第45話 行ってくるよと言ってみた
「「「う゛わああああああああああああ!!!」」」
うちの女性陣三人が大泣きしている。ナナとネネ、そして…サラだ。
ナナとネネはまだ幼いのだが、サラは母である。六人の子持ちである。
そのサラが幼子の様に大泣きしている。詰まり、恥じらおうとも隠そうともせずに凄い顔して本気泣きしているのだ。…どうしよう。
「えー、それなりにお仕事こなして帰って来るから」
言った途端ぎゅっと抱き締められた。三人に。二つしか無い手で三人の背をぽんぽんする。結構必死に、だ。どないせいっちゅうねん。
そのまま取り敢えず村長に目を遣る。
「ちい……済まぬ!!」
村長も沈痛な面持ちで言う。うーん。
「自分は大丈夫なので、家族をお願いします」
「うむ!今年の税で納める筈だった分はちいの家に融通しておくからな!」
「二年分です」
「え?」
「自分が兵役に就く二年分の税って事で、話を付けました」
「何?!あの徴税吏がそんな話に応じるか?!!」
「国王陛下に、です」
「……は?!!」
「国の王様に、話を、付けて来ました」
「何だとおおおおおおお?!!本当に、なのか?!!」
「本当ですとも。其れから、陛下のお達しですけれども」
「う、うむ」
「村の皆がタダノ家を名乗る様に、と」
「……何を言っているのか分からないのだが?」
「自分、個人名しか無いので只のちいと名乗ったらですね?
タダノという家名だと勘違いされまして。
じゃあそのままタダノ家を名乗れ、と。
勿論家族も名乗れ、と。いっそ村中名乗っちゃえ、と成った訳です」
「どんな訳だ!!……と、すまん。本当なのか?」
「本当ですとも(笑)」
「笑っているではないか!」
「笑っちゃうじゃあないですか」
「む……むう!!あのな、ちい。普通はだな、お偉い方や見るからに恐ろし気な強面の者が冗談の様な事を言っても笑えないものだぞ?」
「笑いを堪えるの、大変ですよね!」
「お主は堪えていないだろう!
……はあ。お主、大物だな。名前はちいなのにな」
はい、自分の名前、ちいはフランス語のプチとか英語のチャイルドとか、日本語の小ちゃいとかみたいな響きがあります!
「村長。心労で体調を崩す、なんてありますよね?」
「むう?有るな?」
「見て分かる怪我とは違う様に思うかも知れませんが、嫌な感覚だけでもヒトは
体を壊すのです」
「ああ……そうなのだろうな?」
「自分が二年村を留守にする事になったのは、少なくとも村の誰のせいでもありません。
だったら気にするだけ損です。自分のせいじゃないや~で良いんです」
「それで済むものではないだろう!!本当にお主は!!
……はあ。分かっている。ちいなりに気を遣っているのだな?有難うな」
「毎日はしませんが、必要が有ったら連絡します。寧ろ毎日じゃあお互い面倒でしょう?」
「連絡……アレか」
村長凄く嫌そうな顔をする。そんなに嫌がらんでもええやん。
「事前に教えてもらわねば驚くではないか!」
「えー?必要を感じた時にやってみたものですから、前以て説明するのは無理ですよね?」
「は?必要を感じた時?即興で?」
「出来ました!」
「……お主は……本当にお主という奴は……はあ。分かった。お主、何処へ行っても逞しく生きていられるな」
「女の子に逞しいだなんてえ~♪」
「お主そう言う奴ではないだろう!!分かったわい!もう気になどせん!儂のせいではない!それで良いのだろう!!」
「そうそう☆」
村長だけではない。ここに居る皆に言っているのだ。そしてうちの女性陣三人をそっと離す。他のヒト達にも挨拶しなきゃあいかんからね!
さて、次は男性陣だが。
「ちい………本当に行っちゃうのか?」
一番憂え顔をしているのはタクだった。
ははあ!アレか!キョーダイの下二人は母の乳吸ってろ、で、自分は抜けます
って事は。ニヤリ!
「頑張ってね?」
「気付いたな?!それでそんな顔したな?!コイツぅううう!!!」
「まあまあタク。ちいはもっと大変なんだ」
タクは長兄シンに嗜められた。流石長兄。但し、戦闘力的には訓練しているタクの方が上になっちゃったと思うけど。年齢と体格の差が有ってもなお、だ。
「まあ、ちいも頑張れよ?」
父ベンが軽い調子で言う。途端。
「親父酷え!!」
「父さんそりゃあ無い!!」
「……へっ!!!」
兄達に散々言われる。因みに、台詞の順番は年齢順だ。なので、吐き捨てる様に言い放ったのがタクである。怖いモン無しだな!
「な………何だとう!お前等誰のお陰で食ってられると思ってんだ!!」
此の台詞、文明度の低い所のオヤジ定番のセリフだとか。それに対して。
「これからちいのお陰で随分うちが貰えるみたいだね」
「ちいのお陰だね。料理まで出来るし」
「へっっ!!!!」
又年齢順である。なので、シン、トモ、タクの順だ。タクはもうオヤジをバカにしきっている。
「くっ糞!!お前等あ………!!」
「おとうさんがんばって!」
オヤジが怒り出しそうな所で自分はわざと子どもっぽく言ってやる。
「あ………ああ」
末の女の子の声掛けだ。オヤジの顔がだらしなく緩んだ。
……だらしなさ過ぎる!!キモい!!
