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第70話 (注目!!)正しい呼吸始めました

 はい!始まりました!!正しい呼吸です!(実況風)

 今回はですね、順番をすっ飛ばしてでも

先ず見て頂きたいですね。(解説風)

 ええ?では何で70話にもなってから話すんです?(実況風)

 それはですね……アレです!先ずは正しい呼吸を覚える!

 其れから順番に見て、70話に達した時に

正しい呼吸が出来ているか己を省みる!これです!(解説風)

 成る程ぉ!深いですね!!

 それでは皆さん!正しい呼吸を心掛けましょう!(実況風)

 心掛けて参りましょう!(解説風)

「はあっはあっはあっ……!!」

「………」

 騎士との勝負…に見せ掛けた、騎士達を練習台にしてあげる、

自分の実験大会~!ぱちぱちぱち!

 …は、良いとして、だ。自分、練習台になってくれている騎士達には、ちゃんと対価というか、報酬というかを上げる気はありますよ?

 此れこそビジネスライク、契約に基づいた嘘の無い信用関係!…まあ、無断で此方こちらが一方的にやっているから、一寸ちょっと違うかな~?あはは!

 うん、兎も角、だ。今の相手の騎士さんの呼吸に迚も気になる所が有るので、

けりを付けたら大々的に説明をしよう。先ずは勝負だな。

 さて、自分が今手にする武器は双剣だ。詰まり、片手剣を左右の手に一振り

ずつ、一人で二振り使っている。双剣の戦い方は今もって模索の最中だ。

 片手剣は両手武器と比べると短い。片手で持つ想定だから当たり前だが。

 短いという事は、武器をぶつけ合えば本当に手の先一寸の所でがっきんがっきんぶつかっている。重圧と衝撃が半端ない。

 自分は小さく、軽く、非力だ。これはもうくつがえし様の無い前提条件だ。こうなると、自分はどうしても相手の攻撃を完全に流さないと戦いが成立しない。流す、

詰まり相手の攻撃力を全く受け止めない、という事だ。

 攻撃力を受け止めない、というのは相手の攻撃に触れないという事ではない(・・・・)ので注意だ。

 中国拳法には聴勁ちょうけいという技が有る。ちょっぴり相手に触れる事で相手の動きを

察知するのだ。此れを活用すると、相手の攻撃の威力は受け止めないがずっと

触れっぱなし、という事になる。

 活用するとは言っても、此方の剣を相手の剣にくっつけっ放しにはしていられ

ないが。見た目には剣をぶつけ合っている様でも兎に角威力は絶対受けない様に

気を付ける、という事。ぶつけ合う音をさせないというのはその為だ。

 攻撃の威力を完全に受け止めない、という事が実現出来ていれば、相手は空振りしているのも同然、でなければなるまい。打撃系格闘技では、空振りすると威力が全部攻撃した者に返る、等と言うか。一寸言い過ぎじゃない?って思うけど。

だって空振りした途端うわあとか言って勝手に倒れる奴とか居ないし。

 それでも、相手に攻撃はさせておいて威力を受け止めないでいれば相手は

それなりに消耗する理屈ではある。うん、今の相手は程よく消耗しているな。

 今の勝負…に見せ掛けた練習での自分の行動は、双剣に慣れる為も有ってずっと相手に攻撃させて自分は相手の攻撃を流すだけなのだ。相手は疲れちゃっている。ご苦労さん!

 そろそろ終わらせてあげる事こそ優しさというものだが、それには此方から攻撃をしなければならない。攻撃の手順を構築しよう。

 先ず、誰がどう動こうとも、全身の移動よりは四肢の振りの方が速い。当たり前だね☆

 此処で問題だが。片手剣は短い。相手に攻撃を当てようと思うと、どうしても

たい移動いどうを織り交ぜなければいけない。うん、長い武器程強いというのも頷けるね。

 況してや此方は体が小さい。其の分武器ももっと短い。体が大きくて重い者程

物理的に圧倒的に有利、というのももっともだね☆コンチクショウ!!

 なので、此方が突っ込んで行けば、絶対に相手の迎撃が有る、とするべきだ。

迎撃をどう捌くか。

 自分の武器をアイススケートの様にして、相手の武器の上を滑らせる。抜刀術の鞘走さやばしりを応用して、相手の武器の上を滑る力を自身の推進力に変換し一気に相手の懐か背後を取り、一撃くれてやる。というのはどうだ!

