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第83話 引率し続けてみた

 大分っ!大分時間が食い込みましたが!

 土曜日…の積もり分ですっ!

 日曜日分も何とかします!

 どうぞ、お楽しみ下さいませ!

「此んな綺麗な服!着るの、初めてだ!」

 刀鍛冶の弟子候補の一人の男が言う。

 男な訳だから、其れは飾りがごてごて付いている派手な服、という意味では

ない。女性的フェミニンな色や模様等という意味では間違っても無い!!

 単純に、新品に近い、見た所汚れも全く目に付かない服、其れだけの意味だ。

 裏を返せば、今着る前の服は汚らしかった、と言う事だ。

 其れはね、文化水準的にはね?一般人に風呂って言ってみても何其れ?って

レベルだけどね?

 一応、湯で絞った布で、体を時々位は拭く習慣は有る様だ。と、なると、あっちの世界の昔の西洋よりはマシか。一寸ちょっとマシってだけだがな!

 あっちの世界…日本の在る世界が、此処から見ればあっちという事になって

しまうのだが。

 兎に角、新品に近い古着(ごと)きで思わず綺麗と言ってしまう程度のだしなみが一般人のレベルだと。

 アレだね。作り話では読者が兎に角増えて貰わなきゃあ売り物に成らないから。必ずと言ってつかえ無い程恋愛要素は入るけれども。

 異世界モノとなったら日本人が異世界の異性と恋愛する、というのが自然と

言って良い程の流れに成る訳だけれども。現実的に言っちゃったら、ナイなぁ~、と、言わざるを得ない。

 現代日本の感覚で言えば。此処の世界のヒトビトは、全般的に、キタないもの。人柄が素晴らしかろうと心が綺麗だろうと、第一印象は、ぅわ!汚い!だもの。

恋愛感情なぞに、発展しないでしょ?

 自分は面倒見てあげるけどさ。大事な将来の刀工とうこう候補達だからな!

 あ、刀は何種類かの専門職が何人か掛かりで造る訳だが。刀鍛冶、と言うか刀匠とうしょうと言えるのは、刀身とうしんを造る者だけだからな?其れ以外は刀工と言うのだ。元々

何種類かの専門職に分かれて貰う積もりだからな!

 現時点ではオロチが無理やり一人で造っている訳だが。どれ位専門職を育て

られるかねえ?

「は~い、皆さん、服装は整いましたかぁ~?次は道具類を揃えますからね~?」

 旅装りょそうを整える、という意味以外は無いのだ。22人が着替える位の時間は掛かるが、あっちの現代の、女の買い物に有りがちな、デザインで選ぶだの見て楽しむ

だのいう要素は無い。全く無いのだから、あんまり時間が掛かっても困る。

「師匠!如何いかがですか?!」

 ライナが少々の、あくまで店内で可能な程度の動きを見せながら訊いて来る。

「うん。動けそうだね」

「………」

「…」

「似合ってるとか、可愛いとかは?」

「実用一辺倒(いっぺんとう)だろ」

 長袖長ながそでながズボンに何を期待しているのだ?

 一寸シュンとしてしまったが。

「えーと、お嬢ちゃん?」

「ちいだと名乗っただろ!」

 弟子候補の一人が声を掛けてくるが。

「あのー、料金は?」

「必要経費なので気にする事有りません!はい、次行きますよ!!」

「払えるの?」

「国王陛下から頂いていま~す!と、言う事は元々皆さんが納めた税ですね?

此処ぞとばかりに使っちゃえ!」

「え?王?税?」

 一般人は税制システムが分かっていないのだろうか。どうでも良いや!

 次は道具屋だ。背負い袋と短剣ダガーの購入だな。

 ゲームやら、其れが当たり前だとでも思っている作り話ではインベントリ的な、亜空間だかに収納ぉ~うとか言っちゃうのだが。無理!無理だから!

 ゲームでだって、そんな想像イメージで作った訳ではない筈だ。

 出掛けるたびに重量やら持ち運び易さで持ち物を選んで行くだなんて面倒臭い。

面倒臭いゲームは売れない。冒険で使った道具だけ、後付けで持って行っていた

んだ、という事にでもしておいて?位の考えであろう。

 現実的に可能な範囲は、精々両手共空く背負い袋に入る位の荷物、という所だ。はい其処!現実は詰まんないとか、言わない!!

