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僕が彼女と付き合ったのは。

作者: ss

開いてくださりありがとうございます。 

楽しんで頂けたら嬉しいです。

僕が彼女と付き合ったのは、――――――――。


 

彼女とは生まれたときから家が隣だったからずっと一緒にいたんだ。ぼくと彼女と、あいつの三人で。




あいつっていうのはさ、僕の幼馴染の男の子で内気な自分とは違ってとってもアクティブな奴だったんだ、昔から。実は彼女との面識は僕のほうが先だったけど彼女は明るい子だったからいつも家にいた僕なんかよりも後から来たって一緒に遊んでたあいつの方が仲良くなるのが早いのは当然だ。


二人は知り合ってすぐに家の前で遊び始めた。

僕はずっと家の中から見てただけだった。動くたびに形を変えた二つの影を。

ずっと二人のことが羨ましかったけどある日から彼女の妹がうちによく来るようになった。妹は彼女と違って長い黒髪のおとなしい雰囲気の女の子だった。彼女とは同い年だから妹とは2歳差かな。


そうそう、それで僕たちはなにかずっと遊び続けてたわけじゃなくて、絵本をそれぞれが読んで過ごしてただけだった。

でも僕たちも小学3年生くらいからはそんなのもちょっとずつ減っていた。もしかしたらあの子にも好きな子ができたのかもしれない。一年生ならそれまでと環境も変わっただろうし。


そしたらまた、僕は窓の外をみていた、何時ぶりだろうかまたこうして彼らを見るのは。二人はあの頃と変わらず遊んでいた。いや、随分変わってしまった。僕が窓の外を見なくなってから。

そりゃそうだ。あの頃からもう4年も経っているのだから。


そうしてまた一人で過ごす日々に戻ったけど。それでも4年前よりもずっと寂しくなくなった。

だって読書を好きになれたから。それからは窓に腰を預けて本を漁るのが毎日の過ごし方だった。


でもいつものように目を向けたらあの子も遊んでたのを見たときはいいなって思ったけど。少し。



ある時に家のチャイムが鳴ったから宅配かと思ってでたらあいつで、

「あそばねっ?」て言ってきた。

それには頭が真っ白になって思わず「はい?」って言っちゃった。

だってさ仲悪かったわけでもなんでもなくても4年以上もって思った。 けど 


すぐに分かった、きっと彼女の妹だなって。

きっとうちに来てくれた時もやさしさだった気がする。


それから4人で遊び続けた、ほとんど毎日。 


まあそれも今度は僕ら3人が中学校に上がった時までで、毎日遊んだりするのは無理になっていった。

あ、でも彼女の妹―――里沙ちゃん―――はいつの間にかまた僕の部屋で勝手に漫画を読んでることが多くなった。里沙ちゃんが髪を伸ばし始めたのもこの頃からだったかな。


中学になっても初めのほうは三人一緒で行動してることも多かったけど、あいつも彼女も周りの目を気にしているみたいだった。そりゃそうだ、彼ら二人ならまだ分からなくもないけれど、僕がいることで三人ともう浮いていたように思う。

そのことに気付いてからは一瞬で、「入りたい部活があるから」って二人と距離を置いた。

二人とも

「なら自分も」って言っていたけど「読書するだけの部活だけど?」って言ってやったらすぐに辞退してきた。

思った通りだった、ていうかそうでなくては困る。あの二人のことだ、入るとしたらもっと体を動かす部活だろう。


それからは特別なことは何にもなくて中3まですごした。あ、アイツが高校に受からないって泣きそうな顔で言ってきたときは流石に全力でサポートした。

だって彼女と同じ高校に行きたいってのは大分昔に言ってたし。

だけどその気持ちが今も変わらずそうなのかって。聞きたかったけれど喉元まで出かかって、つばと一緒に飲み込んだ。


それから僕の入っていた部活は実のところはただの同好会で部員はたったの3人、ギリギリだ。それに僕が入っていたのだって半分以上自分の逃げ場が欲しかったからだった。そんな先輩も去年卒業していったから一時はどうなるかと思ったけど、なんと入学してすぐの里沙ちゃんが友達を連れて入部してくれた。


そのときずっと聞きたかった言葉。

「どうしてそんなにしてくれるの?」って聞いたら

「何言ってるんですか」って言われちゃってびっくりした。だけどすぐに、答えなおしてくれた。


その言葉には、ああ。やっぱり。って思ったな。



里沙ちゃんのおかげで中学校に思い残すことなく高校に上がれた。

けど高校になったらまた逃げ場を失って。そうしたらまた二人に声をかけられた。

またか、って思った。

でもそれは一瞬のことで高校ならあんまり僕がいても浮かないかも、と期待したから。向き直って。


3年ぶりにちゃんと見た気がする二人の距離は小学校のときに戻っていた。

それが、

中3で聞けなかった質問の答えなんだろうなってわかってしまったから。


でも二人は必至で取り繕っていたつもりなんだろうな。隠すんだったらもっとちゃんとして欲しかったな。

隠そうとして、離れにくそうに戻っていく二人を見れば見るほど二人はピッタリなんだって言われているみたいで。どうにかなってしまいそうだった。


だから耐えきれずに僕は彼女に


「付き合ってくれませんか」

って言ったんだ。その時の彼女の顔は凄くすごく悲しそうで。つい、思ったことが声に出て

「いま、どんなかおをしているかな?」



「泣きそうな顔、かな。」


僕は死ぬほど恥ずかしくなってそんな顔も見せたくなかったから俯いた。


今までのことが一斉に蘇ってきて、ハッとした。


「ごめん、ありがとう」

「ううん、こちらこそ。」



「そうだ、やっぱり君は髪を切ったほうが可愛いと思うな。」


最後まで読んでくださり有難うございました。<m(__)m>

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーの説明を極端に減らしたのは読者の想像である程度補えるし、想像による楽しみがあるので良い。 [気になる点] 想像を働かせる為にはその元になる言葉の選択が重要だが、ストーリーの最後の…
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