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第67話 馬式始めました

 明けましてお目出とう御座います

 謹んで新年のお慶びを申し上げます

 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます

 本年もどうぞ宜しくお願い致します

 …をを!年賀状みたいな挨拶だ!

 宜しくお願いしますねー!

「私ってさ、王位継承には関係無いじゃない?」

 第三王女マルゲリータが言った。

「其れを本人が言ってしまうのはどうかと」

 自分は返事をする。少々言葉遣いがぞんざいだが、マルゲリータが

タメ口で良いって言ったもん!

 それよりか、しょぱなから抱きしめられっぱなしなので、さっさと放せ!とずっと思っているのだが。

「だって、兄上が三人、姉上が二人居るんだよ?

 私、帝王学とか国際情勢とか、勉強する理由無くない?」

「あー…お勉強が面倒臭い、と。

 しかし、王位ではなくとも補佐する役職に就かれる事になるのではアリマセンカネ?」

「わあお☆ちいって賢いの?

 けどねー!私は自由が欲しいのさ☆私と立場を交換しない?」

「御冗談を」

「ちいちゃんって、ほんっとに、淡々としてまちゅねー?幾ちゅ?」

「数えで四つに成ります」

「数えでって?」

「世の中には違う年齢の数え方も有るという事です」

「世の中にはって……ちいって本当に四つなの?大人だって言わない様な事言ってるよね?」

「ちい様は現人神あらひとがみに在らせられるのです!」

「メイ!黙ってろって言ったろう!!」

「うわー……堂々としたご主人様過ぎだよー……」

「ちい様なので当然なので御座います!!」

 おーい、本当に首を刎ねられるぞ?こんな文明度の低い所なんだから。

 身分の低い者が王族に口出ししたら、それだけでも不届き者がああ!!と成る。

 基本的人権?幻想ですな!

「んっふっふ~♪私、此の子気に入っちゃった♡

 ずぅ~っと抱きしめたままで過ごして良いかな♡」

「お断り致します」

「此の冷たい感じがイイ!良いよ~♪」

 王女さんはマゾなんですか?

「実際問題さ、私は重要視されていないんだよ!

 こんな可愛い子を護衛に寄越すなんて…」

「可愛い言うな!!」

「わあお☆ドラゴンスレイヤーを護衛に寄越すなんて、だよ」

「見方を変えれば、ドラゴンスレイヤーとはドラゴンよりも恐ろしい存在、ですね」

「ホント此の子なあに~?頭までキレッキレじゃない!

 うん、其れで、ちいがもし出世したいと言うのなら、私の護衛で信用を築いて段々姉上の護衛、兄上の護衛と上げていく目論見だったのだろうけれども」

ぴらめんですね。帰れなくなります。確実に。

 第三王女殿下に御満足頂き、兵役が明けたらもう帰って良いよと言って頂くのが我が望みですね」

「あははは……じゃあちいは、私をどう満足させてくれるのかな?」

「そうですね。護衛が要らない位強くなろう!と言うのは如何いかがで御座いましょう」

「え?」

「勿論、殿下から護衛が外される訳は無いので、物の例えでは御座いますが」

「え?私が強く?なれるの?」

「其れはどんなに教えても、結局は殿下次第になりますが」

「えー?強くなれなきゃあ私が悪い!って済ませるって事?」

「違います。単調な練習を殿下が毎日欠かさず続けられるか、という事です」

「毎日欠かさず……」

「そう!練習量が例え少なくても、毎日欠かさず続けた練習は力に成ります。

 継続は力なり、です」

「ホントかなぁ~?」

「実例は自分!です」

「は?」

「ちい様は毎日少しだけ素振りをたしなんでおいでです!

 それだけで何でも出来るとおっしゃって居られるのです!」

 又メイが口出した。おーい、いい加減かばいきれなくなるぞ?

「何でもは言い過ぎだよ。でも応用はしろ、とは言っているけれども」

「え?」

「自分は体が幼いので、無理な運動をすると体が壊れてしまうんです。

 だから少しだけ、ですけど毎日欠かさず練習して、ドラゴンスレイヤー

しちゃった所まで行ったのですよ。

 自分の実績、信用出来ませんか?」

「ドラゴンスレイヤーしちゃったって……

 ……ぷっ…くっくっく……あっはっはっはっは!何其れ!ホントに!!

 じゃあお願いしまーす☆私に教えて下さい♪努力はします♡」

「では先ず、降ろして頂けます?」

 ずっと抱えられっぱなしだったのだ。

「えー?このままでも教えるのは出来るじゃない」

「実演するから放せってんだよ!」

「ふふふ♡此の突き放した感じが猫ちゃんみたい♡」

「ほー、ネコをペットにしているヒトが居るのですか」

「居るよー♪」

 昔のエジプトだったか、王侯貴族がネコ科の生き物をペットにしていただとか。

「では先ず状況の解説から。

 王女殿下は外に出るだけでも面倒な手続きが有る。そうですね?」

「うん♪」

「間違っても王女殿下に戦えなんて言うヤツは居ない。殿下が武器を手にしようとしたら絶対周りから止められる。と、なると徒手空拳しか選択の余地は有り

ません」

「としゅくーけん?」

「武器を持たない戦闘ですね。自分の身一つで使える技術ならば、練習する場所も選びませんし。

 昔、或る所に居た拳法という技術の達人の話ですが。

 牢に入れられた上、手枷足枷を着けられた状態で単調な動作の練習を続け、素手でヒトを殺せる程に鍛え上げたと言います」

「ころっ……うん、分かったけど、其れ、何処の話?聞いた事無いよ?」

 さりない様だが。

 殺せるという言葉に驚きはしたが、即取り繕った。一般人よりは世の中の

ドロドロを知っていると言う事だ。レイジ辺りは狼狽うろたえまくったからな。

 そして、拳法という言葉を知らない様子。純粋な此の世界のヒトの様だ。あっちの世界で拳法知らないなんてヤツ、居ないよな?な?

