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第73話 庶民兵さん又来たの?

 はい、今晩こんばんは!

 前回の話の事ですが。

 いつもちいちゃんを

武神サマと呼んでいるガンバルさん。

 一カ所だけ名前呼びしている所が!!

 白状します!うっかりです!!

 うんまあ、意味は通るのですけどね?

 騎士達を教練する事を始めてから一年が経とうとしていた。

 ドラゴン以来、強敵が現れる事は無く、使う武器を変更しては騎士達をしばいてあげる日々が続いた。

 全勝で通す決意でいるので、強敵が現れる場合と緊張感は変わらない、いな、期間が長過ぎるのでこっちの方が辛くね?と、思わなくもないが。

 いずれにしろ、修業は毎日欠かさず続けるのが重要なので、次いでに?騎士達を鍛えて上げても良いよ?と言う事にして、手を変え品を変え、まさしくだな!色々

見せて上げてやっと一年、って所まで来た。

 思えば遠くに来たもんだ!ってか。

 しっかし、そう滅多に現れるモンでもないのに、何で教練一週間程でドラゴンが出現したかね!!

 まあ、実戦というものは此方こちらの状況にはお構いなく発生する、とは常々言ってはいるのだが。

 ゲームの様に此方のレベルに合わせて発生するわきゃああ無いのですよ!現実は!

 まあ、今だって騎士達の中に魔法が堪能なのが居る訳ではないし、騎士団が

ドラゴンと戦えばやっぱり勝てないで全滅って結果になるだろうねえ。

 おお!そうだ!今回は騎士達を魔法の練習台…おっと!魔法に対抗する練習を

させて上げよう!そうしよう!!

 今日、今年徴兵された庶民さん達が来ると言うし、見せてあげるのには丁度

良い!!

 うんうん!しかしたら庶民さん達から魔法使いが誕生するかもね☆

 ……まあほぼ有り得ないだろうけど。

 と言う訳で、素人感丸出しでぞろぞろやって来る集団を迎える。

 其処へ掛ける第一声は。

「………何で居るの?」

「「「酷くない??!!!」」」

 だって其の集団の中には。

 レイジ、ショーン、ミーンが居たんだもの。

「いやいや、存在を否定している訳じゃなくてね?」

「ソンザイヲヒテー?」

 レイジには言葉が通じていない様だ。

「存在を否定ってのは、悪口でも最上級だね」

「おれにそんな事言ったの?!!」

「言ってねえってんだよ!」

「あ………はい」

 どっっ

 見ていた庶民さん達が沸いた。其りゃあね、若者が幼女に言われっ放しでね?

随分滑稽(こっけい)だろうね?

「だから、こんな誰も続けたがらない仕事に、よく今年も来たよねえってね?

言ってんの!」

「そ……そんな事言ったって……」

 レイジはしどろもどろだ。お話にならないな。

「団長さん?」

 騎士団団長お母さんに訊こう!

「はい。そもそも、我が国の徴兵制と言うものはですな、納税の一種な訳です」

 はあ、詰まり。

「納めるモノを持っていなければ体で払え、と」

「ま、そういう訳です」

 そして、此の国では兵役に就く必要性は無く、一生関わらない事も可能。

 余所の国では年齢で強制的に一定期間徴兵される所も有る、と。

「それ故、庶民兵は給料を天引きされる訳ですが、それでも庶民としては少々

他には無い、という位には手取りが有りますな」

「ははあ」

 もう読めた。が、此方は聞きに徹するのが聞き上手と言うものだ。

「しかし、次の年、岐路に立たされる訳ですな。

 税を納めて兵役から解放されるか、もう一年続けるか」

「いや、一択だよね?」

流石さすがです!武神殿。

 少々庶民には無い給料とは言え、次の税を納めてしまえば手元にはさほど残りません。

 しかし元々納めるモノを持たない者が兵役に就く訳ですし、一年身柄が拘束

されているのですから、兵役から解放されても路頭に迷ってしまいます。

 よって、兵役は二年続けるのが通例ですな!二年目ならば次の税を納めても一年分以上の給料が残るのですし」

「強制的に二年って決まっている様なものだよね」

「左様、で御座いますな」

 団長さんに言っても仕方ないが。

 団長さんだって渋い顔をしている。良くは思っていないのだ。

「まあ、決まってしまっている世の中の仕組ならば個人にはどうしようも有りま

せんねえ。

 個人に出来る事、其れは生きて兵役を突破してやる!って所な訳です!」

 庶民さん達に向き直って言う!

