第48話 つくしんぼ見付けてみた
少々ご無沙汰致して居ります。申し訳ありません。
パソコン様、ご機嫌は一応大丈夫な様です。ご心配お掛けしました。
しかし、以前とは違うなあ、と思う所が有るのも事実では御座いますので、油断は出来ません。
親しき仲にも礼儀あり、と申しまして、親密な関係の相手にも気を付けるべき所は有るものです。余り調子に乗ってはいけませんね。パソコン様とも気を付けて末永くお付き合いしたいものです。
前置き長えよ~で御座いますか。はい、只今前書き終了致します。
「ご飯どうしようか?」
ライナ宅にて。どうしようかも無いものだが。
それなりに広い邸宅だったのだが、使用人の一人も居る訳でもなく。
いくらライナとは言え家を散らかす程頭がアレな訳ではないので、通らない所は埃が少々かぶっているかな~といった具合だった。
ライナと自分、そして何故かメイが付いてきて廊下を歩いている。
自分が寝泊まりする部屋へ案内して貰っているのだ。
「師匠、お腹すいちゃったんですか?」
…ふう~……
「準備に時間が掛かるでしょう。腹減ったなんて時に言ったって遅いでしょうが」
一寸考えれば分かるだろうが。文明度低い所ではそこらで惣菜買って食事に
しようとか全く期待出来ない。
「あ、そうですよね!お出掛けのお着替えとか!」
…
「普段、何食って暮らしてるの?」
「何ってお店のメニュー次第ですよ~」
成る程。
「料理とは食べる物である、とか」
「当たり前じゃないですか!」
コイツ素で言いやがった。そんなネタは知らないだろうに。
「さーて、台所って、在るのかな?」
「在りますね!謎空間です!」
「案内して貰えるかな?」
「そうですね!師匠のお部屋の後にでも!」
……ごっつい、あほだなあ………
そして、台所。
まあ、文明度低い所だし、水はどっかから汲んできて溜めて置き、火は竈で熾して鍋を掛ける、と。
本当に場所が在るだけで、料理道具の一つも無い。謎空間だね、確かに。
「さーて、材料の確保といこうかね」
「何の材料です?」
……本当に、あほ、だねえ……
先ずは草を刈って燃料にする。
生木は燃えにくい、という位は現代日本人でも聞いた事有るだろうが。
草だってついさっきまで生えていたのはやっぱり燃えにくいのだが、其れこそ庭に幾らでも生えているので有効活用しなければな!今のうちに大量に刈っておけば何日か後には程よい乾燥具合に成るだろう。
サバイバル生活は現地調達が基本だ。どこぞの特殊部隊の様にな!!
勿論、燃料だけでは何も食えない。食材も確保だ。
丁度、面白いモノを見付けたのだ!
つくし。通称つくしんぼ。
小さいマイクみたい、とか、中途半端なアスパラガスみたい、といえば形は思い浮かぶだろうか。
節になった茎が有り、先端が楕円形と言うか、少々長い丸みの…葉に当たる部分か?が有る。
色は薄い茶色だ。節に成っていると言うだけあって、そこから千切れる、というよりは外れる、という位にぽろっと取れる。
其れが何だ!と言えば、だ。食えるのだ。ココ重要!テストに出るぞ~!何の
テストだよ!!
…さて。
このつくしんぼだが。昭和の頃はそこらの道端にも生えていた。
まあ、そんなのは排ガスやらアスファルトなんかで汚染されていそうで迚も食う気にはならないが。だが此処は発展途上な世界。大気も土壌も綺麗なものだ!
排ガスと言えば、だ。自動車が珍しい頃、其れが走って排気ガスをぶおおっと残して行ったら子ども達は其れを追いかけて行って排ガスのニオイを嗅いでいた、だとか。バカだなあ。体に悪いのに。
昭和には道端にも生えていたつくしんぼだが。平成にはぱったりと見なくなった。多少は生命力が強かったが、それでも現代のヒトの町なんかじゃあ迚も耐え
られないって事なんだな。
ああ、自分、昔の事とか~、全然知らないですけどね~?
しかし、だ。タンポポは現代日本であろうと誰でも知っているだろう。セイヨウタンポポなんかは極めてしぶとい植物の代表格だ。
それが何だと言われれば。食える様なのだ。店でちゃんと品物として売っている飲み物の原材料にタンポポなんて描かれてあったのはビックリしたぞ~。
そう、描かれていた、だ。イラスト入りだった。野菜の飲み物なんかに良く有るでしょ?