 アイススケートの靴の滑る部分はブレードと言う。アイスホッケーの選手がぶつかり合った際、ブレードが相手の喉に当たってしまい、それはもう刃物で喉を掻っ切られた様に血が噴き出したなんて映像を見た事が有るが、あのヒト一命は取り留めたんだろうな?兎も角!片手剣のやいばをスケート靴の様に使ってやんよ!

 ギンッと目に力を込める!

 ピクッと相手が反応する!行くぞ!と合図してやったのだ。

 で、此方が踏み出せば相手は想定通りの迎撃をしてくれる!!

防衛ディフェンス剣閃ライン!!」

 しゅっ!!と。

 両手の剣を滑らせて相手の攻撃力を完璧に流した上、フィギュアのジャンプの様な感覚で此方の剣の刃を擦り付けつつ重みを押し付けて自身の瞬発力に上乗せし、半身をひるがえすのもあわせて移動、詰まり相手の剣に触れた時点では左側が前だった

のを、右半身を押し出す様に進行方向に出し、背中合わせの状態で相手の背後を

取る!!

 かああんかららん

 背後を取った時点では左剣が相手の剣の側に在るので視線のみ左手側にって

相手の剣を打ち落とす!

「ちいの勝ちっ!!」

 騎士団の団長さんが宣言し、決着する。

 誰かに話して聞かせたとして、どれ位意味が通じるか、どれ位賛同して貰える

のかは分からないが。

 武器を振るうと言う事は。特に短い武器を扱うと言う事は。

 使い手は線路と動力源の役割をにない。武器をはしらせるかの様な感覚になる。

 いや、自分、電車の運転手さんなんか、ゲームすらやった事無いんだけどね?

うん、電車の運転手さんやるゲーム、有ったよね!どうでも良いけれど!!

 武器()思うさま振るう、武器が動きたい様に振る、という表現を目にした事が

有る。うん、文字表記を見た、という事ね。

 其れと共通する認識なのかなあと思わなくもない。

 其れは其れとして。騎士のみんなに聞かせる話だ。

「さてさて皆さん!呼吸、してますか?!」

 騎士の皆さんは妙な顔をする。当たり前過ぎる事を態々(わざわざ)言うのは、何変な事

言っているんだ?という感想を抱かせるものだ。

「呼吸している、という事は。目には見えないけれども、周りに有る何かを吸って吐いている、という事だとは分かって頂けると思います。其れを空気と言いますが。

 此処で問題が有ります。普段は気付かない程見づらい物ですが。時折目に付く事も有る物が。ほこりですね。

 はっきり言って、埃とは空気中のゴミです。吸っては良くないモノです。が、

無くす事は出来ない。

 なので、生き物の体には空気中のゴミを出来る限り除去する部分が有ります。

それでも完全には取れないのですけれどもね。で、空気中のゴミを除去する部分というのは、鼻です。

 詰まり、鼻こそが息を吸う為の部分なのです!息を吸うのは鼻でないといけません(・・・・・・・・・・)

 しかしぃー、口で息を吸う方が楽だ、と思うヒトが居るのも事実ですね。

 宜しいですか?吸った空気を溜める部分は肺、と言いまして、此の中に有るのですが」

 言って、両手で両胸を押さえる。だって、肺は二つ有るもの!

「肺の中身はブドウの房の様に物凄く枝分かれして、先端には空気を溜める袋が

付いているのですが。袋にまで入ってしまったゴミは一生取れません(・・・・・)!!

 肺にゴミが溜まり過ぎて一生呼吸が苦しくなる病気が有ります!塵肺じんぱい、と

言いますが。一生治りません!!」

 今勝負した騎士がギョッとする。そう!口で呼吸していたのだ!

 まあ、あからさまな塵肺というのは、いつも空気が粉っぽいという程に

ゴミまみれの空気な現場で働いたヒトがなった公害病ではあるが。脅す位で丁度

良いと思う。

 お年寄りで妙にいつも呼吸が苦しそうなヒトが居るが、軽度ながら塵肺では

ないか、と思う。

「お分かり頂けますね?呼吸が苦しいというのは、まさしく死ぬ程の苦しみ

なのです!

