表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/1092

第29話 抜刀術始めました

 本日ポケモ○もらい終了してしまいました!日付は題名横で!

 まだ言っているのかって?だってマボロシなんだよ?普通にプレイしてても出てこないんだよぉ?

 露店が並ぶ大通りで。

 その地面に穴を開ける訳にはいかないので、何とか支えで固定して立てた棒。

 只の棒ではなく、わらを巻いてある。巻き藁というヤツだ。

 芯の棒が竹だったらなお良かったのだが、無いモノは仕方ない。

 何が良いかって、丁度骨を斬る感触なのだとか。怖えーよ!!

 そして自分が腰に差すは、うちがたな。自分の体に合わせた特注品である。自分、同年代の中でも小っちゃいもんでぇ!!

 幾つか有る巻き藁の前に立ち、口上こうじょうべる。

「ではお立ち会い!

 これから刀と言う武器の威力をご覧に入れましょう!」

 合いの手だか野次だかの声が観衆から飛ぶ。

「まさかその木を斬るってえ言うのか?」

「剣は木を斬れる様には出来ていねえぜ?」

「「そうだ!そうだ!!」」

 ふっ!良く知ってるじゃあないか!!

「そう!普通、剣で木は斬れません!

 更にですね、藁を巻くともっと斬れなくなります!

 それが刀ならばどうか!!いざ!!刮目かつもくせよ!!」

 空気がピンと張り詰める。

 自分は身構える。まだ刀は鞘におさまったまま、左手は鞘を持つが右手は柄に触れず、腰を落とす。

 これから使う技は間合まあいが厳しいと言う。言葉を換えれば攻撃にちょうど良い距離の範囲が非常に狭いと言う事だ。

 この間合、素人パンチでさえも結構有る。ゆえに戦いの初級は互いに避けられない殴り合いになるのだ。

 詰まりその技は成功率が素人パンチよりもいちじるしく劣るという事。長きに渡って修練し、よっぽど自信が有るのでもなければ実戦では怖くて使えたものではない。

 が、これは実戦ではない。相手は動かない巻き藁、まとである。落ち着いて、確実に間合を計る。

 其れから呼吸だ。当然、呼吸をしなければ生きてはいけない。しかし、大量の力を使って自身の動きを妨げる原因でもある。

 殆どのヒトは呼吸は無意識にしていると思い込んでいるだろう。が、実は余りにも苦しいのに追い立てられて、結構な力を消費して行っているのだ。具合が悪くでもなれば分かるだろう。呼吸をするのに力を使うのがつらいのだが、それでも呼吸しなければ文字通り死ぬ程苦しいのでせずには居られない。

 産声うぶごえというヤツは、死ぬ程苦しいので上げる絶叫だと思うね。

 母胎ぼたい内に居る間は当然呼吸は出来る訳が無いが、消耗もしないのでそれで済む。が、出産は母子共に消耗が激しいので大量にエネルギーを発生させる物質、酸素がどうしても必要になるのだ。

