第42話 武神始めました(泣)
充電の関係、生活の都合上大急ぎで投稿致しております。
もし不都合等有りましたら後で訂正するかもっ……やべー!急げ!!ダーッシュ!!
…余裕だなって?
御前試合第二戦、相手は鬼教官(嗤)。
鬼教官(嗤)は開始早々攻撃を仕掛けて来て勝手に自爆して自分は勝ちました。
目出度し目出度し。
うん。見てても誰も分からなかったって顔してるよね。
解説しよう。いや、口には出していないけれども。
適切な技名を見た事が無いので独自に弾と呼んでいるが。
要は攻撃を受ける瞬間、同等の力で押し返しているのだ。但し見た目には自分は全く動かずに。
すると見た目には銅像でもぶっ叩いたかの様に自分は全く動かずに相手の攻撃が弾き飛ばされると言う訳だ。
「ち………ちいの勝ち!!」
やっと審判が自分の勝利を宣言した。遅いよ。
そして。
「うっ………うぉおおおおおおおおお!!!」
鬼教官(嗤)が拳を握って向かって来た。
「ま………待て!」
審判が言う。遅い!
「おおおおおお!!!!」
鬼教官(嗤)は自分に殴り掛かる。
自分はひょい、と。木刀をなるべく置くのに近い放り方をする。
そして向かい合う。
右掌を、まるで撫でるかの様に鬼教官(嗤)の拳に被せる。
触れてはいるものの、威力は全く受け止めないと強く意識する。が、相手の拳の威力、大きさ、体格、重心を掌握する。中国拳法の聴勁と被るであろうか。
そして掌が吸着した!と感じる程に接触した瞬間!!
鬼教官(嗤)の拳の威力はそのままに!しかし方向は真逆に相手に向けて!!
しかも相手の重心の僅かに下を潜らせる様に!!!中国拳法の化勁と被るであろうか。
するとどうなるか。
鬼教官(嗤)はその場でぐるっと縦回転し。
背中から地面に落ちる!
どかっっ
「ぐはっっ!!!」
殺す気なら脳天から落とす所なのだが。
手加減だ。背中は人体で一番耐久力が有るからな!
そして技名を宣言する!
「空気投げ”隅落とし”!!!」
投げの達人なんかだったら。はっきり言って頭突きでもした方がずっと早い!という超至近距離で何やらもくちゃかもくちゃかと動いて、相手が倒れたら空気投げだ!見て見て!触ってないよ!とかやりたいだろうが。
自分は触れた方が手っ取り早いのなら触れちゃいます!投げの達人気取る気無いし!
観ている者達はしばし閉口するが。
「ちいは……素手でも強いと言うのか?……」
「左様で御座いますな。彼奴が襲い掛かった折、ちいは態々武器を放り素手になり、落ち着いて向かい合ったと見受けました!あれは起こるべくして起こった事態に相違ありませぬ!!」
王と宰相が会話を始める。
「何やら技名の様な事を言っていたか?」
「左様で御座いますね。後で審判に問うておきましょう。
しかしちいの武の力がこれ程とは!想像を絶するとは正しくこういう事を言うので御座いましょうな!!」
ふっ!王に面白いものを見せられた様だな。
「技を見せる為に投げられてくれて有難う」
鬼教官(嗤)に出来る限り冷たく言い放ってやる。
「ぐっ………ぐぐぎぐっ!!」
鬼教官(嗤)は悔しそうに歯軋りする。が、まだ終わってないぞ?
王は後でアイツ呼び出しだな、と言っている。
「後で国王陛下にお呼ばれされるみたいだよ?楽しみだね?」
物凄く嫌みったらしく言ってあげる。
「貴様っ………!!告げ口でもする積もりかっ………!!」
「バカなの?みんな見ているんだよ?
これで告げ口だと思うなんて、心が貧しいんだね☆」
「ぐっ………があああ!!」
鬼教官(嗤)は悔しそうに呻くがそれでどうにかなる訳ではない。
勝手に頑張ってね?
「次の試合始められないからさっさと戻ってくれるかな?」
更に追い討ちの様ではあるが。実際邪魔なんですけど。
「くそおぉぉぉ………畜生ぉぉぉ………」
鬼教官(嗤)、泣きそうな顔して半控え室に戻って行った。
王と宰相の会話がまだ続いているな。
「あやつは恥曝しであったが。面白いものを見せてくれたとも言えるか」
「左様で御座いますな」
「それにしても凄まじきはちいの神憑った武の力よ。
……武神。そう!武神と呼ばれるに相応しいな!!」
ぎゃああああああ!!!
