第44話 ナシ付けましたともさ
ナシ付けるとは話を付けるという事です。耳にした事はありますでしょうか。
ついでに、ちいちゃんが時々言うものっそいというのは物凄いという事です。
お分かり頂けますよね?分かるって言って?
知るかって?
「武神チイ・タダノ!」
「げぶぉおおお!」
「……変わった返事だな?」
「失礼致しました」
とは言ったものの、王は面白がっている風ではあるが。
御前試合の後、謁見の間で。
王が一言目でぶちかましてくれたのだ。
吐血モノなのも分かって貰えると思う。いや、実際に吐いた訳ではないが。
「しかしちい、王の目の前で認めた覚えの無い家名を名乗るとは、良い度胸をしているな?」
其れが本当ならば死刑モノだが。
「家名ではありません。相手の方々が御家名を名乗られるのに対し、わたくしには個人名しか有りません、という意味で言った言葉が家名だと誤解されただけで御座います」
自分、王の前だからわたくしって言ってますよー!
「ほう!ふむ、そうか。
うむ!面白い!お主はこれよりタダノ家を名乗れ!
勿論、家族もな。いや!村中の者が名乗っても良かろう!
村人は皆家族の様なものなのであろう?」
そんな適当で良いのぉー?!!
そりゃあ鈴木サンはそんな感じで決まったからやたら多いという一説も有るんだが!
この世界ではタダノ家が鈴木サンみたくなるのだろうか…
「しかし武神を名乗って良いのはお主だけだ。嬉しかろう?」
いえ、やめて欲しいです!切実に!!
「喜ぶが良い。お主が兵役に就くのを村の税一年分だと認めよう!」
おっとぉ!!
「陛下はおっしゃられました。
国軍全体の力を底上げすれば村の税の一つや二つ分にはなると」
「ふむ?そうだったかな?」
「さすれば、わたくしが兵役に就く二年分の税として頂きとう御座います」
「むむ!!……むう……分かった。お主、抜け目が無いな。
しかし、如何な武神とて、早々に全体の力を上げられるのかな?」
「此までに既に一つ手立てを見付けております」
「何?!もうか?」
「具体的には槍の持ち方で御座います。
右手を前にする持ち方から左手を前にする持ち方に替えるだけで、其れはもう
劇的に上がる事請け合いで御座います」
「はあ、そうか?悪いが、大した事ではない様に聞こえるが?」
「何を仰いますか!!
極めて大事な事に御座います!!」
「う……うむ。お主がそう言うのならばそうなのかな。任せよう。
それで本当に強くなるのならば二年分と言わず、三年分でも四年分でも良いのではないか?」
王の後ろで宰相が苦い顔をしている。ふっふっふ!しっかり言質は頂きました
とも!!
「二年分で結構で御座います。しかし…
今後一切村から人材を引き抜かないで頂きとう御座います」
「ほう。謙虚だな。まあ、元々人材の引き抜きは恨みを買い易いからな。
よっぽどでなければ最初からせぬよ」
徴税吏はそうでもなさそうだったぞー!けどもう無いな!
「有難き幸せに御座います」
「して、何時から兵役に就くのかな?」
「村や外の知人に挨拶はせねばなりませぬ。
一週間程は暇を頂きとう御座います」
「外に知人のう?お主、顔が広いのか?その年で」
「隣町位で御座いますが」
「そうか!トナー・リーの町だな!」
はい!隣りのトナー・リーの町で御座います(笑)!!
「又参ります折には、真剣も持参致します」
「しんけん?」
「鉄の、本物の刀に御座います」
「おお!そうであったな!」
「お聞きしたき儀が御座いますが」
「ほう?」
「お暇を頂いた折は、任期からは抜くので御座いましょうか?」
「それはそうだな。そんなに休む気なのか?」
「わたくしは申し上げました。
刀を使った後の手入れは専門家でないと出来ませぬ、と」
「お主では出来ぬ、と言う訳か」
「左様で御座います」
そこは最初にはっきり言っておかないとな!
「どれ位休めば手入れが出来るのだ?」
「正直、諸々含めれば一月程は頂きとう御座いますが、刀の所持を諦めて只置いて来るならばその日には帰れまする。
刀が必要な事態など頻発はせぬでしょうし」
「そうかも知れぬが、カタナが無いと不安ではないか?」
「わたくし、現在は木刀のみで御座います。木刀のみでもそれなりには戦えますし」
「金属の武器を持った相手とは無理であろう?」
「わたくし、今より幼き頃に武装した山賊団と戦いましたが。
勿論鉄製の武器で御座いました。弓矢持ちも居りましたね」
「何だと?!!!