 で、だ。最大限の動きをするには呼吸はしなければいけないが、その上で動きが呼吸に邪魔されない瞬間を狙わなければいけない。自分の呼吸を読むという事だ。

 上級の相手になるとこちらの呼吸を読んでくるなんて事も有り得るので其処そこは注意だ。今回の相手は動かない的だがな!落ち着いて呼吸を整える。

 ふむ、呼吸法。村の子達には促す位はした方が良いか。専門家だなどと言い張る気は無いが、腹式呼吸、深呼吸程度でも立派に呼吸法だ。

 そんな事もつらつらと考えながら、最上の瞬間を見定める。

 その瞬間。

 くうすべらせた右手はなめらかにつかに触れる。

 元から握っていたかの様に手は柄に吸着し、抜刀ばっとう

 ただちではない。みねをわざとさやこすり付ける。所謂いわゆる鞘走さやばしりだ。

 そしてさか袈裟げさの斬撃を巻き藁にはなち、納刀のうとう

 納刀はそれなりに速くだが落ち着いて行った。自分の手に刺したなんて事になったら格好悪い…処ではない大惨事だからな。

 素人位なら刀を抜いたのが分からなかったと言うかも知れない。

 ごとんっ

 そして巻き藁は斜めに断ち切られて地面に落ちた。

 本当の事を言うと巻き藁を断つのに一番難しいのは真横にぐ事だ。が、これは先ず成功させるのが大前提の演武である。勝手に難度を上げて勝手に失敗してたらバカなのである。

 成功させなければいけない事なら、難度を下げるのが頭を使うという事だ。

 巻き藁の断片だんぺんが地に落ちてからしばし。

 誰もが動きを止め、口篭くちごもる。

 やっと誰かがぽつりとつぶやいた。

「今の………魔法か?」

 どう見ても冒険者な奴だった。大丈夫か?そんなので。

「いや、腰に差している武器を使ったんだ!」

 先程声を掛けてきた冒険者、サエンさんが言った。おお、流石!

「さっきカタナという武器を使うと言っていた!

 それに左手に武器を持ったのが只のブラフとは思えん!」

 ………抜刀が見えた訳ではなかった。ただ状況で判断して、という事ね。でもこれでも堅実と言えるであろう。

 冒険者達がこんな中で。

「何だよ何なんだよ!!又新しい事始めやがって!!

 教えろよ、そういうのはよお!!」

 ワットは刀を使ったのを確信している。

 今までも自分のしてきた事を見ているとは言え、本当に良い目をしている。

抜刀術ばっとうじゅつ…じゃな」

 オロチが訳知り顔で言った。

 オロチはまがい物呼ばわりしていたが。薬丸やくまるげんりゅうには突撃しながら抜刀術!というのが有る。それで知っていたのではないか。

 どう考えても東郷とうごうげんりゅうとは抜刀術は合わないからな。

「抜刀術とは何です!?」

 シャールが間髪入れずに問う。

「今のが抜刀術じゃ!」

 やっぱりオロチはお話にならないな!

 しかもドやがおしてやがるし!

 昔ながらの日本人というのはこんな感じなのであろうか。説明する気が無い訳ではない。が、説明出来る言葉を持たない様なのだ。

 シャールと、それからワットも困った顔してこっちを向く。分かった分かった。

「先ず、鞘から抜く瞬間に攻撃を仕掛ける事を抜き打ちと言う。

 抜き打ちの究極形が抜刀術。

 達人級になると超音速にして鋼鉄をも裂くという」

「ちょーおんそく?」

 ワットが尋ねる。

「遠くの風景を見ていると、音がずれて聞こえて来るでしょう。

 音が伝わるのにも速さが有るんだけど、音は空気を伝わる波なんだよ。

 対して物体が音速を超えるには大きな問題が有る」

「空気?」

 これは観衆から聞こえて来た。此処文明度が低いんだもの。仕方ないよね。

「風が吹けば顔や肌に何かが当たる感覚が有ります。

 詰まり、周りには目には見えないけど何か有ると感じられるのです。それが空気です」

「それで、物体が音速を超えるには何が問題なのです?」

 空気の説明は終わったと見たシャールは話を戻す。

「物体が音速に近付くと空気の抵抗が激しくなるんだよ。音速の壁って言うのだけど。

 音速を超えるには文字通り音速の壁を突き破らなければいけない。

 突き破ると凄まじい破裂音が鳴るんだよ。音波烈ソニックブームって言うんだけどね。

 そしてその時衝撃波(ショックウエィヴ)が発生する。

 物体の大きさと重さによっては衝撃波だけでヒトが死ぬって」

 昔ながらの大砲、炸裂しない砲丸位の威力ならば、だ。人力で怪我させる程の衝撃波は無いだろ。

「ヒトが発生させる衝撃波にはそんな威力は無いけどもね。

 で、只の抜き打ちと抜刀術の違う所は鞘走りだね」

「鞘走り、ですか?」

 やはりシャール。着眼点が良い。

「わざと刀を鞘に擦り付ける事なのだけども。

 さて、デコピンって、知ってるかな?この指が当たると結構痛いのだけれども」

 実際に指をピンピン弾きながら言う。勿論何処にも当てずに空打ちだぞ?