王が何か言っちゃってるうううう!!!
「左様に御座います。武神の名を広める様、取り計らいましょうぞ!!」
宰相おおおおおおおお!!!
やめてやめて!!ものっそい厨二臭いからやめてええええええええ?!!!
…うわあぁ…………
王やら皇帝やらというのは、本気で我は偉い神であると言うだけあって、神の名を広めるのに恥ずかしがりも躊躇もしない。
きっと自分は近いうち普通に武神武神と呼ばれる事になるだろう。はあ…
自分は王と宰相の会話を魔法地獄耳で聞いている。
普通は聞こえる訳が無いのでそんな事は露知らずに次の相手がやって来る。
…そう言えば、骨法で小さい音を聞く特訓なんてのもやってたな。兎も角。
次の相手は本職の騎士さんの様だ。武器は木槍。
庶民兵のレイジと同じ武器ではあるが、風格が違う。
現実的には槍は剣よりも強いのだ。ゲームなんかの印象ではしょぼい武器みたいな扱いをされている様な気がするが。
「名乗ろう。我が名はヘイキン・ソンザイ!」
言って構える。わあお!素敵ネームで御座いますね!
日本の在るあっちの世界でだが。ソーンダイクって苗字は在ったか。
ソーンダイク、ソーンザイ……何とか在りそう!うん!普通!…ぽい?
名前も普通っぽい。…意味だけはな!!
それよりも。
又持ち方が右手前だ。何?それが当たり前になっちゃってんの?
槍の持ち方を変えさせるだけで軍事力が大分変わりそうだ。
先程、レイジは混乱させてしまった様なので今度はきっちり勝ってから教えて
あげよう。
兎角、名乗りを返す。
「自分はちい。只のちいだよ」
「む?ちいという名前か」
「そう」
あれ~?此の展開って…
「此の辺りでは個人名が先、家名を後に名乗るのだ。チイ・タダノ」
やっぱな!!自分、苗字なぞ無いから只の、と言った訳だがな!!
…いーやー。放っとこう。
自分は正眼に構える。
が、今回は極意が使えない。と、言うのも、槍使いは遠間になってしまうからだ。
正眼の極意を使うには遠近感を利用して鋒を大きく見せなくてはならない
のだ。
つまり、本当に相手の目の前に刀を突き付けるのだ。
まあ、正眼の極意は使わなくともやり様は有る、という事だ。
「始め!!」
審判の開始の合図と共に。
ヘイキンは突を放つ!槍はやっぱり先ずは突だよな!!
が、真っ直ぐ突くにはどうしても正眼に構えた木刀の脇を摺り抜けなければならない。
っっがあんんっっ
弾!!左切り上げ方向に力を加える!!
ヘイキンは槍を大きく弾かれ体を開いてしまう!
其処へ摺り足ですっと間合に入る。
近間に入られた場合、槍には石突きで対応するという手段が有るが、果たして
ヘイキンはどう出るか!!
………しばし状況が固定され、ヘイキンはポツリと呟く。
「参った」
「ちいの勝利!!」
審判が宣言して勝負が決まってしまった。
随分潔いなあ!!
「君は強いな」
「もう良いの?」
「これ以上やっても無駄な足掻きだろう」
本当にあっさりしてるな!ああ、そうそう。
「槍や柄の長い武器は左手を前にして持った方が良いよ?」
「何?本当か?」
「最初に出て来たレイジにも言っておいたから。一緒に練習するとか」
「いや、庶民兵と騎士が一緒には訓練出来ないだろう」
「ふーん。ヘイキンは地位とか気にする方?」
「わたし一人が騒いでも環境は変わらないんだ」
「ほー。まあ、頑張ってよ」
「ふふ。君は本当に堂々としてるな」
ヘイキンはあっさり半控え室に帰って行った。
そこで半控え室が騒がしくなる。地獄耳で聞いてみれば。
「次はおれが出るぜ!!
勿体ぶってて、あのガキが疲れたからお終いとかなっちまったらどうすんだよ!」
声の主は…元気な男の子ですよー!!…ぶふっ!!
赤ちゃんかー!って?自分、いつも言われる側だから悔しいんだもの。
そいつがホントに元気に出て来た。
得物、つまり持っている武器は…
槍だった。が、スピアではなかった。ランスだった。
馬に乗っている訳ではなく。自前の二本の足で立っていて持っているのがランスだった。
武装錬…いや何も言ってない。
サンライトハー………何も言ってない!何も言ってないぞー!!!




