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第81話 立つ鳥跡を濁さず

 むむっ時刻的には日曜日過ぎましたが!

 此れが日曜投稿分です!

 お待たせ致しました。

 どうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さい!

 騎士の訓練場で。何日か掛けて最後の挨拶をした。一日では全員と顔を合わせ

られないので。

 そしてとうとう最終日。何時いつものごとく勝負…に見せ掛けたモノで騎士達を

しばいて上げた後、挨拶を始める。

「皆さん、此れまでお疲れさまでした!とは言え、毎日の訓練は欠かさず続ける

べきものです。此れからも怠らないで下さいね?」

 んー?一寸涙ぐんでいる奴、居るか?

「お名残惜しい気持ちも有るかも知れませんが。野郎共が泣いても見苦しいだけ

なので、慎んで下さいね?」

「「「「「にこやかな顔して言う事(ひで)えええええ!!」」」」」

「ははは。らしい、かな」

 殆どの者達は即座に突っ込んで来たが。一人、笑って流しているのは

ヘイキンさんだ。

「武器の練習は勿論ですが、スクワットも併せて毎日続けて下さいね!」

 運動の基本と言えば短距離にしろ中距離にしろ、兎に角走り込みだ!と、現代

日本での感覚ならば誰でも言うだろうが。

 此の世界で問題と成るのが、靴の質が悪い、という事。此処の靴で走り込み等

したら、次の日全員が動けなくなる。確実に!

 一般でもスニーカーが手に入り、アスリートともなれば競技種目に因って専門の靴が作られる世界と同じ事は出来んのだよ!

 そして、一歩も移動せずに足腰を鍛えられる運動としてスクワットに白羽の矢が立ったのだ!

 スクワットは上半身を真っ直ぐ立てたまま膝を曲げて腰を落とす、詰まり足の

位置よりも後ろにお尻を下ろすのが正式だからな?だらけて勝手に簡略化するなよ?

 此の世界にはスクワットは無かった。自分が輸入の第一人者の様だ。

「思えば始まりは二年と少々前。其れから今までずっと練習台に成ってくれた

皆さんには感謝の念しか有りません」

「「「「「一寸待てええい!!今何て言ったああああ!!!」」」」」

「……あはははは」

「練習台です!」

「「「「「聞こえなかった訳じゃねえええええええ!!」」」」」

「…………ははは……」

 皆さんノリが良いなあ!

「感謝の印として一つ忠告、否、命じます」

「「「「「感謝しといて命令かよっ!!」」」」」

「あっはっはっはっは!!!」

「災害級以上の怪物が出現したら、自分を呼ぶ事!」

「「「「「は??」」」」」

「怪物の強さの目安ですね。災害というものは、ヒトの手ではどうにもなりま

せん。精々避難して、行き過ぎるのを待つ、其れ位ですよね?

 生き物だけれどそんな感じの強さ、其れが災害級です。

 しかし、災害というものはどんなに大規模であったとしても、国がほろぶ事はまず無いだろう、と考えます。災害は生き物ではない故、一つの国を狙って集中攻撃

する訳ではないからです」

 平成辺りの天変地異っぷりを考えると、小さい国の一つや二つは簡単に

滅びないか?と、思わなくもないが。

「よって、其れより上の強さと成ると、国を狙って攻めるもの、戦争に例えられ

ます。

 場当たり的な、戦場の軍隊の強さを戦術級、と言います。戦場の軍隊は、

目の辺りにすれば恐ろしいですが、一つの国全体への影響は弱いと考えます。国を滅ぼすには力不足かなあ?というのが戦術級ですね。

 風の(エア)ドラゴン、とか」

 ざわっっ

 風の(エア)ドラゴンを目の辺りにした者は此の中にも居る。全員ではないが。其の者達が

ざわめいた。

 あれを見た者達は、討伐隊が戦っていたら全員死亡していた、と、分かる

だろう。其れが力不足だ等と言うか!と、驚くだろう。

「放置しておけば国が滅びる、其れ位の強さならば戦争全体の強さに例えて

戦略級、と言います。

 国全体が戦う様な強さ、という事ですね」

 此れがラノベを読み漁った結果想定された強さの目安だ。はっきり解説してある様な文章はついぞ目にはしなかったが。あれかねえ?知った風に語ったら野次が

飛んで来そうで曖昧にしていたのかねえ?

 と、言う訳で、異論は認めませぇぇん!自分はそうだと思ったんでぇぇす!!

「皆さん頑張って訓練していたのは認めます。が、魔法には対処出来ていない

でしょう?

 はい、誰か靴底魔法が出来て居るヒト!」

 魔法を見る眼、魔眼まがんを使えば誰も出来ていないのは丸わかりだが。ライナとメイは出来ているのになあ?付きっきりで教えたからか?自分に付いて来たかったから必死だったのか?

「其れがどうしたのか、等と思っていますか?

 少なくとも、自分は其れをずっと使って居ます。其れこそ、呼吸と同様位に

無意識に近く。其れが自分の魔法の基盤になっていると思うのです」

 此の、呼吸同様に、というのがとても大きいと思う。

 例えば肺呼吸なのに水中で生きる動物は器用だなあ、と言うか信じられない様な事を平然とする。

 鼻の穴の開閉は当然として、睡眠は脳味噌半分ずつが交互にとるとか。出産

すら、陸上の生物では逆子さかごと言われる、下から産まれて頭が後、というのを

通常状態にするし。イルカの事だよ?