「確かに痛いですね。けども実戦には使えないですよね」

 シャールは自分のてのひらに当てながら言う。

 シャールは気付いているだろう。実戦には使えない。ならばどういう使い方をするか。

 だがそんな物広まって欲しくはない。だから言葉は使えない、の所で止めて置く。

「このデコピン。指を押さえ付けてから弾く、という過程を無しにすると、後はどんなに上手く再現しても全く威力は出ない。

 同様に、鞘走りが無いと抜き打ちは抜刀術に昇華しょうかしないんだ。

 言うなれば、刀を鞘で押さえ付けた上でぶっこ抜く。それが抜刀術」

 シャールは実際に指を押さえ付けずに動かしながら言う。

「確かに!…しかし、それは刀に悪そうですね。刀は繊細でいたやすいのですよね」

 うんうん、良く覚えている。流石だ。

「そう。だからこれは取って置きにしといてね。連打も効かないし。

 抜刀術を使いたかったら抜刀前、其れから抜刀後にどうするかという居合いあいの技術が必要になる」

 剣道の一種に、一風変わった居合道というものが在る。

 何が変わっているかと言うと、敵が居ると想定して決まった動きをするのだ。

 詰まりはたから見るとひとりで何かやってる、という事になる。

 試合も選手が向き合って対戦、なんて事はしない。並んで演武して、審査員が採点するのだ。

「居合とは、抜刀術を取って置きにするのだから、目線で、足の向きで、構えで。使えるものは何でも使って、相手が複数居ても牽制けんせいし、こちらが相手をする順番を決め、それでも足りなければ柄頭つかがしらでど突いたり、勿論抜刀後は普通に振る事も考えている、そういう技術」

「目線で?足の向きで?構えで?せこくねえ?」

 ワットが言う。まあ大半のヒトの反応はそんなモンだろうな。そしてそう思うヒトには向いてない技術だ、という事。

「いや、奥が深そうですよ。

 相手を牽制する、とう事は、そこから近付いたら攻撃が当たるぞ、と相手にアピールしなければいけません。そして無視するか気付かなければ本当に当てられなければ意味が有りません。

 抜刀術はどうしても単発の攻撃になるので顕著けんちょですが、ヒトは皆体が一つしか無いのですから、使えるものは何でも使って複数の相手に対処すると云うのは理にかなっています!」

 うむうむ、やはりシャールはわかっている。

 しかし、村の子達に伝わっているのは兎も角観衆には微妙だなあ…冒険者達でさえも。

 刀をしょっぱなに見せるには、抜刀術はイマイチだった様だ。

 だって鞘の付いたちゃんとした刀がやっと手に入ったのだ。やりたくなってしまったんだよ!

 けど、もうひと仕事しないと客は納得しないな。うん。

 おみせやさん、長引いてますねえ。

 だって抜刀術やったら、刀を見せるとか言って見せてねえじゃんって言われたんだもの。

 先に気付いとけって?はっはっは!先読みはヒトの身には難しきものよのう!


 2021/09/25 0:08

 三年後にして改稿入りました!(泣)

とて後書きに付け足し、という形にさせて頂いて居りますが!


 それウソ知識では? との情報を頂き!


 「超音速にして鋼鉄をも裂く」という所かと思われますが!

 うん、まあ……!

「達人なら出来るんじゃなーい?」

というのは

無責任発言、という事でしょう!


 ガッカリなさる方もいらっしゃいますでしょうか?


お詫び申し上げます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] たしか抜刀術のそれウソ知識じゃなかったっけ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