まあそれでも一応事前に自分が毒見はしておくが。魔法で治療、なんてのも考えてはいるのだ。
タンポポは菊に近い仲間の筈だし、食用菊というモノは実際有るし、只の当てずっぽうではないが、念には念を入れて、だな。
その他、マジョオから教わった食える野草も採取しながらライナ、とメイにも声を掛ける。
「今集めているのは食える植物…と、タンポポは食えるかもって段階だけど。見て覚えておいてね。
てきとーにそこらのモノを取って食うなんてしたら、まず間違いなく死ぬから」
「え?死ぬ?」
ライナがボケっとした顔で聞く。只出されたモノを食ってるだけの人生だった
ろうからな。
「自然の恵み、なんて言うけれど、自然には食えるモノなんて本当に少ない。
だからヒトは農業なんてやって大量に食えるモノを確保しようとするんだね。
野生の生き物なんかでも、クマとか母親が何か食ってたら子どもは口元のニオイを嗅いで食えるモノを覚えるとか。で、母親から教わったモノ以外は決して口に
しないって」
説明していたらライナが顔を寄せて来る。
「嗅ぐ気か!!見て覚えろっての!!」
「えー?師匠が嗅いで覚えるって言ったじゃないですか」
「バカだろう!!ライナは一応ヒト!!…かも知れないだろう!!ヒトは目が一番発達した生き物だからな?クマは実はヒトより目が凄く劣るからな?代わりに鼻は桁違いに優れているから嗅いで覚えるんだよ!!」
「えーと?桁って、数字の繰り上がり………でしたっけ?」
「ちい様、さらりと毒を吐かれましたね」
ライナは数字の繰り上がりの所で引っかかっている。一応名の有る家の出、と
いう事は教育は庶民よりずっと受けている筈なのだが、まあ文明度の低い世界での、だからなあ。
メイは貶した言葉をしっかり聞いて、多分ライナに忠告する為だろう、口に出しているのだが通じてないよ?
「何千倍かは有った筈」
クマはイヌ科だからな。イヌは嗅覚がヒトの六千倍は有った筈。
「何千?って、えーと?」
「桁が三つ違うって事」
ライナは一応騎士…の筈。ならば戦争に関わる前提で、何千位の計算は教わる筈…なんだけどな?
「おー!凄く一杯な数字です!!」
…………コイツって…
ボク数字分かんない位頭悪いんだ~、という冗談で、いちにいさんいっぱい!
なんてのが有るが。
詰まり、三より上は一杯としか表現出来ないというお巫山戯だが。
コイツは冗談ではなくマジで凄く一杯とか言った。驚嘆に値する!!
「えー、ちい様?クマがヒトより目は劣って鼻は利く、等という知識は一体何処から?」
メイが訊いて来る。メイドは余り口を開くべきではないだろうが、此処はメイが訊かなければ気になった事が流れてしまうから、だな!
「別世界の知識…かな?」
此処、文明度低いからなー。そうとしか言えないなあ。
「別世界って………っ!!流石です!お見逸れ致しました!!」
メイがどう想像するかは大体分かる。まあ、ご想像にお任せしますって事だ。
「そ……其れからですね!タンポポは食べられるかも、というのが気になったのですが!!」
「あー、自分が先ず毒見するから、大丈夫」
注意!良い子は決して!決して真似しないで下さい!!大事なので二度言いました!!
同じ系統の植物だって種類が有ればそれぞれ違いは有るものです。一種類食えるモノが有ったとしても、似ているからと言って全種類が食えるとは限らない、
いや、全種類食えるなんて有り得ない、だな。
況してや此処、異世界だし。あっちの世界のモノと似ていても同一では有り得ないだろう。正直結構恐いのだ。だが即死するのでもなければ魔法で何とかなりそうか、という計算が有るのだ。
「大丈夫ではありません!!毒見など末端の部下の役割ではありませんか!!」
「神様に任せておきなさーい!」
巫山戯て言った、のだが。
「はっ?!!失礼致しました!!
しかし、しかしですね?ちい様は現人神で在らせられるのですよね?!
なれば毒はやはり影響するのでは?!」
ぶふぁっ現人神ときた!!厨二!!厨二臭いよぉぉ!!!