 呼吸が出来なければ苦しんで死ぬし、文字通り必死で身に付ける技能だろう。

ドラゴンは、何故か魔法を使う野生生物でしたから?対抗出来る魔法の力は必須ですね。

 魔法を使うには発想力やら想像力やらが大事ですが、其れすら二の次でしたね」

 使っている魔法を看破する眼が、まさか気象予報の天気図を参考にぃ~だなんて発想を、純粋な此の世界のヒトが思いつくのは無理だろうしな!

 そして靴底魔法が、運動に於いての地道で地味な基礎練習に当たるのだ!

「魔法が使えていない皆さんが災害級以上の相手と戦ったら必ず犠牲が出ます!

必ずです!

 だから自分を呼ぶ事!早まらない事!!」

 少なくとも知り合いになった者達が、知らぬ間に死んでいたなんて事になったら寝覚めが悪い!

「そう!未だ未だお別れではない訳です!涙なんか不要ですよ!」

「「「「「此処で其れ出すかよ!!」」」」」

「ふっふっふふふっ!」

「そして!此れ重要です!お母さんの言う事を聞いて良い子にしている事!」

「「「「「は?」」」」」

 其して、自分はお母さんに声を掛ける。

「じゃあねえお母さん♪又ねえぇ~☆」

「武神殿…………」

 騎士団団長さんは不満そうな、しかし諦めた様な顔をしている。

 ふっふっふ☆自分が呼ばれていると認識している時点で既に心が受け入れているのだよ?

 騎士達は、誰も笑い声は上げていないが、かな~り堪えているな?

「…と、言う訳で。騎士の教練を終了して参りました」

 所変わって謁見の間。王に報告しているのだ。

 今日は玉座に腰掛ける王の左後ろにはマルゲリータが立って居て、もっと後ろに宰相さいしょうが居る。マルゲリータはドレス姿だ。ぴっちぴちで動きづらそう。と、

言うか、体の線が丸分かりで、素っ裸よりもエロくね?居るだけで恥ずかしくね?って格好だ。

 あれかねえ?美しい高貴な姿を見よ!ってのかね?やんごとなき御方は動く必要等無い!って所だし。

 アレでマルゲリータは王女なもので、着替えや風呂は本当に、メイドがぅわーっと群がる、其れから全身を他人に、だよねえ、いじくり回される、そんな生活

なので多分、素っ裸だろうがだから何?て平然と言うのだろうなあ。

 しかし西洋風の服、其れもファンタジー風な服って、あんなドレスだとか胸の

谷間を丸見せする服とか、何でそんな恥ずかしいのが有んの?我慢大会なの?

「ふむ、災害級…のう。分かり易い、のかな?宰相」

 王が自分の報告を受けて言葉を発する。しかし、一般の騎士辺りが引退すると

したっていちいち謁見なぞしないだろうに。自分、特別扱いなの?いらん特別

だけれども。面倒臭い。

「左様で御座いますな。寡聞にして存じませぬが」

「村の者を戦いに駆り出して欲しくは御座いませんが。わたくしだけは馳せ参じ

ましょう。

 騎士達とも知らぬ仲では御座いませんし」

 はい、王の御前ごぜんなので、一人称はわたくしですよー。

「あい分かった。事が起こったおりには遣いを出そう。

 して、連れ帰るカタナ鍛冶の弟子候補達だが。女子おなごが割合()るのだが、差し障り無いか?」

「御座いません」

「弟子候補達は皆非戦闘員だが、護衛は要るか?」

「不要に御座います」

「はっはっは。頼もしい限りだな!ならば道中の費用だけ渡せばいのか?」

「有難き幸せに御座います」

 国が出す費用となれば元は国民の血税だろうが。有難く頂戴する。要らない

なんてのは無茶だろう。

「では!二年間の働き、ご苦労であった!」

「他の追随を許さぬ事が為せたと自負して居ります」

 ココ、下手な卑下ひげはいけない所だ!自己アピール、大事!

「そうさな!大分体制も変わった様だしな!」

 幾ら王とて騎士団、ぶっちゃけ軍部を細かくは把握してはいないだろう。以前の酷い体制だって、ふ~んあっそ、って感じだっただろうしな!

「色々な新しい武器も広めた様ではないか?」

「新しい、というよりは以前が酷過ぎたものと思って居ります」

 直ぐ折れるスピアとかな!

「くっくっく!流石は武神よの!して、以降も其の才を此処で発揮する積もりは、無いのか?」

「わたくしの望みは、務め終えて故郷に帰る事に御座います」

「揺るがぬのう。ならば第三王女を連れ帰る積もりは無いか?」

「おたわむれが過ぎるかと存じます」

「いやな?第三王女が訴え続けていてな。予も少々参って居るのだが!」

「畏れながら申し上げますが。外は決して安全には御座いません。殿下は迚も

お困りに成ると存じます」

「第三王女、声を掛けるがい」

 マルゲリータは、声を掛ける処か寄って来た。やっぱり歩きづらそう。

 で、声を掛けるというより抱きついて来た。おおやけの場で、不味くね?

「こんなに別れが辛いのは……共に在った日々が迚も満ち足りていたからなのでしょう……」

 マルゲリータは半泣きだが…泣く程の間柄だっけ?

「本当に、連れて行っては……貰えませんか?」

「寒う御座いますよ?我が村は山村ですゆえ。寒さというものは、想像では

追いつかぬ程身に応えます」

 況してや此れから冬だしなあ!山は夏でも寒いってのに!

「うう……ぅううぅっぅうぅぅぅぅ………」

「懐かれたものだな!やはり、連れて行ってはもらえぬか?」

「お戯れが過ぎます」

「本に取り付く島もないな!お主!!」

 マルゲリータの為を思って言ってんだぞう?!

 後腐れ無く、後々(のちのち)の事を整えて帰るんだから!

 此れが、立つ鳥跡を濁さず、と言うものだ!

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