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第54話 先の先やってみた

 はい、自分、明日は早起きしなければいけません。

 大急ぎで投稿してしまいましょう!

 さっさと寝ろよ!って?

 はい、騎士の教練に加わる事二日目な訳ですね!

 今日は更に庶民兵の皆さんも加わって居ります!

 庶民兵ってのは徴兵された一般人の方々です。酷え呼び名ですね!

 その庶民兵さんに聞いた所によりますと、教官のヒトには随分イビラれている様でして。

 国軍の力を強化するという約束は果たしつつ、お仕置きもしなきゃあいけませんね☆という所でぇーあります!

 庶民兵達の見ている前で完膚なきまで叩き潰して差し上げれば、そいつはもう

立場が無いってモノでしょう。

 で、初日と同様に、技を見せる為に皆さんに囲まれて、相手の武器を叩き落とせば勝ちという勝負を始めるのです!

 皆に囲まれた所で声を掛けます!

「庶民兵の皆さんにお伝えしましょう!

 庶民兵さんが持たされる武器は槍で御座いますね?

 何故かと言いますと、剣は素人に持たせても使えない、槍は比較的簡単に安価で用意出来る、剣よりは槍を持たせた方が素人()使う際にはマシ、そう言った理由

からです。

 その為か、槍は剣より低級な武器と、広く認識されております」

 それを聞くと、庶民の皆さんは意気消沈する。当たり前だな。悪く言われて良い気分で居られる訳もない。

 対して騎士達からは優越感の雰囲気が漂って来る。団長さんはオロオロし始めたけどな!

「しかし朗報です!実は槍は剣よりも強いのです!!

 これから自分が使って見せますので、使い方を覚えて一生懸命練習すれば、騎士よりも強くなれちゃうぞおお!!」

 うおおおおおお!!

 庶民達は盛り上がった。

 落としてから上げる。それは話を盛り上げる為の技術テクニックだ。

 対して騎士達はたまったものではない。上げてから落とす。それは只悪口を言うよりも強烈な叩き落としだ。騎士達から不満の雰囲気が噴き出す。

「さああ騎士さん達!!自分に文句が有るヒトはどんどん掛かって来ると良いよ!

 何なら何人か一遍に掛かって来るかな?」

「騎士がそんな真似するか!!」

 誰だか騎士が大声を上げる。はい騎士道精神ね!結構結構!

 実は一遍に掛かって来るって簡単ではないし、集団戦では常套手段なんだけどね!!

 だから騎士は頭が固くて融通がかないって言うんだよ!

「ではわたしがお子様の相手をして差し上げましょう」

 騎士が一人、囲いの内に入って来る。何だこの如何にも嫌みったらしい笑みを

浮かべたフリーザ様みたいな口調のヤツは。左腕一本で戦いましょうとか言い出すのか?

「わたしの名はシッカク・キョウカン。お見知り置きを」

 うわー………

「えーと、もしかして庶民兵の教官なんかをやってたり?」

「良くお分かりです!賢いお嬢さんですね?」

 うわわぁぁぁ…

 賢いとか言う問題じゃねえよおお…

「しかし、世の中というものは少々お分かりではないご様子。

 泣かせてしまう事になるでしょうが、教えて差し上げましょう」

「あーありがとう?じゃあ自分はあんたの身の程を教えて上げましょう」

 シッカクのこめかみがピクッとした。ホントにしたー!面白ぉぉい!!

「ではその安っぽい武器を構えなさい!」

 あー木槍の事?

「安っぽいと言うか、作る手間は掛かったけど只だよ?」

「そーゆー事言ってんじゃねえよ!!」

 お!

「変身か?第一段階変身かー?あと二段階変身するのかー?」

「訳分かんねえ事言ってんじゃねええよ!!

 これだからガキはああ!!」

「ならば此方こちらもスーパー化しなきゃな!!」

「訳分かんねえええええ!!!」

 スーパー構え!!ウソ(笑)!!

 真面目に言うならば。せんせんをやってみよう!

 騎士達は自分にとって練習台なのだ。しかも今回の相手は完膚なきまでぶち

のめしても心がちぃーっとも痛まない、サイッコーの練習台だ!ああ、物理的ではなく心理的にだよ?ふっふっふ!

 先の先とはどういうものか。

 相手が反応出来ない攻撃を放てるならば、動かないまとに攻撃を当てるのも同然だよね!って事だ。

 おれはその戦い方をするぜ~とか思った君!それどうやって実現するんだ?

というのが現実にいつも付きまとう課題だよ?

 只の身体能力で実現しようとするヒトはとっても浅はかだ。世の中を分かって

なさ過ぎか舐め過ぎのどちらかだ。

 只身体能力だけを使うならば、どんなに速く動けたとしても相手には知覚されると思っておくべきだろう。

 打撃系格闘技でこんな話を耳にした事は有るだろうか。格闘技を実際やったと

いうヒトばかりでなく只さらりと眺めた位のヒトでもだ。

 同じ威力の攻撃を受けるとしても、全くの不意打ちと、受けると覚悟した場合とでは効き具合が違ってくると。勿論覚悟した方が威力が弱まるという事だ。

 それは、筋肉には体が受ける衝撃を吸収するという役割も有る為に、意識したら当然筋肉が防御態勢になるからであり、最悪動作としての防御が間に合わなかったとしてもそのまま攻撃を受けるよりはマシになるという事だ。