 其して短剣ダガー。ゲーム的には最弱レベルの武器としか思わないだろうが。生活必需品なのだ!

 野営でもすれば、食材をさばく包丁代わりに使い、其れ以前に獲物の解体に使い、木材の加工に使い、道具に因っては火起こしにも使う。森林では枝払いもする。等など。

 まあ、今回は野営は無し!の予定だが。

 其して生活必需品と武器とは、同じ短剣に括られていても形が違うのだが。

扱っている店も違うよ!

 其れでも鉄製の刃物を一人に一振りずつ持たせると、皆恐々(こわごわ)なのだが。

「はあい、皆さん!刃物はこわい、という気持ちは大切にしてくださいね!

 刃物をみょおぉ~に気に入っちゃうヒトはアブないヒトですからね!」

 此れから刀鍛冶の弟子に成ろうって者達に言うには微妙な匙加減さじかげんが要る事だが。

「では次は武器屋ですね!」

 ライナが待ってました!とばかりに言う。

「おーう!短剣ダガーが良いか?細剣レイピアか?木刀ぼくとうか?」

短剣ダガーと木刀は持ってます!細剣レイピアはわたしを見下し過ぎです!」

「其の短剣ダガーは武器用じゃあないけどな?細剣レイピアは…どうかねえ?」

 細剣レイピアとは、とても実用的とは言えない位細身の片手剣である。御貴族様が気取って振る様な。けど、其れでも鉄製なら、それなりには重いんじゃね?

 木刀は勿論自分が製作した品だ。

「師匠は刀を二本も持って居て、狡いです!一本下さい!」

「此れ、自分専用だから」

 オロチは刀を交換する時、二振りも寄越してくれた訳だが。

 交換前のも、今のも、自分に合わせて造られている。同年代と比べても小っこい自分に、である。刀全体が小さいのもそうだが、細いのである。標準サイズだと

握る事も出来ないし!

 文明度が低い所では大人と見做みなされる程度には育ったライナに持たせても、

脇差わきざしともまた違った持ち加減で、はっきり言って使えないだろう。

 因みに、二振りの刀は左右の腰に差している。

 一寸思い出してみよう。時代劇なんかでは、二振りを左腰に差しているが。

一振りは本差ほんざし、詰まり打刀うちがたなだが。もう一振りは脇差し、短い刀である。

 で、通常の二刀流は、本差しはじゅん手持てもち、詰まり親指側に刀を持つが、脇差しはさか手持てもち、小指側に刀を持つ。実演してみれば分かるだろうが、二振り左腰に差すと、左手側は逆手持ちにせざるを得ない。後、二振り共順手持ちにしたら、自分の持つ刀同士がぶつからない様に気を付けなければいけないので左手側は逆手持ちで良いやあ、と、なるのだろうけれども。

 自分は両手共同程度には使えるのだ!其して、確か天一てんいちりゅうは両手共本差し、で、順手持ちだった筈!!

 其う!日本人なら誰でも知っている…かな?…知っているっ!!宮本みやもとさしの!!流派であるっ!!!

 まあ、特に名の有る技は聞いた事無いが。共に有名な、佐々木小次郎にはつばめがえしという技が有ったが。アレだろう。刀が当たれば死ぬのに、技名がどうこう言っているヒマなんかあるかっ!って所だろう。結構格好悪くても見苦しくても兎に角

生き抜いてやる!!って、ヒトだったらしいし。

 と、言う訳で左右の腰に差しているのだ!いざという時は二刀共抜くぞ?

「其れからねえ、刀を使う気だったら、此処等で武器は買わない方が良いから。

木刀で我慢しておきなさい」

 勿論、此処等に刀は売っていない。

「師匠は色々武器を使っているじゃないですかあぁあ!!」

「あーうん。正直ねえ、誰も真似出来ないんじゃないかな?何時も言っている

けど、欲張って色々やると、本当に何も身に付かないし」

 自分だって、他の武器を命懸けの戦いに使った訳ではない。本気さ、が、決定的に違うだろう、と、思う。本当に、小綺麗に、ヒトに見せただけだ。

「自分ねえ、木刀でだって、実戦はやって来たよ?斬る積もりが無いなら、寧ろ

木刀の方が使い易いよ?」

 実戦とは。敗北、すなわち死、の戦いだ。

「ず~る~い~!!」

 ライナ…お強請ねだりしているのが、殺す道具、武器である、と、分かってんの?分っかんねえだろうなぁ。

「じゃあ武器屋は無しで!次は冒険者ギルドですね!」

 と、自分が言うと。

「ふぎゃああああああああああ!!」

 ライナは不満の叫びを上げる。地面に転がって駄々捏ねるなよ?

