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第34話 野営始めました

 ご無沙汰ぶさたしております。

 此処の所、連日疲れ果てる日々が続き、執筆が滞っていたのです。

 申し訳ありません。

 買い物がやたらと重くて指が千切れそおぉ~ってなったりね!

 次の日、肩の凝りが残ったりね!

 筋肉って、使い過ぎると凝るんですよ?ご存知?

 自業自得とか言わないでえぇええ!!

 ヒトは生きてゆく為には食べなければならない。うん、言うまでもないな。

 しかしただ口を開けていれば食料の方からやって来る、なんて訳も無い。自分でって来なきゃあな。

 と、言う訳で。

 山菜とヤマウサギ、食べる訳ではないが食器代わりに使えて香り付けにもなる大きなの葉を採って来た。

 山菜はマジョオから根掘り葉掘り聞いたからばっちりっすよ。

 ヤマウサギはちゃんと血抜きしたし。血は抜かないとやたら生臭くなって食えたモンじゃあなくなるってね?

 木の葉を香り付けに使うというのは月桂樹げっけいじゅなんかがそうだしね?

 適当に地面に穴掘って石を組んで簡易的なかまどを造り、魔法で火力を調節しながら調理、と。

 ウサギと山菜の木の葉包み焼きで御座います。

 焼き、と言っても木の葉の内側は煮物状態ですけどね。

 自分、正直食材に火を通せば料理って感覚ですけどね。けど出汁だしはウサギの骨とキノコで取った。出汁はあっちの世界でも日本だけのモノだよね。余所よその国では味を出すと言えば何かとニンニクだよね。調味料は塩少々位だ。それは此処では仕方あるまい。

 よーく火を通せば完成だ。ついでに、ウサギの毛皮は皮下脂肪を徹底的に落として煙でいぶしてみたが…なめすって、どうするのかね?渋味のある汁で煮るんだったか?けどそこまで勝手にするのは恐いのでこのまま冒険者ギルドに持って行くか。

 それより先ずは料理だ。

 皆によそってから自分の分を用意し、平らな石に腰掛ける。が、誰も料理に手を付けていない。

 皆(あや)なモノを見る顔をしている。そりゃあ、普通3歳児が料理出来るとは思うまいな。

 もう良いだろう。放っといて自分だけ食い始めるか。

「いただきまーす!」

 木を加工した箸を使って一口(つま)む。うん、こんなもんだな。野営でこれだけ出来ていれば上等だろう。

 自分が食べ始めてしばらく。

うまーい!!!」

 護衛さんのひとりが大声を上げた。なんか涙を流している。

 それを見た他のヒト達も食べ始め。

美味うまい!!」

「これは……!!」

「こんなっ………こんな温かくて旨いものが野営で食えるなんて………!!!」

 はあ……?こんな反応ねえ?

 護衛の指揮者さんにたずねてみる。

「失礼ですけど。皆さん冒険者ランク2ですか?」

「いや?全員ランク3だぞ?」

 冒険者ランク3は野営前提の仕事を達成した事が有ると上がれる。

 どうやらまともなメシが用意出来なくても外で寝泊まりさえすれば上がれてしまえる様だ。

「冒険者ランク3からだな、冒険者としての職業が発生するんだ。

 おれ等はみんな戦士だぞ!」

 冒険者ランク2は町の外に出る仕事、ただし整備された街道を通って、野盗や山賊も狙わない様な価値の無いその日限りのお出掛け程度を達成すれば上がれる。

 ならばランク2以下では職業なんて認定されないだろうな。しかしみんな戦士かよ。バランス悪過ぎるよな?それは、徴兵ちょうへいされて護衛にくなら戦士と認定されるのが妥当だとうだろうけども!

 しかし、だ!戦える、と認定されるランクは4からだ。詰まり、ランク3の戦士って、役には立たないよと言われている様なモノだぞ?分かっていなさそうだがな!!

 言わないでおいてあげるけども。知らぬがほとけって奴だ。

「ふん!所詮しょせんは庶民の料理だな!」

 一方、徴税吏ちょうぜいりは何かぶち壊しな事を言っている。その割にはパクパク食らっているが。

 悲しきかな、徴税吏が何か言っても誰も反応しない。いや、どう返せと言うのか、とも思うが。

 そんな事よりも、だ。

「夜の見張りはどうするんです?」

「そりゃあ、二人ずつ起きて三交代制でやるさ」

「自分、徹夜はしませんが少し起きてて眺めて良いですかね?」

「ははは!子どもは夜は寝た方が良いぞ?」

「それは、寝る子は育つとは言いますがね」

「言うのか?」

「寝ている間にですね、記憶の整理、体の成長、疲労や怪我の回復なんかをする訳ですね」

「そ……そうか」

 護衛さん達は話に付いて来れていない様だ。まあ良いけど。

 そして夜。

 言っていたとおり、二人の護衛さんが起きてを眺めて座っている。

「焚き火、けて置くんですか?」

 訊いてみましたよ。そりゃあ。

「おじょうちゃん、知らないのか?動物は火をこわがって寄って来ないんだぞ?!」

 護衛さんの一人が得意気とくいげに言う。

「お嬢ちゃんはやめて下さい。

 れから焚き火ですが、好奇心が強い生物の場合、むしろ寄って来てしまいますね」

「「え………?!」」

 護衛さん達は愕然がくぜんとした。今まで安全と信じて危険な事やってたからだな!

