第43話 一撃必殺野太刀!!
野太刀って何だ?と思った方は居られますでしょうか。
解説しましょう!本編で語られるのを辛抱強くお待ちになるのが宜しいかと存じます!
解説してねえええええええ!!!
馬上槍とか騎兵槍などと書く武器、ランス。
ランスとは、馬の突進力で突く武器である。
これだけの情報から読み取れる、副次的な情報を展開してみよう。
先ず、ランスは片手武器である。もう片手は手綱を握る必要が有るからだ。両手離しで馬に乗るなどクレイジーのやる事だ。まともな者はやらない。
そして片手武器としてはやたら長い。下手な両手武器よりも長い筈だ。何故
なら、普通の片手武器サイズだと、本当に乗っている馬の直ぐ傍に居る者にでも
ないと攻撃が当たらないからだ。
更に使い方だが、先端を相手に向けて突き出す。後は移動は馬に任せてランスを突き出した姿勢を維持し続ける。それだけしか無いだろう。片手武器としては長
過ぎる武器を振り回そうだなんて考えるだけでも愚かだろう。
結論。ランスは自分の足で地面に立つ者が使う武器ではない。間違っても無い。
自分の足で立ってランスを使おうなんて奴が居たらアホである。
…それが今目の前に居るのである。アホだ。アホが居る。
御前試合四戦目にして勢い付いてやって来た騎士…の筈の奴。アホであった。
「おー待ち遠!!おれさまこそ実質最強の騎士だ!」
奇人?変人?その通~り♪とか続けてあげたら怒るだろうか?
「実質?」
一応お付き合いで聞いて上げる。答えは大体想像着くけど。
「評判では最強の騎士ってのはジジイなんだけどよ!
試合に応じちゃあくれねえんだわ。勝負しなきゃあ負けもしないんだろうけどな?」
「成る程ねえ」
想像通りと確信した。
「だろお?狡いよなあ?」
「いや、そう言う訳じゃあない」
「あ?!」
アホの騎士さん、不機嫌な顔せんで良えよ。
「最強の騎士の称号を得てしまった者は御輿と言うか看板と言うかにされる」
「はあ?」
「敵に顔を見せて最強の騎士だ!ビビれオラ!ってやるだけの存在にされる」
「はあ?」
「勝負というものは強ければ勝てる確率は上がる。けど、絶対勝てるとは言い切れない」
「そりゃあそうだな?」
「だから最強を名乗ったからって絶対勝てるとは言ってない。
けども負ければ評判に傷は付く」
「そうだな?」
「だから周りから戦いを止められる。使われるのは名前と顔だけ」
だから、どれだけ勝ち進もうと最強の騎士は絶対出て来ない、と最初から思ってはいたのだよ。
「あー……おれ、戦闘狂じゃあねえんだけども。
何かそれ、嫌だな?」
「でしょう?」
「おれ、今まで最強の騎士と呼ばれるのを目標にしてたんだけども、これからどうしたら良いんだ?」
「そんなのは自分で考えなよ。時間は有るんでしょう?」
「あー、そっか。うん!分かった!!有難うな!」
「どう致しまして」
「おっし!!じゃあ勝負だな!行くぜ!!」
アホの騎士さんは構えた。ランスをこちらに向ける。結構離れてはいるのだが、突撃すれば直ぐ接敵するだろう。ランスは矢鱈長いから。使う気か。本当に使う気なのか。
だとしたら、自分はこれで行くしかないだろう。
しゃがむ程に腰を落とし右膝を曲げる。対して左脚は真っ直ぐ伸ばして横に突っ張る。
そして木刀は天を衝く!!
そう!月牙天…違うよ?!自分、霊圧がーとか言わないよ?!
「何だ?その変なポーズ」
アホに変とか言われた!
仕様が無ええな!!大々的に宣言する!!
「薬丸自顕流!!蜻蛉の構え!!!」
「奇を衒ったからって、強くなる訳じゃあねえぞ?!」
奇を衒っているのはランスを使ってるアンタだあああ!!と心の中で突っ込んでいると。
「びびってんのか?言い返す事も出来ねえのか?」
何だよ。突っ込み待ちなのか?じゃあご期待にお応えして。
「うわあ……ランスなんか使っちゃってるうぅ~!
あほみたぁ~い!!
いや、あほそのものだね!あほとしか言い様が無い!
あーほ!あーほ!あーほ!あーほ!あーほ!あーほ!あーほ!あーほ!!」
「何だとごるぁああああ!!!」
…怒ったやん。
しっかしコイツ!あほあほ言われて喜ばんとは!
関西モンやないでぇ~!!
初めっから分かっとるわぁああああ!!!
…さて。
「くそがああ!!名乗れえええ!!!
おれはメイザス・アノホシだ!!!」
えー?あの星を目指すの?
重いコンダラーでど根性なの?
注意!重いコンダラーって言葉、目にしたことありますでしょうか。
この言葉、加工してありますので元ネタを知らない方には当然サッパリ分かりません!
調べたって多分出て来ません。自分、調べちゃあいねえけどな!
正式な表記は思い込んだら、です。昭和のスポ根どっぷりな話に出て来る言葉
です。
いやぁ~、自分、昭和のスポ根とか、知りませんけどね?