…あー、家族以外にも挨拶、と。
先ずは何故か距離が有る場所に突っ立っているワットに目を遣る。と。
「ちいいいいい!!!」
大声で呼んで来たので。
「何だぁぁ!!」
応えてやる。が、それ以上続かない。しばしじっと突っ立っていると。
ワットはくしゃりと顔を歪め、大逆走した。詰まり、どっか行っちゃった。
何だったんだ?と思って顔を正面に戻すと。
うおっ??!!シャールが目に涙を一杯に浮かべていた。
「ちいはっっ!!何でっっっそんなに平然としているんですかっっっ!!!」
「えー?だって帰っては来るんだし?」
「長過ぎるでしょうっっ!!!」
ご不満の様だが。小声でこそっと言う。
「オロチが連れて行かれたら、戻れない所だったよ」
此処にはオロチも居るので。聞こえたら良い気分では居られまい。
「何でっ!!ちいがっっ行かなきゃあならないんですかっっ!!!」
「他の誰も交渉材料にはならなかったからねえ」
「悔しいですっっっ!!!」
「幼児が悔しがったってどうにも成らないよ」
ストレスにするだけ自分が損だから気にするなあ?と、思って言った。村長にだって言ったし、賢いシャールなら分かる筈…だったのだが。
「うあああああああああああああああああああああ!!!!!」
シャールには考えられない程の大泣きをした。
「約束しよう。兵役が終わったら絶対無事に会おう!だから絶対に無茶しちゃ駄目だよ?」
「ううぅあああああああああ!!!」
泣き止まない。困った。泣く子と地頭には勝てぬ。なーんて、今時誰も分から
ないよね☆
シャールの母親に目を遣る。赤髪の女性だ。
シャールの母親は後ろからシャールを抱き寄せる。母親!役目をしっかり果たせよ!!
ふと、視線に気付いた。ピュアだった。
ピュアも少々距離を置いて立ち、珍しく無表情だった。
自分が居ない間はピュアに任せとけ!みたいな感覚がして思わず頷いた。ら、ピュアも頷き返した。と、思う。動きも分からん位じっとしているんだが。
オットコ前やなあぁぁ。いや、ピュアは女の子だけど。でも漢らしい感じがするんだよなあ。
って。あれ?おかしいな。自分、察しは良い方じゃあないと思うんだが。けど
間違ってはいないと思う。
ピュアってエスパーか何かなのか?喋らない代わりに特殊能力を身に付けたのか??
「ちいよ。刀は遠慮無く使え。代えは何時でも用意しておく」
オロチが話し掛けて来た。
「有難う!」
「なあに!それが刀鍛冶の務めじゃ」
「ふん!ヒトを村に引っ張り込んでおいて!あんたは村を出て行くのかい!!」
今度はマジョオが喧嘩腰で言う。
「好きで出て来る訳じゃないって分かるよね?」
「は!!あんたが居なきゃあ張り合いが無くなるじゃあないさ!!」
ほお~。村の暮らしの面倒臭さより独り暮らしの方がマシだと言ってたマジョオがねえ?
子ども達に引っ張り回されていて実は嬉しそうだしねえ?
子ども達にはしっかりと山菜や薬草の知識を授けておいて欲しいものだ。自分
よりも詳しくなっちゃうだろうけどな!
「何ニヤニヤしてんだい!嫌らしい子だね!!」
「別にぃい?」
さて、挨拶はこんなものか。後は切りがないからな。
「じゃあ、行ってくるよ」
ご連絡します!
充電池が切れそうで生活に充電の余裕が無い。そんな時!
即座にシャットダウン!詰まり電源を切るべきなのです!!
そう、あれは充電池が切れそうだった時!はいそうです!前書きにやべー急げーとか余裕ぶっこいて書いた時の事です!
自分、充電は回数を重ねる程寿命が減ると思っているので、ギリギリまで充電しない!なんて思っていたのです!結果、途中で電源が落ちてしまいました。電源を切ったのではなく電気が足りなくなって止まってしまったのです!
その後、別の日にまた電源を落としてしまいました。するとどうでしょう!
パソコン様がご機嫌を損ねてしまったのです!
具体的に申しますとシャットダウンをクリックしても利かない。あれ?もう一回。
やっぱり利かない。もう一回。もう一回。あ、やっと利いた。
けど、何か画面がぎこちなくて変だなあ?と、思っているうちに。
三度位の使用で、とうとうデスクトップのアイコンすら反応してくれなくなってしまったのです!
四苦八苦して今はパソコン様はご機嫌を直されたか?と思いますが。
一人で勝手に七転八倒して、今回は少々間が開いてしまった次第です!
申し訳ありません!!
充電する余裕が無くて残り電池が少ない時!!直ぐにシャットダウンですよー!!
大事なことなので二度言いました!!