 其して冒険者ギルド。受付は…おっさんばっかりだなあ。期待した?何か期待

しちゃった?ぷぷ~☆

 ぞろぞろとギルドの建物に入り込み、皆に声を掛ける。

「冒険者証、持って居ないヒト~!手を上げて下さ~い!恥ずかしがらなくて良いですからね~!正直に!」

 女性二人だけだった。冒険者証は、町を出ないヒトビトにも身分証明証として

かなり定着している様だ。トナー・リーが成した偉業だね!

「じゃあ、ランクが1以下のヒトは?王都を出るので2にはランクアップ出来ますよ?」

 全員だった。ライナとメイまで含めてな!ライナとメイは、もうランク3相当には成っているけどな!!

「そう言うちいはどうなんだよ!」

 弟子候補の一人が訊いてきた。野次気味だな。そろそろ、ガキが偉そうに

しやがって、とか、思い始めてきたか?集団統率って、難しいね。まああんまり

気にもしていないが。

「6」

 と。端的に、正直に。答えた。

「「「「「「「はあぁあああああああああ???!!!」」」」」」」

 弟子候補達は誰もピンときていない様だ。ぽかんとしている。驚きの声を上げたのは周囲の者達だ。

 冒険者にしろ、ギルド職員にしろ、意味は分かるだろうからな!

 所で、ランク、というか、レベル。ゲームやらゲームっぽい話で。レベルが100や200位ならまだまだ大人しい方で。レベルが何千何万何十万ってどう言う事よって、思っちゃうねえ。

 数字が大きい方がハッタリ効くとか思っているのかねえ?インフレーションって、知ってる?数字は大き過ぎると安っぽくなっちゃうんだぜ?数字の価値が

下がっちゃうんだぜ?

 有名作品だってやらかしちゃってはいるけれども!某三分間だけ戦える巨人だって。怪獣の重さが無茶苦茶だったり吐く炎の温度が無茶苦茶だったり。

 Zな宇宙恐竜の吐く炎の玉?一兆いっちょう度だ!とか解説しているのだけれども。

 一兆度って、もう炎とは言わないし、ビッグバンの時位にしかあり得ないし、と、物理的に真面目に検証してみたヒトとやらが言っていた。

 其れにレベル1から始まるゲームやら話だったりした場合。レベル1って、微生物的存在か何かなの?

 対して此処の世界のランクだが。6が最高だ。まあ、小さい数字だよねえ。

 けど、此処は文明度が低いんだよ!レベルん十万だぜ凄ええだろ!とか

言っても、通じないんだよ!あんまり数字が大きくても意味無いし!

 文明度低い所のヒトにも通じる、ランクの一つ一つに意味が有る、それでいて

最高ランクの6は片手の指より多い数、飛び抜けているんだぞ、と。凄いんだぞ、と、暗示して。其んな風に考えて詰め込んで、其れで出来上がっているのだろう。

 現代日本の誰だかさんの記憶を持っていたという、トナー・リーの苦労の結晶

なのだな!

 しかし、トナー・リーが現代日本の誰だかさんの記憶を持っていた、で、過去のヒトだ。で、オロチは今現在生きているヒトだがどう見ても昔のヒトだ。時系列が無茶苦茶だな?まあ気にしていても仕方ない事だが。

 さて、今は弟子候補達の冒険者証だ!冒険者証。ランクが低い程身分証明と

しては価値が下がるのだけれども。村の中でははっきり言って無意味だけれども!しかし狙いは有る!

 ニンゲン、態々(わざわざ)作って出来上がった物には愛着が湧くものだ。其して、余りにも目に余る逸脱行為が有れば冒険者証は剥奪だ。みずからのおこないには気を付ける様に

成るだろう。トナーも狙って創り出したのか?

 自分の場合、余りにも聞き分け無いヤツとはこぶしで語る準備も有るがな!無論

一方的に!

 だから自分を怒らせない方が、良いよ?

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