しかし、である。今でこそ日本では厨二病~とか言っているが、実は昔から厨二臭漂う事は言われていたのである。
しかも、である。昔のヒトは科学的根拠なんて発想も浮かばないから本気で信じてしまうのである。
日本では昔、だが此処では今だぁ~……
「あらひとがみって何ですか~?」
おバカなライナがのほほ~んと訊く。
「神様のお世界、神界から此の世界へいらして、ヒトの身をお纏いになられた神様です」
メイが説明する。そういう意味ですよね~。何だか神々言っててゲシュタルト
崩壊起こしそうですけど。
「ヒトの身を纏うって、まるで体がお洋服みたいです」
「神様とはそういうお方なのです!精神という言葉には神という字が入っているでしょう」
「ホントです!」
メイとライナは此処の言葉で話しておりますが、そういう辻褄は合ってると思って下さい。
で、メイの考え方だが。実は現代日本でも全く珍しくない。
体が器みたいなモノで、魂なる物体に近い様な何か塊が器に入っている、と思っているから生まれ変わりなんてモノが結構信じられているのだ。それとか、
ヒトとヒトが頭ごっつんこしたら人格入れ替わっちゃった~とかいう入れ替わり
モノの作り話とかな。
あと付け足すなら、死んだ者が此の世から居なくなってしまうなんて認めたく
ないという未練だ。心が受け入れられない事実は認識出来ないというヤツだな。
そして、自分はそんなの信じてないよ、と言う訳だ。
はい、メイが心底信じて言っているのをバカだなあと思いながら眺めており
ます。
「なのでちい様!疑わしいモノは食べないのが一番ではないでしょうか!!」
「うーむ、しかし、こんなに生えているのだから食えたら良いのにって思うんだよね」
セイヨウタンポポ並に大量に生えている。ニホンタンポポは雌雄が別の草だが
セイヨウタンポポは一つの花に雄しべと雌しべが有る…だったと思った。因みに、タンポポは花弁みたいなの一つ一つが花なのだ。
うーむ。食える、と確証が有る物とタンポポを食った時の体の反応を魔法で見
比べれば食用か毒か判断付くと思うんだよなあ。よし、やってみよう。
そして、だ。食材集めは良いのだが、コレでは絶対に手に入らないモノが有る。
調味料、主に塩、それから調理器具だ。
サバイバル生活だったら無いモノは無い!で済ませるのだが、此処は王都だ。
「さて、買い出しに行こうか」
「おー!良いですね!!」
ライナが応える。何が良いのかも分からないだろうが。
ライナに手を繫がれた。抵抗はしないけども!流行ってんの?!
で、草っ原な敷地から出たのだが。
道すがら、自分としてもずっと気になっていた事を尋ねる。
「メイの職場は王宮だよね?ずっと自分に付いて来ていたら仕事上困った事にならない?」
「国王陛下から仰せつかって居ります」
「何て?」
王からメイドに直接かい?!!
「武神様はわたくしをお気に召されたご様子ですので供物となれ、と」
「ぶっふ??!!!」
イケニエだよ!!それって原始的で野蛮な生贄だよっ!!!
「宜しくお願い致します、武神様」
にっこり笑うメイ。良いのか?メイはそれで良いのかよ!!
…はあ~……別に取って食うって訳じゃないし。
けど、実質メイを扶養するって事じゃね?幼女に何させる気だよ全くもう!
…あ、所で。タンポポ普通に食えました。けど絶対にマネしないでね?
見た目は区別付かない程似ててもコレは異世界の植物だからね?
日曜日、11月15日は或る本を手に入れるクエストに出て居りました。
故に日曜日には投稿する気力も時間も有りませんでした。申し訳ありません。
所でクエストですが。ゲームじゃありません。現実です。片道徒歩3時間です。
目的をたった一つに絞って速攻行き帰りして往復6時間かなあ、という所です。
なので目的を欲張って増やすと、あっと言う間に夜中まで掛かる事に成ります。
というか成りました。
そして目的の本ですが!アレです!ドラまたさんです!!…分からない?
ロバーズキラー、大平原の小さな胸とも言います。もっと分からねー?
郷里の姉ちゃんスィーフィードナイトぉーとかね!
ナーガ様はアメリアの姉グレイシアとかね!
北海の氷壁に封じられているのはレイ=マグナス=シャブラニグドゥとかね!
ゼルの苗字はグレイワーズとかね!!
これで「ああ、アレか」とかさらりと言えてしまうヒトがいらっしゃいましたら、こう申して差し上げましょう。
マニアか!!それもコアか!!!
いや~自分は、ラノベも漫画もアニメも映画も、ぜ~んぜん、ちっとも、これっぽっちも知りませんけどね?