「何処でしょうねえ?さあ、練習を始めましょうか。

 馬式ましきしくは馬歩まほという練習です」

 言って、其の姿勢に成る。知らないヒトに一言で説明するとしたら、肘掛け付き空気椅子、と言う所だろうか。

 腰を落として膝をかなり曲げ、両手を軽く握って前に突き出す、という姿勢だ。

「マホって言う方が言葉の響きが可愛い♡私はマホって言おう!」

「さいですか」

 下らないなあ。

「其れで、其れからどうするの?」

「これだけです」

「……へ?」

「ずっと此の姿勢で居るだけです。そうなると、攻撃の練習は又別になりますが、ね」

「……其れ、何か足しになる練習なの?」

「拳法という技術は、正しい姿勢から一定方向に一定の力を加え続ける、というのを兎角大事にするのです。ので、体に姿勢を覚え込ませる練習と言いましょうか」

「はあ?」

「宜しいですか?よく思い浮かべながら考えて下さい。

 ほとんどのヒトはこぶしで殴ると言えば、拳に成るべく勢いをつけて相手にぶつける、と考えますね?」

 言うなればボクシング的パンチだ。

「と、言うか、其れ以外有るの?」

「ですから、正しい姿勢から一定方向に一定の力を加え続けるのが拳法の殴り方

なのですよ。

 先ずは拳で相手に触れる、で、成るべく長く拳で押し続ける。という感じですね。

 自分は独自に、押拳おうけんと呼んでいますけれど」

 ちなみに、ボクシング的パンチは叩拳たっけんと呼んでいるが。

「んー、当たっても痛くなさそう?」

「さっき言いましたね?素手でヒトを殺せる技術ですよ?

 まあ、ヒトを殺したい訳ではないのなら、威力を調節して貰わなければ

いけませんがね。

 さっきの達人の話では七孔噴血しちこうふんけつなんて言ってましたね」

「何其れ?」

「七つのあなから血をいて死ぬって。

 詰まり、両目、両耳、鼻、口、合わせて七つです。

 見た目地味に両掌を相手の腹に押し付けたら顔中から血を噴いて死んじゃった、と」

「そ…………そう……」

「ほら、馬式、やってみて下さい?」

「マホ!」

「…あー、はい。馬歩、やってみて下さい」

 御姫サマは強情な性格の様だ。

 お姫サマはよう見真似みまねで其の姿勢に成る。が。

 三秒位で。

 ぷるぷる、ぶるぶるぶるがくがくがくっぺたん!

 十秒と保たず、尻餅をついた。

「何コレ!!すっごく辛いんですけどっ!!

 ……って、ちい!さっきから平然と此の姿勢のままだよね?!!

 ホントに一体ナニ??!」

「自分が思うに、一見馬歩は姿勢維持の筋肉、通称インナーマッスルを鍛えるかの様に見えるけれども。

 実際はなるべく筋力を使わない立ち方の模索なのではないか、と。

 と、言うのも、筋力で姿勢維持していたら絶対に筋肉が凝るから。

 凝るっていうのは、血流が悪くなって疲労はするけど、鍛えられはしないから

ねえ」

「待って待って待って!!!分からない!何を言っているのか分からない

からあ!!」

 仕様がねえなあ。じゃあワンクッション置いて、周りの王女付きの侍女達に声を掛ける。

「侍女さん達!馬式、覚えるのは簡単でしょう?

 仕事仲間に広めて、皆さんでやってみては如何でしょう!」

 一応聞いてはいるだろう。が、見た目には無反応。メイドだからね!壁際に

控えているからね!

「どうせ皆さん、お偉いさんに何か有ったら肉の壁になれ、とか、言われているのでしょう?」

 ピクリ、と、反応が有った。図星って事だ。

「肉の壁?」

 そんな言葉には縁が無いであろう、マルゲリータが疑問顔だ。

「自身をお偉いさんの盾にするって事です」

「えっ?!」

 マルゲリータは息を呑む。初耳ではあっても、世の中のドロドロは知っているんだよなあ?ん?

「少しでも強くなれば、肉の壁以上の事が出来ると、思いません?

 少しだけじゃあプロの刺客しかくには敵わないでしょうけど、其処は連携で何とか

する、とか」

 侍女達の目の光が変わった。反応有り!

「此処で練習を覚えて、仕事仲間みんなで絆を深めて下さいね。少しは足しになるでしょう」

 後に、此の国の召使い達は他国と比べてとても屈強だ、と有名になったとか

ならないとか。

 ま、悪い事ではないでしょう!

 元日初っ端から、家の前のウンコの始末をしました☆

 ウンが付いて縁起が良いなあコンチクショウ!!

 犬の散歩はマナーを守ってねっ!!

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