あーそうそう、名乗り返さなきゃあね?
「自分はちい。只のちいだよ」
「あ?ん?」
アホの騎士メイザスさんは首を右に左に傾げる。やっぱりアホだよその動き!
「おお!そっか!チイ・タダノか!行くぜちい!!」
あー…又タダノって苗字だと思われたか。いーやーどーでも。
丁度そこに試合開始の合図が掛かる。
その瞬間!!
「きええええええええええええええええええ!!!」
自分は気合を発し。
「お?うおおおおおおおおおおお!!!!」
メイザスはウォークライを放つ!
初見で張り合って雄叫びを上げる辺り、ソノタオ・ゼイよりも気概が有るという事だな。
そして互いに相手に向かって突撃する!!
おお?!メイザスのヤツ、重心機動を使っているな?!!技術的にちと甘い感は有るが。
ランスなんぞを使う必然として、だろう。けども、やっぱり自分の足で立って
使うにはランスはとてもお勧め出来ないけどな!
互いに相手に向かって突撃すれば間は直ぐに詰まる!!
ランスが自分の間合に入った刹那!!!
「えええええええええええあああああああああああああ!!!!!!!」
一! 撃!! 必!!! 殺!!!!
どがんっっっ!!!!
「ぐうああああああああああああああああ!!!!」
がららららんんっっ
ランスを叩き落とした!!
その瞬間には自分はもう反射的に構え直している!が。
「ちいの勝ち!!!」
審判が宣言する。武器を手放したら勝負あり、だからな。
理屈で言えば、だ。
矢鱈長い片手武器を叩き落とされたら、どんなに握力だか腕力だかが有るとしても、迚も持ってなどいられない。
やっぱりメイザスさんはアホだったと。そう言う事だ。
「やった……やりおった!
ちいの奴、うちの問題児を力でねじ伏せおった……!!」
王の呟きだ。
メイザスさん、王の耳に入る程問題児なのかよ。
「お………あ………。お前…強いな?」
「お前呼ばわりは嫌い」
メイザスが何か言ってるが、そこは断固として譲れない。
「ああ……あのさ、ちい。その技、教えてくれねえか?」
「機会が有ったらね。この先どうなるか、一寸未定だから」
そんなに予想外なんて無いだろうとは思うけどな!
「へ!機会なんて無くたって無理矢理作ってやるさ!」
ほー、開拓者精神旺盛だな!
ぱちぱちぱち!
そこで拍手の音が聞こえて来る。
王が立ち上がって拍手してた。スタンディングオベーションってヤツだ。
「よくぞここまで武の力を見せてくれた!!
予は満足だ!!
ちいよ!!お主の相談、色よい返事を期待するが良いぞ!!」
もう御前試合はお終いの様だ。
王が良いって言っているのだからもう良いな!
自分はサバイバルを常に意識している身、余力はまだまだ有るのだが、別に戦い続けたい訳ではないのだ。
跪いて左胸に右掌を当てる。臣下の礼!ってヤツ。騎士の礼?しないよ?王に忠誠なぞ誓っちゃあいないし。
それよりセリフ!
「恐悦至極に存じます」
「ふははははは!!
本に赤子らしくない奴よ!では又後日な!」
赤子ってえええええ!!!
此処で反論なんかは出来ないけども!!
仕方なく王がご昇天なさるのをじっと待つ。
現代日本人が昇天なんて聞くと死ぬのかよ!!と、思うだろう。
しかし、王は偉い神様なのだ(笑)!神様が天に昇られたからと言って死んだという訳ではないのだ(笑)!!
で、実際は只退場しただけだ。まあ、はっきり言って茶番ではある。
お偉いさんの社会と言うモノは茶番を本気でやる所なのである。と、言うか、
礼儀作法なんて全部茶番だ。が、それでも礼儀作法が出来ない者は教養が無いと
見なされるのだが。
其れからやっと解散だ。半控え室に戻る。と。
「師匠ぉおおおお!!何ですかさっきのは!!」
ライナが噛みついて来た。
「トンボの構えって!!わたしが教わったのと違うじゃないですか!!」
聞こえてたのか!ちょっと聞こえる距離じゃなかった筈だが!!
ライナって、凄く耳良いのか?
「分かった分かった。説明はするよ」
とは言っても、教わったのと違うものはああ違うんだね~で流しとけ、教わったものだけ一生懸命練習してろ、とだけどな!!
しかし、この状況。
大人の図体した女が構って構ってと幼女に纏わり付いているという構図なのだが。ライナこそ分かっているのかねえ?
「な………何ですか?師匠。にっこり笑っちゃったりして!可愛いじゃないですか!」
「可愛い言うなっ!!!!」
其れは断固として言っておく!!
今回、先ずは何も考えずだら~っと書いた部分を最終的に少々カット致しております。
話をすっきり纏めるには、要らない部分を捨てる勇気も必要ですね。
自分、実は片付ける、特に要らないモノを捨てるのが苦手なので御座いますよ~!
でも頑張りました!
これでまだすっきりしてない!とおっしゃられる方がいらっしゃいましたら…
はっはっはっは!ごめんねえ!!