「今日から一ヶ月間!其れも決まってしまっている事なのですが!!

 其の後も生き続ける為に!!本気で訓練に励んで下さい!!」

 自分は激励した訳だが。

 初対面のヒトビトの反応は。

 幼い子が何か言っちゃっているぞ?!矢鱈やたらハキハキした幼児だな!其の位

だった。

 やっぱり幼女がただ何か言ってもだいの男どもには通らない!

 さて、今持っている武器だが。

 両手で頭上に掲げ、回転させ始める。高速で。どんどん回す。ヘリコプターの

プロペラの様に!!

 ぶぶぶぶぶぶぶぶっ

 風切る音が鳴る!うむっ!それなりの速度な証拠だ!

 どんっっ

 そして地面を突く!!まあ武器自体は軽いので、勢い付けても音はそこそこだが!

 庶民さん達を黙らせる効果は有った。皆、驚きに目を見開いている!

「えーと………

 ちいが今持っているソレ、何?」

 レイジがポツリと訊く。

「此れはな!じょうだ!」

「じょー?何と言うか………棒だね?」

 そう、今回持っている武器は見た目…も何も、実際只の棒だ!

 長さは、短いという訳ではないがそこそこ。太さも持つのに丁度良くそこそこ。端から端まで凹凸おうとつも無い均一の幅。先端は丸まっている。本当に特徴の無い只の棒だ!!しかし!

「広い世の中、棒術ぼうじゅつ棍術こんじゅつという、別の技術も有る!

 自分の技術は杖術じょうじゅつ!!区別して杖って言う様に!!」

「えー??全部聞いた事無いけど?何処か違うの?」

「そうさねえ、棒術はもっと長い棒、棍術は別の国って所?」

「そ、そうなんだ?」

「うん」

 納得してもらえたって事で!

「ではお初にお目にかかる方もいらっしゃるので自己紹介します!!

 しんドラゴンスレイヤーただ乃山椒のちい!」

「何か長くなってるううう?!」

 レイジが突っ込む。ヒトが名乗っている最中に失礼な!

「ちい、が個人名!只乃が家名!武神は武術の神様!!ドラゴンスレイヤーは

ドラゴンを斃した事が有るって意味!!」

「あ………」

 レイジは黙り込んだ。ドラゴン討伐に付いて来たものな?

「5歳!!女の子だぞー!!」

「「それ言わなきゃいけないの??」」

 ショーンとミーンが突っ込んで来た。

 5歳ってのは数え年だぞ?念の為!まあそろそろ満年齢も4歳になりそうって所だが!

「だって、年と性別は一寸ちょっと分からないだろうし」

「「まあね?そうなんだけどね??」」

 それよか、君らなんでそんなに揃えて言ってんの?余所の他人だろ?

 知り合いではない連中は話に付いて来ていないので。

「自分の役割は皆さんに戦闘の技術を見せる事です!!

 此の後、別の用事も有りますのでえ!

 自分はひたすら試合形式で技術を見せるからあ!帰った後は体力作りと個人練習を頑張って下さい!サボるなよお?!」

 ざわざわ

 やっぱり付いて来ていない。

「武神様が帰った後は任せて下さい!!」

 意気込んで出て来たのは、ヤラレャークさんだ。

「おれは、一年弱ですが武神様からスピアの技を学んだヤラレャーク・ヒトマズ

です!

 18歳!!男だぞー☆」

「何故それ言ったあああああ!!!」

 思わず突っ込んだよ!!そりゃあそうさ!!

「武神様だって言ってたじゃ……」

「野郎だなんぞ見りゃあ分かるわ!!野郎の年なぞ聞きたくもないし!!

 見ろ!!皆さん、どう反応すりゃあ良いか、困ってらっしゃるだろおおお!!」

 お馬鹿は困るなあ!

「此んなコレですが、皆さんでしぼりに搾り切って上げて下さいねえ」

「あれ?!おれが搾られるの??」

「何が何でも生き延びる、という精神は、貪欲に、誰からでも盗むって事ですからねえ」

「犯罪させる気なの?!!」

「他人の技術を見て覚えるのを盗むって言うんだよ!」

「紛らわしくない?!」

五月蝿うるさい!!

 此処で注意!誰からでもって事は、味方でも敵でも、無関係なヒトからさえも

盗むって事です!!

 其れが貪欲って事で、其れが出来るヒトが強いヒトなのです!!」

 これぞ生き残り(サバイバル)精神!これぞ弱肉強食というモノだ!

 …焼肉定食とか、言うなよ?

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