「え……っと、お嬢……きみ、それは本当か……?」

「本当ですよー」

 ぼうサバイバル漫画で言ってた。りという事になるが、自信満々に言い切るのが相手に信用させるコツだ。

「火は点けない方が安全ですね」

「し……しかし、暗いとおれ等も周りが見えないぞ?!」

「うーん、じゃあ暗視あんしの訓練でもします?」

「それって何だ?」

「ひたすら、暗い所で周りを見ようと意識し続けます。

 すると、時点じてんで、暗くてもはっきりと目が見える様になります」

 と、日本の古武術のひとつ、骨法こっぽうでやってた。

「「本当かよ!!」」

「本当ですとも!」

 言い切るのが言葉に説得力を持たせるコツなのだ!しつこい?

「今は自分が起きてて気配をさぐっている訳ですから?安心して暗視の訓練をして下さいな」

「あ……ああ。

 君、何か良く知らんけど、凄いな?流石さすがはランク5冒険者と言う所か」

「さあ?自分、他のランク5のヒトは知りませんからねえ。

 自分だってランク認定試合でポンと5になっちゃっただけで、遠出とおで今回こんかいはつですからねえ」

「「本当かよ!!!無茶苦茶だな!!君は!!!」」

 失礼だなあ。

「良いから!はい、特訓、特訓だよ!」

「「あ……ああ」」

 勿論、初日で使える様には成らなかったが。

「そろそろ交代の時間じゃあないですかね?」

「そ、そうだな」

「それにしても君は元気だな?」

「次のヒト達も鍛えなきゃあいけないですからねえ。

 ほら!起こして来て下さい!」

 答えにはなってないとは思うが。

 このままでは犠牲者が出そうでこわいからな!!

「あれ?!なんで火も点けてないんだよ!!」

 今起きてきた護衛さんがぼやいている。

 それに対してニヤリと笑みを浮かべる、交代してこれから寝る護衛さん達。

「それはあの子からよおぉーく教わって、特訓してもらえ?」

「あの子?

 ………おわ!!!何か居る!!!」

「何でそんなに驚いているんです?」

「うわ!!あの村の子か!!だって、こんなに暗かったら良く見えないだろ?!!」

 ふむふむ?にや~り!

「じゃあ、特訓しなきゃあ、いけないですね?」

「うわあ………くわばらくわばら!」

 これから寝る方の護衛さんが言った。本当に失礼だな!!

 ちなみに、くわばらくわばらと言うのは厄除やくよけのおまじないだ。

 くわの木は、実は食用、葉はお蚕様かいこさまの飼料、木は材木、皮は紙の材料と使われるので、どんどん切られて大きく育てない。ので、桑畑くわばたけには低木が並ぶのだが、この桑の木に隠れると雷が落ちて来ない、という迷信が有る。

 うん、迷信なのである。実際はそんなに信用出来るモノでもないから、鵜呑うのみにはしないでね!

 ……絹糸きぬいとは此処等には出回ってない様なのだが、桑畑は有るのかねえ?そんな言葉が有るって事は。

 まあ、色々使い道が有るからねえ。村の中央広場にも生えていた訳だし。

 兎も角、今起きた方の護衛さん達がおびえている。仕様が無ええなああ!!

「な…何をしようってんだ?」

「ちょっと新技能の開発をしようってだけですよ。

 怖がんなくても良いですから!」

 そう、新技能の開発だ。現代日本人が聞いたらゲームみたいだ!って、喜んで話にノって来そうだろ?

 けどの世界のヒトはそんなに喜ばないなあ。ゲームなんて無いしな!

素人しろうとのままよりも生存率上がりそうだって、思うでしょ?」

「「ひいぃ~!!!」」

 何でひいぃ~だよ!!

 次の日、と言うか、日をまたいで起きてたので次の朝だな。

 護衛さん達の目にはおそれの色がかなり混じっていた。何でだよ!

 因みに、畏れ、というのは、ただ恐いばかりでなく、畏敬いけいの念も有る、という意味である。……

 何のなぐさみにもならねえよ!!ガッデム!!

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