……本当なのだろうな。お主の事だ。
それから、宿だな。王宮に部屋を用意すれば良いか?」
「畏れながら申し上げます、陛下!!
わたくしの家屋等如何で御座いましょう?!」
ライナが口出した。
それよか、一応敬語を使えている様なのが驚きだ。
そう、此処にはライナも居た。メイも居た。自分の後ろに控えていた。何で?
しかもライナは左胸に右拳を当てていた。騎士の礼だ。
騎士の礼をするなんちゃってメイド、ライナ。しかもしかも自分の後ろに控えて居る。ナニコレ。
「ふむう?メイドか?メイドが家屋だと?」
「此の者はわたくしの弟子で御座います、陛下」
仕方なしに助け船を出す。
「弟子は師匠の身の回りの世話をするものだと。確かに世間の師弟関係はそういうもので御座いますれば。其れ故メイド服なので御座います。
しかし此の者、名の有る家の者に御座いますれば、家から家屋を与えられているので御座います」
手切れ金の様なモノらしいが、モノは言い様だ。
「ほおおう。確かに貴族家の者でも更なる上級貴族の召使いをする事も有るか。
ふっふっふ!武神の召使いにして弟子か!名誉だのう?」
「はい!武神様に貰って頂いて、わたし幸せです!!」
おーい!!ライナ!!!短いセリフの中に突っ込み所満載だぞ!!!
さあ、みんなは幾つ見付けられるかな?って、やかましいわ!!!
「して、その者の家屋で寝泊まりする事で良いのか?ちいよ」
「はい、そうさせて頂きます」
「うむ!これで話は纏まったかな。
して、ちいよ。これは王の要請の様な物である。
よって、冒険者のランク6に相当する!
冒険者証を渡すが良い。ギルドに申請しておこう」
「有難き幸せに御座います」
ふむふむ。冒険者ギルドは国を超えた機関と言う事ね。その一方で冒険者は国が管理しているなんて小説も有ったか。けど此処では国が管理したら冒険者が国を
跨いで旅出来ないだろ!という考え方の様だ。
トナーがそういう風にギルドを作ったんだな。
先ず家臣が自分から冒険者証を受け取り、家臣が宰相に渡す。
王が直接何かを受け取るのは危険だからだろう。
冒険者証は只の木の板だが、そういう様式なのだな。
「何と………!!!」
宰相は言葉を失う。
「何だ?どうしたと言うのだ?」
王が訝しむ。
「ちいは………ランク3から5まで魔法使いで認定されて居ります!」
「むう?!どう言う事だ?」
「ランク6は戦士で認定される事になりましょうな」
「当たり前だろう!カタナの技を散々見せ付けられたのだからな!」
「通常、ランク3から6まで違う職業で認定される者等居りはしませぬ」
「ちいは違う職業で認定される事になるな?」
「前代未聞……という事になりましょうな。しかもです!
こんな幼くしてランク5魔法使い等、世界中何処を捜しても見付からぬで
しょう」
「ふっ……前代未聞で世界唯一だと?!!
は……はっは……
はーっはっはっはっはっは!!!
何だそれは!!何なのだ一体!!
ちいはまだまだ驚かせてくれよるわ!!
くっくっくっ……もう驚いてやるものかと思っていたのだがな……
はっはははははは!!!」
王様壊れた様に笑い出したよ。お可哀想に。なーむー(失礼)。
「くっくっく……武神よ!これから頼むぞ?」
「畏まりました」
「まだそんな態度を取るか!白々しい!!」
えー?どうしろっての?
おいどん、驚いたばってん!
東京には建物全部が本屋っちゅうでっかいのがあるんじゃがな?
そげんでっかいのに売り切れていた本が有ったんじゃ!!
その本ば戦士にして美少女天才魔道士が主人公なんじゃがな?
18年ぶりに新刊が出たっちゅうに、都会は日曜しか空いてないモンに
冷たい所じゃのう……
一体誰だああああああああ!!
2018/10/29 9:44修正致しました。
後書きの「空」の字です。
気になっちゃったんです!本編は全く変化有りません。




