第24話 町に行ってみた
今回まるで設定厨の様な貨幣やギルドの仕組みだけの話になってしまいました。だってこれ以上内容を盛ると2倍以上になりそうなんだもの!
裏設定の様なモノが好きな方はお楽しみ下さい。
どうでも良いや~と言う方は飛ばされても結構で御座います。
自分、設定厨違います!お金、大事!ね?だって今回初めてお金の話が出るのだもの!
村長宅にて。
「そろそろ町に出て売ってみませんか」
自分は村長に提案した。
「売るとは、何をだね?」
「絹糸、発酵パン、石鹸、ペン、紙、楽器、シャンプー、そして目玉は刀………その前に木刀なんかは売れませんかね?」
今でも何処かには在るだろうか。お土産と言えば木刀とかいう所。
そうそう、シャンプー!今もうマジョオは村に招いているのだ!
「木刀は売れぬのではないか?木だしな。石鹸やペンや紙やシャンプーは疑問だな」
木刀売れないか?木剣だって有るだろう!あれか?ワットばかりでなく殆どのヒトは曲がったひょろい棒とか思っちゃうのか?
其れから石鹸、ペン、紙、シャンプーは………
「石鹸やシャンプーは使う習慣が無い、ペンと紙は識字率高くないって所ですか」
「お主本当に子どもらしくないな。
そもそも、だ。商売でやり取りする金銭という物を知っておるか?」
「そう!お金ですよね!貨幣制度はどうなっているんです?」
「ははは……先ず町でなら庶民でも知っている硬貨に銅貨が有る。小さめの野菜が一つ一枚で買える…お金と品物を交換出来る位かな」
ふむ、銅貨一枚は百円未満と言った所か。
「銅貨百枚分の価値がある硬貨に銀貨というものが有る。百枚分、分かるかね?」
「余裕です」
普通、田舎村の幼児には通じないだろうけどな!
「ははは………だが百枚も持って取り替えるのも大変だ。間に銅貨十枚分の価値がある大銅貨が有る。
銀貨位になると商人ならいつも持っている位かな。
そして、銀貨十枚分の価値がある大銀貨、更に十枚分の価値がある金貨というものが有る。が、金貨は並みの商人でも見た事無いのではないかな」
成る程な。ラノベなんかでは金貨が庶民の生活にもポンポン出て来るが、そんなに金が採掘出来る訳が無いよな。
「えー、では金貨十枚分の価値がある大金貨、更に十枚分の価値がある白金貨なんて感じですかね」
「は?」
「あー…何でもないです」
詰まり、もう村長にも付いて行けない話という事だ。
金貨の時点で百万円弱、庶民にはもう充分だろう。
「むう…お主本当に底が見えぬな。
だがまだ、品物を持って行きさえすればお金が手に入るという訳ではない。
商人ギルドという団体が在ってな、そこに話を通して商売する場所を都合してもらわねばな」
出てきたか商人ギルド!そして商売する場所は露店、詰まり広場に大勢のヒトビトが茣蓙を敷いて品物を並べる店、という流れだな。
「しかしだな、お主が賢いのは分かるがそれでもいきなり商売には成らぬのではないかな」
「勿論先ずは単身行って下見してきますよ!」
いきなり品物持って行くのはバカだろう。
「大丈夫なのか?今更とは思うが…」
「生き馬の目を抜くってヤツですかね」
視野が広い馬の目をも欺くという意味で、都会のヒトビトはそんなだから隙を見せるな、という事だ。字面からは目ん玉刳り貫いちゃうぞ!みたいな感じがしてならないと常々思っているのだが。
「何?」
「ヒトの多い町では自然とは違った方向性の危険が有るんですよね」
「お主………ふふふ。分かった。信頼して送り出す事にしよう」
「では行ってきます」
「今か!早いだろ!」
善は急げというヤツだ。
そして。
程なく近くの町に着いた。事は日中に片付けなきゃあな。
そんなに大きな町でもないので、周りは簡単な木の壁だ。そして門番とも言えない程度の見張りが二人、町門の辺りに立っている。流石にあからさまな不審者には気を付ける、という位か。
「こんにちは」
「「こ……こんにちは」」
見張りの二人は戸惑っている。自分、小さいからな。
「この町に商人ギルド…と、冒険者ギルドなんて在りますかね?」
「あ…在るけど…君、商人か冒険者の子なのかい?」
「自分は農村の村人の子、ちいと申します」
「え?ああ…おれはモンバーンと申します?」
「お…おいらはミハリー!」
酷え名前だな!日本語知ってるヤツがウケ狙って付けたんじゃねえか?
「因みに町の名前等は」
「此処か!此処はトナー・リーの町だ!」
酷ぇー!!ホントに酷え!!しかもモンバーンさんが誇らし気にしてるのがもっと酷え!!
「えー、では商人ギルドの場所教えて頂けます?」
「あー、教えるけどコネはあるのかい?」
「有りませんね」
「なら先ずは冒険者ギルドへ行った方が良いぜ!冒険者証は色々身分証明に成るんだ!
