第88話 再会してみた
やっと着きました!
村から見て隣町のトナー・リーの町(笑)!!
予定ではアイマの町の
ギルドマスターと会話する辺りだった筈!
その辺りで何度も題名書き直しましたよ!
結局、何でこうなった?!
…ホントに何でだろ?
トナー・リーの町へは、夕方と言うには早い頃に着いた。が。
刀鍛冶の弟子候補達の歩調は明らかに鈍っていた。特に女性達。連日歩き詰め
なのが辛かった様だ。
靴の出来が悪いって、本当に良い事無いな!
此方とて其の日の内に踏破出来る所を何日も掛けて歩くのは辛いのだが。言っては居られない位に弟子候補達の消耗が激しいな!
ので、鼓舞するべく声を掛ける。
「今日は一寸早いけど宿を取っちゃうから、じっくり休んでね?
明日は何としても村まで行っちゃうから、早朝出発するよ!」
あれ?嫌そうな雰囲気が改善しないな?
早朝出発するってのが引っ掛かった?先が見えない疲労は辛いかと思って、直ぐに休もうと言った上で到達点を述べてみたのだが。
山林で野営なんてのも断じてするべきではないので選択肢も無いのだが。
言い方がもっと有るだろうって?甘ったれんな?
どうしても辛そうな奴には魔法酸素吸入を使ってやったし、ちっとは違った
だろ?
「宿を取るまでもうちょっとだぞ!歩いた歩いた!!
…よっす!モンバーンさん!」
知り合いが居たので気軽に挨拶する。門番だなんて御大層な入り口ではないが、町の前で一応番をしているモンバーンさん(笑)だ。後他一名は知らん。
「え?お?おお??
……ちいか?!久し振りじゃあないか!!帰って来たのか!!」
「おーう!帰って来たぞー!!」
「その子、知り合い?」
「ああ!ちいと言ってな!……えーと、もっと小っちゃい時、突然町にやって来たんだ!
……あー、あんまり大きくもなってないか?」
もう一人の町の番に紹介するモンバーンさんだが。
「何其の、謎の生物みたいな説明は!」
「えー?謎生物だろ?」
「失敬な!」
「ははは!でえ、ぞろぞろ連れて来た後ろのは何だ?」
「師匠の一番弟子、ライナです!!」
「……メイです」
「自己主張激しいな!!」
モンバーンさんは己等だけに訊いた訳じゃあないんだがな?!
そりゃあ、女性は総じて自己顕示欲が強いものとは思っているけれど!
控えめな女性だって身形は整えるでしょ?他人に見られる事を意識している、
ワタシを見て?って事なんだよ!そりゃあ、身嗜みはヒトに見られる事を前提に
して整えるモノだが、見た目を全く気にしないとどう成るか?…其処らの男共でも見れば実例になるんじゃない?
「…此の二人以外は刀鍛冶の弟子候補達だよ」
「くくく!ちい、師匠なのかよ?」
「其処は忘れて良い!」
「忘れちゃ駄目です!!」
「ライナ、そんなに覚えて欲しいの?!」
いや、コイツのおバカさは強烈だろうけど!
「師匠は国中、いや、世界中に名を轟かせるお方です!!ならばわたしも常に共に在った者として知れ渡るのです!!」
「金魚の糞としてか」
「キンギョ?ふん?」
此の世界に、金魚を飼育して眺めるだなんて文化は皆無だろうが。金魚は何時もウンコをぶら下げて泳いで居るので、何時も付いて歩く奴の事をそう言うのだ!
平成辺りには意味が通じる奴居なさそうだけれども!
「悪口ですよね?」
メイは、完全には分からなくとも言わんとしている所は察する。
「えー師匠酷おい!」
「安心しろ!妥当な評価だ!」
「追い討ちですよね?」
ライナは表面上しか分からないが、やはりメイは察する。メイはメイで別方面でポンコツだけどな!
「ちい様?」
心中を察した様だ。女って、そういう所有ると言うが。ライナを見ろ!表面しか分からないおバカだぞ?
「ははは。楽しそうだな!後ろの奴等、疲れて居そうだから、さっさと宿を取ってやんな?」
「あ!うん、有難う!じゃあ又ね!」
「おう!又な!」
余所様に気遣われてしまったよ!
弟子候補達を宿に放り込んだら、自分は自分で用を果たさなきゃあ!
と、言うのも。知り合いに挨拶、もだが、弟子候補達に厚着を用意してやらなくてはならない!
本人達が店に行った方が良いのだろうが、もうヘロヘロだもんねえ。上着なら、サイズはそんなに気にしなくても良いだろうしな!大きめなら困る事も有るまい!
「ちい様!」
「師匠!何処に行くんです?」
「んー?付いて来るの?面白い事なんか無いだろうけど」
そう言えばメイは小物で調整するけど基本メイド服だったか。じゃあ本人が店に行かないとダメだな。
「疲れてはいない?」
「大丈ぉー夫ですよ!!わたし達、師匠の弟子ですもん!!」
「お供致します」
「ふっふふふ。じゃあ行くよ?」
図体はでかい癖に母親の後に付いて歩きたい幼児みたいだな。
でかいったって、自分から見れば、であって、標準より背があるって訳じゃあ
ないけれど。
「あ!今の師匠の顔!!………なんて言うんだろ?」
「何さ?!」
ライナ如きに言われる様な変な所なんか無いだろ?
「慈愛に満ちあふれた、母親のご尊顔に御座います」
「え………そうなんだ?」
「左様に御座います。当然我が子には見返り等求めない、しかし我が子には自分の全てを捧げても良い、そういう御心のお方だけが表せるお顔なので御座います」
「師匠………もうお母さんの境地なんだ………」
ライナとメイが何やら言っているが!