 口で息吸っているなんて言うヒトは、何としても直さなければいけない

のです!!」

 口で息を吸ってた騎士がガクガク震えだしたが。

「皆さん、今は特に苦しいなんて言うヒトは居ませんね?ならば今からでも直せば大丈夫です!!

 直す方法は…説明は単純ですが、実行は精神力が要りますね。

 常に(・・)鼻で息を吸うと意識し続けるだけです。寝ている間も出来ていれば完了、

ですね」

 此の、寝ている間も実行出来ている、というのが、何かと技能の修得に関わる

基準だと思う。

 何時ぞや、ドッカーの町出身の庶民兵さん達にも言った事だ。ムリムリ、と返事が来たが。

「具合が悪くて鼻が詰まっている、なんて時も有るでしょう。それでも(・・・・)鼻で息を

吸わなければいけません!

 鼻で息を吸うのに慣れていなければ、鼻の中が乾いて鼻血が出るなんて事も

有り、ずっとヒリヒリ痛みます。それでも鼻で息を吸う、と意識し続けなければ

ならないのです!

 いつも息苦しいなんて老後を迎えない為にも!!」

 口で息していた騎士さんがこくこく頷いている。頷きまくっている。ぶふっ!!

「鼻の中が乾いてヒリヒリと痛むなんていうのは、体の部分を本来の使い方をして居なかったって事なのですね。

 覚えておいででしょうか?体は使わない所はどんどん衰えるのですよ?」

「ああ、訓練は毎日欠かさず続けるべき、という話の事ですな!」

 団長さんが合の手を入れる。団長さんはいつも訓練場に来るが、他の騎士達は

未だ何日か置きだからな。

「野生の生き物は皆自然と鼻で呼吸します。本能で、決まった行動を教わらずともするのです。

 が、ヒトは本能がとても弱いので、意識で決めなければいけない行動が沢山有るのです。

 皆さん!意識で見極めて正しい行動をしましょう!

 どうしても分からない時は動物を観察するとか」

 ハハハ……

 少々笑いが有った。別にネタで言った訳でもないが。

「上級編として、自分の体に訊く、なんてのもありますね。

 ヒトだって動く生き物、動物な訳です。まあ、自分の感覚って、意外と分かり

難いモノなのですが。

 何かの修行をするヒトなんかが山とか森とか、周りにヒトが居ない所で暮らして自分を見詰めるなんてやりますか。

 自分に言わせれば、そんな遠くになんか行かなくても自分を見詰める位出来ると思いますけれど。

 さて、此処まで聞いて、賢明な方はお気付きでしょうか?

 息を吸うのは鼻でなければいけませんが、吐くのは鼻とは言っていませんね?

 はて、吐くのは鼻が良いでしょうか?口が良いでしょうか?」

 口で息していた騎士さんに話を振るが。

「断然鼻が良いだろう!!」

 恐かった、のではあろうが。意見が偏り過ぎじゃないかな?

「平穏な時であれば、どちらでも構わない、というか、練習の為なら鼻だけで呼吸した方が良いですかね?

 けれども緊急時は口で吐くべき、ですかね。

 と、言うのも、息を吐ききると、体に力が入らなく成ります。

 息を止めて動き出したり、呼気を強く吐いて瞬発力を出したり、という調節は口でないと出来ないですね」

 少なくともヒトには鼻の穴を開いたり閉じたりといった調節が出来ないから

だろう。水泳の息継ぎだけは言葉ではっきりと口でしろ、と言っている。

 肺呼吸だけど水中で生きる動物は鼻の穴を開閉出来るんだけれどもな!

 まあ、此処の騎士さん達には関係ないか!

「第一、喋る、という行為は、口から息を吐かないと、出来ませんね?」

 お後が宜しい様で!

 如何でしたでしょう。正しい呼吸!

 何しろひねくれ者な自分が、最初は反発しつつも

長年気にし続け、結論として正しい!と

判断した話です!

 お見受けした所、現代日本では殆どが、と

言ってもいいのでは?という程

口呼吸していらっしゃいますね?

 良くないですよ~?

 鼻で吸って口で吐く、

簡単な様ですが大事!

 大事ですよ~!!

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