商人は護衛を雇ったりするからコネにも成るしな!」
「有難う御座います」
「しっかりした子だなあ~。本当に村人の子?」
ミハリーさんが聞いてくる。
「はい、すぐそこの村の子ですよ」
村の方角辺りを指差すが。
「「どこだよ!!」」
突っ込まれた。すぐそことは認識されてない様だ。まあ良いや。
そして冒険者ギルド。
「すみません。冒険者証を作りたいのですが」
「あ?」
受付のおっさんが一瞬呆けた。が、直ぐに立て直す。
「おーう!偉いなあ坊主!小っこいのにもう働く気か!」
一応小さい子向けの積もりらしき笑顔?で言った。
それに現代日本でなら確実に案件だが、此処等では丁稚奉公が在った頃の考え方の様だ。
丁稚奉公とは、家族皆が食っていけない家の子が食っていける他所の家に住み込みで働きに行く事だ。他所で食っていく処か家に仕送りまでしたりな。ハッキリ言って碌でもないシステムだ。
働いている子は、食わせてやらないぞーとか脅されれば主に逆らえない。それでこまされちゃったーと告白した者がいる。が氷山の一角だろう。丁稚奉公した子は殆どこまされちゃったと思って良いんじゃねえ?可哀想に。
まあそれはそれとして。
「じゃあ登録するからな!名前と性別と年を教えてくれ!」
受付のおっさんが訊いてくる。
「ちい、女、4歳」
数え年では、である。満年齢では2歳何ヶ月だかだ。
「あ?女?4歳??」
「4歳」
おっさん驚いただろうが念押しする。
「年齢制限有る?」
「いや…無いけどよ…分かった。作るから」
このおっさん引退した冒険者ではないかね。納得出来てなくても先ず手は動かすという。
「冒険者のプライバシー保護って有る?」
「ホントに4歳かよ!
ああ、冒険者には知られちゃ困る事も有るからな。冒険者同士でも本人が言わない事は詮索しないってルールがあるぜ。
只、ギルドが把握しておかなければいけない情報はギルドが管理してるがな」
情報、管理と来たか。此処等の文明度どうなっているんだか。
「出来たぜ。ほら、良いか?」
冒険者証は文字を彫り込んだ木の板だった。まあこんなもんか。
おっさんはカウンターの向こうから見せようとしたが自分が小さ過ぎるので、ちょっと困った素振りをした後こちらに回り込んで来てくれる。
それを見ていた冒険者の一人が言う。
「おやっさん!その子が女の子だと分かって口説くんですかい?」
冒険者達が皆笑う。
「バカ言ってねえでサッサと仕事行けえ!!」
怒鳴りつけているものの、冗談言える仲、というものだろう。本気で怒っている訳でもない。
「良いか?これが名前、性別、年齢だ」
ふむふむ、これがこの辺りの文字か。ちょっとだけしかないがな!でも覚えておく。
年齢は点の数で表示してある。数字を知らなくても取りあえず数えられるという訳だ。
「登録したばかりでは此処が空欄だが、此処にはランクが表示される」
「ふむ、ランク」
ランクも点の数で表示される様だ。欄が横に細長い。
「冒険者の強さだな。強い程身分の証明にもなるって寸法だ。
達成した仕事によってランクが上がるが、勿論いきなりランクの高い仕事は出来ないからな?地道に上げてけよ?」
いきなりランクの高い仕事したら本気で死ぬだろうからな。けどたかが木の板じゃあ簡単に細工出来ないか?
「冒険者証の破損、紛失は有料で再発行だからな。大事にしろ?
で、だ。冒険者証を細工した場合、発覚したら直ちに冒険者の資格剥奪だ。情報はギルドで管理してるからな。勝手にランク足したりするなよ?」
流石情報管理(笑)!そういう事か!
「ランクが上がる条件だが、ランク無しが受けられる仕事は町中の仕事しか無い。
で、何か一つでも仕事を達成出来ればランク1だ。ランク1なら仕事を受けて達成するまでの流れが分かっていると証明される訳だ」
「ランク上げるには通わなきゃいけないねえ」
「あ?」
「自分、此処に住んでないし」
「え?」
「自分、あっちの山の農村の子だから」
「はあぁー??!!」
「分かるよ?登録するのは町人なのが前提で、いきなり町から出るのは危険だから町中の仕事しか受けられないんだよね?」
「お…おう」
「しかしランク上げるの面倒だなあ。けどランク無しじゃあ殆ど身分証明にならないかあ」
「あー、一応仕事以外でランクを上げる方法が有る」
「ふむ?」
「頷きだけで先を促すなよ!
はあ…ギルドの判定員と試合して、認められれば判定員の一つ上のランクまで上げる事が出来る」
「成る程?冒険者が判定員に勝った場合、どれ位強いかまでは計れないから一つ上のランクまでって事ね」
「お前本当は4歳じゃないだろう!」
「お前呼ばわりはキライ」
「お…おう!」