「誰がお母さんかあああああああああああ!!」
怒鳴りつけた筈!なのだが!其処はライナ品質!!
「師匠……!!お母さん、って、呼んでも良いですか?」
「駄目だろおおおおおおお!!!」
色々駄目!と、言うより、可能な要素等何処にも無いだろおおおお!
「はあ………もう良い!」
「良いんですね♪お母さん♡」
「許可したんじゃあねえよっっ!!」
バカなのっ?!いや、バカだった!メイも笑ってんじゃねえっ!!
…はあ。先ずは冒険者ギルドに自分達の情報(笑)を届けなきゃあな!
「おっちゃぁん!!お手紙届けに来たよお?」
受付で、開口一番そう言った。
「え?お?ああ??!ちい?!!」
「ちいだよお?」
「帰って………来たのかっ!!」
何と言うか、血の繋がった我が子かの様な、感慨が籠りに籠った声で、受付のおっさんは言う。
一寸涙ぐんでいないか?
「相変わらずすっとぼけた子どもの振りなんかしやがってえ!……けど、頑張ったんだな!!」
「んー?そこそこだよ?二年もずっと頑張って居たらへばっちゃうよ」
「ああ!そうだな!!おれが考えた理論なんだけどよ!力を抜く所は抜いた方が
良いって事も有るんだよ!だらけやサボりとは又違った意味でな!!」
「おっちゃん、残念だけど」
「ん?あ?」
「おっちゃんが最初に気付いた事じゃないから」
所謂、脱力という理屈である。
「はああああああああああ??!…………ああ……
ちいって奴は!初っ端から絶叫させてくれやがる!」
何?自分、絶叫マシンなの?遊園地の宣伝で紹介されちゃうの?
「けど……やっぱりちいだ!本当に…帰って来たんだな!」
自分、放流した鮭の稚魚か何かなの?
あ、兎に角ギルドの情報(笑)を渡す。
「ぎ……ギルドのおじさんまでがお母さんの顔しています!おじさんなのに!!」
「くっくっくっ……左様で御座いますね」
「…………ちい?何だ?後ろの其奴らは?」
おっさんが訊く。一寸不満そう。
「情報(笑)に書いてない?此の二人がライナとメイ」
「ほ~お?他の奴等は?」
「宿屋でダウンしてる。本来、何日も歩くヒト達じゃあないし」
「そう言う事かい!」
おっさんは把握した様だ。詰まり、冒険者証は其のヒト達の身分証明の為に取得した。其れから裏の意味として、身嗜みの為、という事を。
身嗜みというのは、冒険者証に愛着が湧いて行いに気を付ける様になる、というヤツだ。
「其のヒト達が一人前になったら、刀の質が向上するからね!」
「ああ!ちいの所で売り出した武器な!けど、今のヤツより良くなんのか?」
弟子を何人育てようが、刀身だけを見れば今よりは一寸だけ良く成るかなあ、という所だけれども。
「刀は部品が沢山有るからね。今は一人がアレもコレも~と無理矢理作っている
けれど。本来、何種類もの専門職が何人か掛かりで造るべきなんだよ」
まあ、友禅染よりはマシだが。アレって、十四だか十五だか行程が有って、其れ全てに専門職が必要とか言ってたよね?まあ、値段的に言っても刀がン百万円なのに対して友禅染はン千万円だから、仕方ないのだが。…仕方ない、のか?
「成る程な!今造っている奴が、刃、の、部分か?其れに専念出来る様になる訳だな!」
「そう!おっちゃん、引退した元冒険者でしょ?」
「おう!分かるか!やっぱちいは賢いな!」
「もっと賢いの、居るよ?」
此の言い方なら嫌味な謙遜にはなるまい。勿論、シャールの事だ。後、ピュアが、謎!喋りはしないけど技能が尖り過ぎているし!
「はっはっは!そりゃあ、世の中広いからな!適当に言っても当たるだろうけどよ!」
「いや?知り合いに既に賢いのが居るんだよ」
「はあ?ちいが賢いだなんて言っちまう様な奴って、どんなだ?」
「そう言えば歳は確認した事無いけど、二つ上位かなあ?っていう子」
「はあああああ???!ちいより二つ上位って、其奴だって未だ未だ幼いじゃねえかよ!!しかも、冒険者登録すらしてないのかよ!!」
察したか。やっぱり元冒険者!抜け目ないんだな!
「………世の中って……広いんだな……」
「広いねえ!じゃ!今回冒険者証には更新が無いから、此れで!」
「おう!又顔位見せろよ!」
次は商人ギルドだな!
ティーエ!楽しみに待ってろよ?
某ラノベの限定版ですか?
はい。…
……………
駄目らったあああああああああああああ
あばばばばばばおおおおおちつけおおおお
おおお落ち着けぇえええええ………
………
はい、お見苦しい所を
お見せしてしまいました。
申し訳御座いません。
教訓を申し上げましょう!
本屋さんの予定表を
全部見るのは面倒だとしても!
私生活で本の現物眺めが
欠けてしまう日が在るならば!
其処だけは予定表を見ておく方が
宜しいのです!
限りある力を使って生きる我々は
省く技術が重要に成ってきます!
技を磨く、なんて言い回しが有りますが
磨くというのは削っているという要素が
有るのです!
技というモノは
無駄を省きに省いた末に残るもの、
であるので、磨くというのは
迚も言い得て妙、だと思うのです!




