論に至った。



「もしかして、不発だったのか……?」



 口にしたのは、事態を遠巻きに見ていた一人の魔法使い。

 彼がそれを口にした瞬間、場はシンと静まり返った。

 そして――。



「おいおい、マジかよ!」

「うっそだろ? ホントの役立たずは、アイツだったのか!!」

「あー! 腹がいてぇ! 馬鹿じゃねぇの!」



 ルインに怒りの矛先を向けた魔法使いへ、嘲笑が向けられた。



「な、違う……!」

「お? 今度は、なんて言い訳するんだ?」

「俺は魔法の不発なんてヘマ、していない! アレは――」



 対して彼は言い返そうとする。

 だがしかし、魔法が発動しなかったのは変えられない事実。

 そのため喉元まで出かかった反論を呑み込むしかなく、大きな恥からその顔を赤くするのだった。その様子を見て、他の冒険者はまた笑う。


 その晩、その魔法使いは完全に玩具にされてしまうのだった。







「まったく……。みんなして、下らないことで盛り上がりやがって……」




 そんな冒険者たちを見ながら、そう口にしたのは一人の青年。

 肩ほどまでの金の髪に、青の瞳。顔立ちは整っているが、どことなく捻くれた性格が滲み出ているように思われた。そんな彼は大きなため息をつきつつ、隣の席に座る女性に声をかける。



「なぁ、アミナ。お前もそう思わないか?」

「……………………」



 その言葉を受けた女性――アミナは、表情を一つも変えずに酒を一口。

 そして、盛り上がる冒険者たちを見た。



 腰までの水色の髪に、赤の瞳。

 感情がない、と思われそうなほどの無表情。しかし相方の男性よりも綺麗で、あたかも人形のような愛らしさを感じさせる容姿をした彼女は、少しだけ考えてから言った。



「あの剣士、もしかして……」――と。



 それ以上の言葉はなく。

 再度、顎に手を当てて考え込んでしまった。

 そんなアミナの様子を見て、また一つ男性はため息をつく。



「どうしたんだよ、難しい顔して」

「…………ねぇ、ネオ?」

「あ……?」



 そして、彼――ネオが訊ねると。

 彼女はようやく、静かな声色でこう告げるのだった。



「わたし……あの剣士に、話がある」



 若干だが、目を細めて。

 その表情を認めて、ネオは少し驚いた。



「へぇ……? 珍しいな、アミナが他人に興味を持つなんて」

「………………」



 そして、そう返す。

 するとアミナは、たいしたことではない、と言いたげに酒を口にした。ネオから視線を外して、中断していた食事を再開する。

 そんな彼女の態度に、ネオは思った。



 あの剣士には、なにかがある――と。



「へっ……面白そうだな」



 青年はそれを確信して、口角をわずかに歪めた。

 そして、言う。




「【世界最高の魔法使い】が興味を持つ剣士が何者か、ってのには俺も興味があるからな……!」――と。




 


面白かった

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