第22話 音楽始めました
気付きました!
前書き部分に能力値を書けば内容がゴチャゴチャにならないと!
と言う訳でちいの現在の能力値です。
名前:ちい 性別:女 年齢:2歳 レベル:10
能力値
土:2.99 火:2.87 風:18.03 水:16.55
技能
反骨精神 深層思考 警戒態勢 絶対無敗の誓い
気配察知 刀術 体術 両手利き
なんば 遠山の目付 高速思考 一刀一足の間
高速連打 一撃必殺 槍術 薙刀術
杖術 片手剣術 交渉 料理
刃物扱い 木工細工 精製
魔法:点火 送風 烈火 水鉄砲 滝落とし
結界 靴底 酸素吸入 搬送 千里眼
地獄耳 湯沸かし 生命感知 熱感知
技能の詳細は又機会が有れば、です。
中央広場の小屋の中で。
細長い様な板に何本かの糸を張り、糸を更にピンと張り詰めさせる為の柱?の様なものを板に立てる。
そして糸を弾くモノを指に装着する。爪弾くってヤツだな。
結局ソレは何かと言えば、琴!………の様なモノ…と言えるんじゃないかな!だって正式には弦が何本かも知らないし。
しかし知らないからと言って手を出さなければ何の結果も残らないので一念発起したのである。
これ自体は生死に関わるモノではないが、出来る事は何でもやっておくというサバイバル精神の一環と言えよう。
実際に音を出してみる。ドレミファソラシドと上下3音ずつが出せた。絶対音感が有るなんて言う気は無いが、素人が聞く分には全く問題あるまい。
小学校位で習いそうな曲を幾つか弾いてみる。うん、問題ない。
「しかし、本当に曲だけ、じゃのう」
オロチがそんな事を言う。
「仕方ないでしょうが!自分、専門家じゃあないんだから!」
寧ろここまで出来ただけでも褒められるだろう!
「曲にもっとこう…深みっちゅうかな?」
「第二曲とか和音とか連奏とか単打とかね!」
正直あまりツッコんで欲しくないのだが、一応実在の音楽記号を思い浮かべて言ってみた。だってオロチにカタカナ言葉が通じないからそれっぽく言うしかないのだ。和音とコードが同じ意味というのは確実なのだが。
「は?」
はっきり言葉が出てこないオロチには付いてこられなかった。分かってた。黙らせたくて言ったのだし。
オロチは黙らせてやったが興奮している子が二人ばかり。
「あのね!何?凄いよね!コレね!!良いよね!」
セツである。何言ってるのかサッパリだが、これこそ普通の幼児なのだろう。
見た所、戦いにはさほど興味を示さないこの子も、コレには興奮を覚える様だ。
で、もう一人というのはユキだ。
「これは楽器。音を出す為だけの道具。決まった音の並びを曲と言う」
何言ってるのか分からないセツに説明してやる。
「やったー!もっと聴きたい!もっとやって!!」
自分を怖がってた筈のセツのはしゃぎ様は相当だな。
期待にお応えして知っている限りの曲と、弾ける自信は無くても何とかこんな感じか?というのを弾いてみた。
「わたしも使える様になりたい…」
セツはうっとりとして言う。今すぐ触ろうとはしないが。
それに対して。
ピュアがにこ~っと顔を覗き込んできた。
「弾いてみる?」
やっぱりピュアは喋らないが、やる気は満々な様だ。
爪を二つ着けてやる。まだ足りなさそうだ。両手合わせて四つ着けてやる。まだ催促している様だ。
十個、詰まり両手の指全部に着けてやる。満足した様だ。マジかよ。
ピュアは音を搔き鳴らした。低い音から順にポロロロロロンと流れる様に弾くアレである。なにい!?
そして。
ピュアは演奏した。何故か先程自分が弾いた内の一曲を。但し完璧版で。いや、自分、音楽家な訳ではないので素人が聴く分には完璧と思える曲を。
うわぁ~………コレへこむわ~………別に自分、音楽の専門家気取る積もりは無いんだけれど……なあ~…
一曲終わり、力無くセツの方を見た。うわっ!
泣いていた。滂沱と涙を流していた。あ!ユキもだ!
「うっっうぇっぁうぉっっ」
「あー、うん。先ずは落ち着こうね」
セツは一生懸命何か言おうとしているが、もっと訳分からん。
しばらくお待ち下さい。
「落ち着いた?」
様子を見つつ尋ねた。
「教えて!音楽を!!コレを!!!」
「えー、ピュアに教われば良いんじゃないかな」
散々凹まされた後そんな事言われるの、きっついわ~。
「ピュアは喋らないじゃない!!」
失礼だな!ピュアの居る目の前で!ピュアは相変わらずニコニコしてるけど!
「えーと、ピュアに演奏してもらって、それを見て覚えるとか」
それだけでは足りない。とは正直思う。更に見たからってどうなるもんだ、とも思う。玄人、即ちプロの手元を見て素人にどれだけ足しになるかと言うものだ。ピュアの指の動きは本当にそれ程なのだ。
けど田舎村でのお遊びなら充分でしょう、と、思ったのだが。
「見る!けど!