 と、なると、相手に知覚される攻撃では先の先は成立しないという事になる。

 ではどうするか。知覚されない攻撃を実現するには、だが。

 かねてから意識していた事だ。昔ながらの日本の動きは目立たずさりげなく、が

基本である。

 昔の日本の機動術、難波なんばは先ず必須だ。出来る限り重心移動のみを推進力とする機動術な。歩いたり走ったりするだけではない。その場で姿勢を変えたり手足を

振るったりするにも難波は使える、いや使うべきである。だから機動術と初めから言っているのだ。

 目立たずさりげなく、な難波を使うとしても、余りにも遠くから攻撃するとしたら当たり前に相手は気付く。間合も計らないとな。

 戦闘の間合の基本は一刀一足いっとういっそく、ではある。が、先の先をやりたかったら自分に不利になるなあ。相手()攻撃するには一歩踏み込んで来なければならない距離という、迎撃態勢な間合だからな。

 ふむ、自分の体を一杯に使った時の最大の攻撃射程距離と照らし合わせてみよう。うーむ…自分は小さいだけに、最大の攻撃射程でもギリギリ相手の射程距離

からは外れるという所だ。槍を使って、である。

 自分は小さい、何時でも物理的には不利だ、とはもう分かり切っている事だが。先の先は槍を使う時限定だなあ。物理的に不利な者の戦い方はやはりせんが基本だな!

 けどシッカクにはせんせんめてやりたい。出鼻をくじく為だ。

 必ず成功させる!にはもう少し小細工が必要だな。

 槍の持ち方は…長めに持つ。石突き、詰まり後ろの端に近い方を持つのだ。

 長めに持つという事は、梃子の原理により槍が使い難く成るという事だ。が、

今回は先の先を極める為にやる!実戦ではお勧め出来ません!

 其れからシッカクのアホづらを観察する。うむ!試合開始の合図が有ったら気合を入れるというツラをしている。詰まり、今は気が抜けているという事だ。穂先ほさき

詰まり槍の先端をギリギリまで近づけてやる!ヤツは間抜け面なまま、こちらは

立ち位置が此処のまま当てられる距離に!これも実戦では言ってられないな!それでも言うまでも無く、距離が近い方が相手に反応させずに攻撃出来るからやるのだ!

 もう一つ試したい事は、だ。斜め下45度は死角になる、という事だ。と言うのも、視神経が眼球と繋がっている部分には映像が映らず、目の前であっても見え

ないと言うのだ。だから下から斜め上に攻撃する、左切り上げを準備する!

 攻撃を実際するのは一瞬でも、どれだけ事前準備をしたかが成功するか否かの鍵だと言えよう。

 何だか花火職人さんみたいだな。花火玉を何ヶ月か掛けて作って打ち上げたらしゅるるるるぱーん!終わり!みたいな。

 審判、まあ此処では騎士団の団長さんだが、何時開始の合図をするか、というのも重要だ。

 合図をする気配を探る。気配察知はなにも隠れた敵に気付くだけが使い所では

ない。目の前の相手が一瞬後にどう動いているか、も察知すべきなのだ。某漫画

みたいに光る訳じゃあなく気付き難いだろうけども、それでもやらなければ何が

何でも勝ちを拾うという事が出来ないのだ!

 団長さんが口を開こうとするのを察知した瞬間!

 たいを落とす。詰まり、姿勢は見た目変わらないまま、重心を落とす。

 重力加速度、と言うだろう。詰まりは時間を掛けなければ速度が出ないと言う事だ。

 しかし、刀の振りは最初から最高速などと言うのを聞いた事は有るだろうか。

どうやっているのかと言うと、重力をめると言おうか、姿勢は見た目変えない

まま自由落下を事前に開始しているのだ。

「始め!!」

 こぉぉぉぉんかららんっ

 シッカクの木剣を打ち落とした。

 もう二つ程小細工を重ねたのだ。

 一つ、左右両手で槍を振る。梃子、と言うと普通のヒトは、支点は位置固定だと思い浮かべるだろう。が、此処で言う支点は左手なのだ。当然動かせるのだ。右手と左手を逆方向に動かせば、槍を倍近い速さで振れるのだ!ぴったり倍、というのは少々難しいのだが、それでも侮るなかれ、只力を込めるだけでは二倍どころか1.5倍だってず無理なのだ。

 その振りで切り上げと言うよりは山なりに打った。詰まり、木剣を落とす時は

下向きの打撃だった。

 もう一つ、相手が木剣を持っていられない方向に打った。どんなに力を込めて持っていたとしても。いや、武器を力一杯握るのは宜しくないのだが。例えば、

武器を絶対に離さないぞーと強く握ったとしても、だ。或る方向に飛ばされると持っていられないのだ。具体的には親指と他の四本指の間だ。

 で、面白い位無抵抗にぽーんと木剣が飛んで行った。

 目まぐるしい打ち合いの最中さなかに狙うのは至難のわざであろうが、相手が動かない的同然の先の先であったらまだ可能、という訳だ。

「ちいの勝ち!」

 うおおおおおおお!!

 団長さんが宣言し、庶民兵の皆さんが沸いた。

 シッカクは見下す様な、蔑む様なツラをしたまま凝固していた。

 ぶふふっ!その表情良いよー!

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