ガッキを作ったのはちいだよね!!
それに、ピュアがやったキョクはさっきちいがやったキョクだよね!!!」
よく判ったな!!もう別物と言って良い位加工されてたのにな!!
「先ずはちいがやらなきゃ何も始まらないんだよ!!」
何だかセツ、急に饒舌になってないか?
「ちい!おへんじ!!」
「お…おう」
「おとこのこみたいなおへんじだね!ちいは女の子なんだよ!!」
余計なお世話です。
「ワットとばっかり喋ってるからだよ!!」
何でそうなる!!
「だからわたしにもいっぱい教えてね!」
勝手だね~。子どもってみんな我が儘だよね~。
ユキはずっと何も言ってないが、意味有り気にニコ~っと笑いかけてきた。はいはい、こっちもですか。
「先ず、音楽ってどんな音を出せば良いの?」
え~?それって小説に例えればどんな内容書けば良いの?みたいな?
………いや、違うか。仕組みか。
「えー、基本となるのはドレミファソラシ、の七音で…」
「はあ?!何じゃそりゃあ!!」
オロチ、まだ何か言ってくる気力有ったの?
「…場所によってはニホヘトイロハとかDEFGABCとか言うけども、全部言ってる事は同じ」
「何でニから始めて途中にイが有るんじゃ!」
そーだよねー。一番基本のドが五線譜の二段下とか順番メチャクチャだよねー。
「順番は割とどうでも良いんだー。周期が巡っているから。
問題は何でその七音が基本か、と言うと、世界のあらゆる物体は七音のどれかに共鳴するからなんだね。
生物、特にヒトは状態によって共鳴する音が変わるみたいなんだけども。
共鳴するとは共に震える事。心が震える音を特に選んで並べたモノが曲であり音楽である、と。
そう言う事」
音楽記号はもっと複雑で種類が有るが、何でも突き詰めれば複雑になるのは当然の事だ。段々欲張って内容を盛ってきた、とも言う。
ちょっと難しい話だったとは思うが、セツとユキのポカンとした顔はどの程度呑み込めたかはちょっと計りかねる。オロチは………ダメだこりゃ。
「じゃあさ!じゃあさ!どれみふぁそらしってどれ?!」
セツが元気に聞いてくる。
其れは実際に鳴らしてみるしかないな。
「これがド、で、あとは大体一音階ずつ上がって行くけども、ファとシは半音、かな」
「一音階?半音?」
それを聞いたのはオロチだ。ダメな大人だ。
「よく聴いてご覧?ほら、ファとシはちょっと違うでしょう。此処は感覚で。
何で此処だけ半音か、と言えば沢山のヒト達が感覚で、これが一番しっくり来る!と、思ったからだね。
そして実際、世界の仕組みとピッタリ噛み合った訳だね」
「閃いた!!!」
オロチが突然わめいた。
「鎚の振るいに七音階を取り入れたらどうじゃ?!
うむ!!!こうしちゃおれん!!!」
そして鍛冶場に駆けて行った。うん、鍛冶場、完成したのだ。
しかし鍛冶に七音階を取り入れるねえ?どうなる事やら。
「わたし、ガッキやりたい!」
我に返ったセツは言う。
「あと、ユキとちいとピュアもやるにはもっと一杯ガッキが欲しいよね!!
作って!!」
そこは催促かよ!まあ普通の幼児には道具の加工手段が無い訳だが。
それで、自分も数に入っちゃってんの?ピュアと並んで演奏したらいつも凹みっぱなしになりそうなんだけど!どうにか断る手は無いか??
そして。
確か楽器の三大基礎だった筈の弦楽器…は琴の様な物で良いとして、後の管楽器、笛と打楽器、ドラムセットという程ではないが、何種類かの太鼓と小太鼓の組を作り、楽器は三つだから自分は入れないね!と、言い訳に成功した。大分縋り付かれたが。
自分は実演には加わらない代わりにと、のちに紙を作ってから楽譜を教え、音楽記号を教えた。小学生でも習う位のをだけどな!楽器を増やすのに協力もしたし。うん、楽器を増やしても自分は加わらなかったさ。ここらの子ども騙しはお手のものだよ。
それ以外は丸投げだったんだが、後に村に楽団が出来る程発展した。セツとユキの音楽への執念は並々ならぬ物が有った様だ。
其れからオロチ、鍛冶もずいぶん向上したそうだ。前の状態を知らんから如何程かは分からんが。
ちいの能力現在値、如何でしたでしょうか。
今回の題名に(改)などと付いていると存じますが、投稿する際にトラブル続きになって内容を先ず投稿するのを第一にして、前書きを後から付け足しただけです。内容は一切手は付いておりませんのでご安心を。
でも誤植でも訂正でも修正前と後を両方手に入れたら、何だか収集家魂に火が付いちゃったりしますよねえ。何か変にプレミア感が出ちゃったりして。自分もとあるコミック本を(以下略)。